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第一章 初級編開始
第135話 魔術師リアム、初級編三日目午後のメイク講座の後は遊ばれる
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カミソリの使い方、眉毛はピンセットなる摘む物で整えるよりも眉毛カッターという何だか恐ろしげな物で整えた方が将来皮膚が垂れないとか、脇も腕も足もそれぞれの使い方、利点や欠点を説明された後、祐介がさっと置いていった鞄を郁姉が漁りだした。
「シンプルだけど、この黒のワンピースなんかいいかも! 私じゃちょっと貧相に見えるから着なかったんだよねー。サツキちゃんならこの襟のV字から覗く谷間が、ふふふふ」
郁姉がワキワキしながらワンピースなる一枚のペラッペラの服を手に近付いてきた。祐介……はいない。ああ! 逃げられん! こんなぴらぴらの服など着用したら、絶対スースーする。風でも吹いたら丸見えではないか!
「じゃ、脱ごうか」
「……はい」
諦めた。無理だ。この女からは逃げることは敵わないのが本能で理解出来た。恐るべし祐介の姉。しかし、この上にいるしず姉とかいう者には隠せと言っていたことを考えると、しず姉は一体どういった人物なのか。知るのが恐ろしかった。
大人しく服を脱ぐと、うへ、うへへ、という笑い声が聞こえる。怖い。
「はい、これ着て」
大人しく上から被ると、胸で引っかかった。
「うおお……そこで引っかかるんだ……堪んないねえ」
「あの、あんまり見ないで……」
服の裾を引っ張り整えて完成だ。郁姉が、ない袖を捲くった。
「よし! 髪の毛はアップにして、つけまつげして、ちょっと綺麗系目指して、うふふ」
リアムは心を無にすることにした。別のことを考えるのだ。
リアムが観念している間に、郁姉が髪を弄り、まつげを盛り、唇にいやにベタベタする物を塗りたくり、目と眉毛を弄くり回されること三十分程度か。
「――うほおおお」
目を滅茶苦茶輝かせた郁姉が、スマホで電話を掛けた。
「あ、祐介? 今すぐ来い」
そして返事も待たずブチッと会話を終了した。隣の家から、祐介が移動する音が聞こえる。
「壁うっすいねえ」
「同感だ……です」
「これ周りにやってる声聞こえちゃうんじゃない? なーんてね、あはは!」
何のことを言っているかは分かった。まあ郁姉はリアムの中身が男なことを知らない。リアムは羞恥にただひたすら耐えることにした。
職場でも付き合っているということを開示するということは、こういったことを言われるということだ。
しかしあれだ、これは祐介が言うところのセクハラというものにはならないのだろうか。
「お邪魔しまーす……あっ」
祐介が鍵を開けて入ってくると、為す術もなくただ突っ立っていたリアムを見、止まった。口を開けて見ている。そういえばリアムはまだ自分の姿を見ていない。呆れるほどおかしな姿なのか。
「どう?」
「……いいです」
「姉に言う言葉は?」
「感謝します、お姉様」
「あの、祐介、今どんな格好に……」
すると、祐介が言った。
「やばい」
「は?」
「とりあえず写真撮っていいですか」
「……は?」
祐介はリアムの手を取ると、ベッドに座らせた。
「シンプルだけど、この黒のワンピースなんかいいかも! 私じゃちょっと貧相に見えるから着なかったんだよねー。サツキちゃんならこの襟のV字から覗く谷間が、ふふふふ」
郁姉がワキワキしながらワンピースなる一枚のペラッペラの服を手に近付いてきた。祐介……はいない。ああ! 逃げられん! こんなぴらぴらの服など着用したら、絶対スースーする。風でも吹いたら丸見えではないか!
「じゃ、脱ごうか」
「……はい」
諦めた。無理だ。この女からは逃げることは敵わないのが本能で理解出来た。恐るべし祐介の姉。しかし、この上にいるしず姉とかいう者には隠せと言っていたことを考えると、しず姉は一体どういった人物なのか。知るのが恐ろしかった。
大人しく服を脱ぐと、うへ、うへへ、という笑い声が聞こえる。怖い。
「はい、これ着て」
大人しく上から被ると、胸で引っかかった。
「うおお……そこで引っかかるんだ……堪んないねえ」
「あの、あんまり見ないで……」
服の裾を引っ張り整えて完成だ。郁姉が、ない袖を捲くった。
「よし! 髪の毛はアップにして、つけまつげして、ちょっと綺麗系目指して、うふふ」
リアムは心を無にすることにした。別のことを考えるのだ。
リアムが観念している間に、郁姉が髪を弄り、まつげを盛り、唇にいやにベタベタする物を塗りたくり、目と眉毛を弄くり回されること三十分程度か。
「――うほおおお」
目を滅茶苦茶輝かせた郁姉が、スマホで電話を掛けた。
「あ、祐介? 今すぐ来い」
そして返事も待たずブチッと会話を終了した。隣の家から、祐介が移動する音が聞こえる。
「壁うっすいねえ」
「同感だ……です」
「これ周りにやってる声聞こえちゃうんじゃない? なーんてね、あはは!」
何のことを言っているかは分かった。まあ郁姉はリアムの中身が男なことを知らない。リアムは羞恥にただひたすら耐えることにした。
職場でも付き合っているということを開示するということは、こういったことを言われるということだ。
しかしあれだ、これは祐介が言うところのセクハラというものにはならないのだろうか。
「お邪魔しまーす……あっ」
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「どう?」
「……いいです」
「姉に言う言葉は?」
「感謝します、お姉様」
「あの、祐介、今どんな格好に……」
すると、祐介が言った。
「やばい」
「は?」
「とりあえず写真撮っていいですか」
「……は?」
祐介はリアムの手を取ると、ベッドに座らせた。
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