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第一章 初級編開始
第154話 OLサツキの初級編三日目、終わり
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獅子丸が今日も泡風呂を出してくれている。
「獅子丸、ありがとう」
サツキが微笑み掛けると、獅子丸がニヤリと笑った様に見えた。
バスタブで足を思い切り伸ばす。さすがに疲れた。リアムは体力がある、だから歩き続けることが出来たが、それでも疲れた。
パーティーのメンバーの顔を思い浮かべる。
ウルスラ。パーティーの中心だ。ウルスラがいなければドラゴンだってやっつけられなかっただろうし、サツキがサツキだと告白することもきっとまだ出来ていなかった。嫌な顔ひとつせず右も左も分からないサツキの面倒をみてくれる、とてもいい人だ。
アール。割と、いや大分馬鹿だが、いい人なのは分かってきた。あの人がいたから、今日の険悪な雰囲気も乗り越えられた。サツキの女の姿を見て庇うとか、正直ちょっと嬉しかった。顔の好みがドンピシャなのももしかしたら関係あるかもしれない。
ユラ。彼が一番訳が分からなかった。ドラゴンのダンジョンの時は何も思わなかったけど、サツキがサツキだと分かった途端、手のひらを返した様な態度。すぐ怒るし苛々するし、かと思うと笑ったり揶揄ったり、読めない。
これまでの人生、あんなに分からない人には会ったことがなかった。いや、もしかしたら会ってたかもしれないが、彼はサツキとは次元が違うところにいる人だ。陰キャのサツキが絡むことなど本来ない、何というか俺様キャラ。正直苦手だ。
でも。
ずっと目を気にしている風だった。追加能力とか言っていたのと関係があるのかも、とも思うが、本人が何も言わないから分からない。
だけど、一番嫌なのは自分だ。皆の気分や態度にひたすら振り回されている。リアムとして生きていこうと誓ったばかりなのに、やっぱり色々怖くなって、ユラがいなければ多分今日だって何も出来なかった。
情けなかった。
やはりある程度は呪文も覚えなければ、この先一緒のパーティーで組んでいくのは厳しいかもしれない。いつまでおんぶに抱っこされている気なのか。
「うん! やっぱり覚えよう!」
リアムの身体の適性は魔術師だ。だったら、皆に迷惑を掛けない為にも、自分に自信をつける為にも、自分で判断して魔法を使える様になるのは必要に思えた。
今はリアムが生きた道をただ辿るしか出来なくても、いつかサツキにしか見えない道が現れるかもしれない。
「日々精進よ、サツキ!」
拳を握りしめた。そうと決まれば、午後は中級魔法の暗記だ。
ドン、とドアを叩く音がしたと思うと、にゅる、とドアの隙間からラムが入ってきた。泣きそうな顔になっている。
「あ、ごめん。何も言ってなかったね」
そして可愛い庇護すべき子もいる。
「もうあがるよ、待ってて」
顔だけ隙間から覗かせたラムがニコッと笑った。可愛いは正義。よし、頑張ろう。
サツキは決意を新たにしたのだった。
「獅子丸、ありがとう」
サツキが微笑み掛けると、獅子丸がニヤリと笑った様に見えた。
バスタブで足を思い切り伸ばす。さすがに疲れた。リアムは体力がある、だから歩き続けることが出来たが、それでも疲れた。
パーティーのメンバーの顔を思い浮かべる。
ウルスラ。パーティーの中心だ。ウルスラがいなければドラゴンだってやっつけられなかっただろうし、サツキがサツキだと告白することもきっとまだ出来ていなかった。嫌な顔ひとつせず右も左も分からないサツキの面倒をみてくれる、とてもいい人だ。
アール。割と、いや大分馬鹿だが、いい人なのは分かってきた。あの人がいたから、今日の険悪な雰囲気も乗り越えられた。サツキの女の姿を見て庇うとか、正直ちょっと嬉しかった。顔の好みがドンピシャなのももしかしたら関係あるかもしれない。
ユラ。彼が一番訳が分からなかった。ドラゴンのダンジョンの時は何も思わなかったけど、サツキがサツキだと分かった途端、手のひらを返した様な態度。すぐ怒るし苛々するし、かと思うと笑ったり揶揄ったり、読めない。
これまでの人生、あんなに分からない人には会ったことがなかった。いや、もしかしたら会ってたかもしれないが、彼はサツキとは次元が違うところにいる人だ。陰キャのサツキが絡むことなど本来ない、何というか俺様キャラ。正直苦手だ。
でも。
ずっと目を気にしている風だった。追加能力とか言っていたのと関係があるのかも、とも思うが、本人が何も言わないから分からない。
だけど、一番嫌なのは自分だ。皆の気分や態度にひたすら振り回されている。リアムとして生きていこうと誓ったばかりなのに、やっぱり色々怖くなって、ユラがいなければ多分今日だって何も出来なかった。
情けなかった。
やはりある程度は呪文も覚えなければ、この先一緒のパーティーで組んでいくのは厳しいかもしれない。いつまでおんぶに抱っこされている気なのか。
「うん! やっぱり覚えよう!」
リアムの身体の適性は魔術師だ。だったら、皆に迷惑を掛けない為にも、自分に自信をつける為にも、自分で判断して魔法を使える様になるのは必要に思えた。
今はリアムが生きた道をただ辿るしか出来なくても、いつかサツキにしか見えない道が現れるかもしれない。
「日々精進よ、サツキ!」
拳を握りしめた。そうと決まれば、午後は中級魔法の暗記だ。
ドン、とドアを叩く音がしたと思うと、にゅる、とドアの隙間からラムが入ってきた。泣きそうな顔になっている。
「あ、ごめん。何も言ってなかったね」
そして可愛い庇護すべき子もいる。
「もうあがるよ、待ってて」
顔だけ隙間から覗かせたラムがニコッと笑った。可愛いは正義。よし、頑張ろう。
サツキは決意を新たにしたのだった。
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