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第一章 初級編開始

第150話 OLサツキの初級編三日目、家に帰る

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 バルバイトの街の外の草原にフルールで飛んできた一行は、明日の予定を話し合っていた。

「とりあえず今日は休もうよ。俺疲れちゃった」

 ユラが言う。ウルスラも同意した。

「確かに。何だかバタバタだったもんねえ」

 サツキは「あ」とウルスラに声を掛ける。

 ウルスラがこのままリアム宅にまた来ると、ソファーで寝ることになってしまう。さすがにそれはしたくなかった。

「ウルスラ、私……じゃないや僕ならひとりでも大丈夫だから、今日はウルスラも自分の家に帰ってゆっくりして。ね?」
「え? 大丈夫? でも正直ひと晩は自分のベッドでゆっくりしたいのはある……」
「荷物を持って送ってあげるよ」
「今朝イルミナ掛けてなかった? お風呂入ってたわよね?」
「あ……そうだ」

 ウルスラがあはは、と笑った。

「見つかるとまじで追い出されちゃうから、サツキの家から荷物引き上げて自分で帰るわよ」
「な、何かごめん……」
「いいってば。サツキもゆっくりしてて。ね?」
「……うん!」

 実は調べたいことがあったのだ。ダンジョンの女湯にゆっくり浸かる為に必要なことである。

「じゃあ明日午前中にギルドで集合、でいい?」

 ユラが提案したので、他の者は頷く。

「ルーンのダンジョンの件も報告しないとだしね」
「そういえば、依頼二件なかった?」
「ボスの退治と温泉のお湯の採取だから終わってるわよ」

 お湯の採取、一体何の為だろうか。明日ジュリアンに聞いてみよう。

 じゃあ、と一同が別れようとしたところ、アールが聞いてきた。

「このスライム達、どうするの?」
「どうするのって、あんたがテイムしたスライムでしょうが」

 すると、ラムがすすすっとサツキの方に寄ってきて、手を握った。うほお、可愛すぎる。サツキは挙手した。

「ラムちゃんはわた……僕が面倒を見ます!」
「ほっ」

 アールがあからさまにほっとしている。須藤さんはそんなアールにしがみつき、うるうるとアールを見上げている。

「ちょっと、その子は連れて行ってあげなさいよ、可哀想に」
「まあ、一匹なら、はは」

 須藤さんが喜んだ。短いしっぽがパタパタいっている。

 ユラが伸びをした。

「魔力も殆ど残ってないし、帰ろう帰ろう」
「うん、じゃあまた明日ね」
「おう! またな!」
「サツキ、とりあえず荷物取りに行かせて」
「うん」

 街の入り口でアールとユラとは別れると、この世界で初めて食べた食べ物のバルバイト団子の叫び声が聞こえる。叫び声が大きければ大きいほど旨いらしいとはウルスラ談だ。

「食べていく?」

 ウルスラが涎を垂らしそうな顔をして言った。実はサツキも同じ気持ちだったので、頷く。

「うん!」

 にっこりと笑うと、二人はバルバイト団子の叫びがなるべく大きい出店を選び並んだのだった。
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