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第一章 初級編開始
第149話 魔術師リアムの初級編三日目夜は終盤へ
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祐介も、ストッキングは履いたことがないらしい。
あれは女性専用で、肌を綺麗に見せる為にわざわざ履く物だという。
何故その様なけったいなことをしてまで肌を露出させようとするのか、その文化に違和感を覚えた。だが、これは言っても詮無いことだ。
「噂によると、よく破けるらしい。だからちょっと多めに買っておこうか。薬局とかに売ってるらしいよ。動画で上手なストッキングの履き方を見つけたから、後で家に帰ったら見せるね」
「分かった」
二人は、スペイン料理屋でパエリアなる物を食していた。
「旨い。この上に乗っている貝は食べられるのか?」
「殻は食べちゃ駄目」
「私の世界にもこういった貝はいたが、とても食える代物ではなかったから不思議な感覚だ」
「聞きたい様な、聞きたくない様な」
「聞くか?」
「一応聞いておきます」
ふふ、とリアムが笑い、ムール貝なる貝の中身をほじくり食べる。旨い。
「貝の中に、目玉が入っているのだ。それが貝をこじ開けると睨んでくる」
「聞かなきゃよかった」
「珍味として食されていた様だが、私はさすがにその見た目で無理だった」
「普通の感覚を持っててくれてよかった」
「ははは」
「あはは」
あっという間にパエリアがなくなった。隣の席にビールが運ばれているのを、リアムが羨ましそうに眺める。それを祐介が見て、苦笑いした。
「次の金曜日の夜に飲もうか。次の日休みの日なら、僕が面倒みますよ」
「え! いいのか!?」
リアムが素直に喜ぶと、祐介も嬉しそうに笑う。
「多分、今週はサツキちゃんも職場に慣れるので大変だろうし。愚痴も聞いてあげるよ」
「ワインが飲みたい」
「ワイン? 分かった。でも飲みすぎは駄目だよ」
「分かっている、少量だ少量」
「……飲み始めるとなー、止まらないからなあ。あ、でも」
祐介がにこにこして頬杖をつく。
「次サツキちゃんがやらかしたら、僕は我慢しなくていいんだもんね?」
そうだった。いやしかし祐介よ。いくらサツキの身体が魅惑的だからといって、中身がリアムなのにいいのか、それでいいのか。
「中身が私でそういう気になるとは思えんが」
「なるかもよ」
「さすがにならないだろう」
「サツキちゃんだってなるかもよ」
「なる訳が……」
祐介が、リアムの手を握った。
「試してみる?」
「……へ?」
祐介の目が笑っているが、リアムは笑えない。すると、祐介がプッと笑い始めた。
「冗談だって、あははっ」
「祐介……燃やすぞ」
「ごめんなさい、ふざけ過ぎました」
祐介は真顔に一瞬で戻ると、即座に謝った。
完全にからかわれた形になったリアムは、正直面白くない。だからつい恨めしそうな顔になる。
それを見て、祐介がよしよしと頭を撫でた。
「ごめんて。……でもまあ、間違いがあるとサツキちゃんも困るだろうし、気を付けてね」
「まだ言うか」
「もう言いません。さ、薬局が開いてる内に行かないと」
祐介が立ち上がり、リアムに手を貸した。
あれは女性専用で、肌を綺麗に見せる為にわざわざ履く物だという。
何故その様なけったいなことをしてまで肌を露出させようとするのか、その文化に違和感を覚えた。だが、これは言っても詮無いことだ。
「噂によると、よく破けるらしい。だからちょっと多めに買っておこうか。薬局とかに売ってるらしいよ。動画で上手なストッキングの履き方を見つけたから、後で家に帰ったら見せるね」
「分かった」
二人は、スペイン料理屋でパエリアなる物を食していた。
「旨い。この上に乗っている貝は食べられるのか?」
「殻は食べちゃ駄目」
「私の世界にもこういった貝はいたが、とても食える代物ではなかったから不思議な感覚だ」
「聞きたい様な、聞きたくない様な」
「聞くか?」
「一応聞いておきます」
ふふ、とリアムが笑い、ムール貝なる貝の中身をほじくり食べる。旨い。
「貝の中に、目玉が入っているのだ。それが貝をこじ開けると睨んでくる」
「聞かなきゃよかった」
「珍味として食されていた様だが、私はさすがにその見た目で無理だった」
「普通の感覚を持っててくれてよかった」
「ははは」
「あはは」
あっという間にパエリアがなくなった。隣の席にビールが運ばれているのを、リアムが羨ましそうに眺める。それを祐介が見て、苦笑いした。
「次の金曜日の夜に飲もうか。次の日休みの日なら、僕が面倒みますよ」
「え! いいのか!?」
リアムが素直に喜ぶと、祐介も嬉しそうに笑う。
「多分、今週はサツキちゃんも職場に慣れるので大変だろうし。愚痴も聞いてあげるよ」
「ワインが飲みたい」
「ワイン? 分かった。でも飲みすぎは駄目だよ」
「分かっている、少量だ少量」
「……飲み始めるとなー、止まらないからなあ。あ、でも」
祐介がにこにこして頬杖をつく。
「次サツキちゃんがやらかしたら、僕は我慢しなくていいんだもんね?」
そうだった。いやしかし祐介よ。いくらサツキの身体が魅惑的だからといって、中身がリアムなのにいいのか、それでいいのか。
「中身が私でそういう気になるとは思えんが」
「なるかもよ」
「さすがにならないだろう」
「サツキちゃんだってなるかもよ」
「なる訳が……」
祐介が、リアムの手を握った。
「試してみる?」
「……へ?」
祐介の目が笑っているが、リアムは笑えない。すると、祐介がプッと笑い始めた。
「冗談だって、あははっ」
「祐介……燃やすぞ」
「ごめんなさい、ふざけ過ぎました」
祐介は真顔に一瞬で戻ると、即座に謝った。
完全にからかわれた形になったリアムは、正直面白くない。だからつい恨めしそうな顔になる。
それを見て、祐介がよしよしと頭を撫でた。
「ごめんて。……でもまあ、間違いがあるとサツキちゃんも困るだろうし、気を付けてね」
「まだ言うか」
「もう言いません。さ、薬局が開いてる内に行かないと」
祐介が立ち上がり、リアムに手を貸した。
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