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第一章 初級編開始
第132話 OLサツキの初級編三日目の特訓で反旗を翻す僧侶
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ウルスラが顔を顰めた。アールは状況の把握が出来ていないらしく、ぽけっとしている。
「ユラ、さっきのあれに怒ったの? あんなのちょっとした冗談でしょ」
「冗談でも何でも関係ないんだよ。どうだ、俺とサツキで倒したぞ」
サツキの肩を掴む手に力が篭った。
サツキは隣にいるユラと向かいのウルスラをはらはらと交互に見る。なになに、何でいきなりこんな険悪ムードになってるの。
アールはぽけっとしたままだ。あいつ、役に立たないな。悪いが思ってしまった。
ウルスラが呆れた様に言う。
「やっつけたのはほぼサツキじゃないの。ま、あんたの指示があってこそだとは思うけど」
ユラが目を細めてウルスラをじっと睨んだ。やっぱり、目に何かあるみたいだ。
「ユラ、どうしたの、落ち着いてよ」
サツキはユラの僧侶の服を引っ張って注意をこちらに向けようとしたが、ユラはウルスラを睨んだままだ。
どうしちゃったんだろう。昨日はサツキとラムが嫉妬するくらい仲がよかったのに。入れない、そう思うほどだったのに。
「……サツキ、先に進もう」
「え」
後ろを振り返る。ウルスラは肩をすくめ、アールは本当に訳が分からないのだろう、てへ、と笑っていた。
「サツキ!」
「あ、はい!」
ずんずん先を進むユラの後を慌てて追うと、ラムも急いでついてくる。ふふ、一所懸命で可愛いな、そう思いつい笑みが浮かぶ。すると、ユラがまた目を細くして今度はサツキを見た。
「あ、笑ってる場合じゃ……なかったね……」
隣でユラが怒っているのに、そりゃないだろう。ちょっと酷いと我ながら思う。すると。
「別に、あんたにゃ怒ってない」
ぶすっとしたままユラが言った。
「ラムが可愛かったんだろ?」
「可愛いよ!」
食い気味で答えた。ユラが引いているのは分かったが、この可愛さ。語らずにはいられなかった。
「この一所懸命さ! もう! 堪らない! 何なのこれってくらいもう真っ直ぐで、輝いてるっていうか! とにかく尊い!」
すると、それまで仏頂面をしていたユラが笑った。
「は……何それ、ばっかじゃないの」
笑った。何なのこの人。揶揄ったり馬鹿にしたり、皆と仲良くしていたと思うと急に喧嘩して、人に指示を勝手にして、ムキになって。
馬鹿みたいなのはこの人だ。
ユラがサツキを驚いた様に見た。
「何でそこで笑えんの」
「へ?」
頬を触る。口も触る。別に笑ってない。
「何言ってるのユラ。別に笑ってないよ」
「え? ……あ、そうか」
ユラがまた目をパチパチしている。やっぱりおかしい。
「目、どうしたの? 大丈夫?」
サツキが聞いたその瞬間。ユラが手をさっとサツキの前に出して歩みを止めさせた。
「出たぞ」
「え?」
サツキが前方を見る。ぬりかべが三体いる。その真ん中にいる一体は、明らかに他と雰囲気が違った。
ユラが猛った様に笑う。
「来たぞサツキ。レア物だ!」
レア物。サツキは観察を始めた。
「ユラ、さっきのあれに怒ったの? あんなのちょっとした冗談でしょ」
「冗談でも何でも関係ないんだよ。どうだ、俺とサツキで倒したぞ」
サツキの肩を掴む手に力が篭った。
サツキは隣にいるユラと向かいのウルスラをはらはらと交互に見る。なになに、何でいきなりこんな険悪ムードになってるの。
アールはぽけっとしたままだ。あいつ、役に立たないな。悪いが思ってしまった。
ウルスラが呆れた様に言う。
「やっつけたのはほぼサツキじゃないの。ま、あんたの指示があってこそだとは思うけど」
ユラが目を細めてウルスラをじっと睨んだ。やっぱり、目に何かあるみたいだ。
「ユラ、どうしたの、落ち着いてよ」
サツキはユラの僧侶の服を引っ張って注意をこちらに向けようとしたが、ユラはウルスラを睨んだままだ。
どうしちゃったんだろう。昨日はサツキとラムが嫉妬するくらい仲がよかったのに。入れない、そう思うほどだったのに。
「……サツキ、先に進もう」
「え」
後ろを振り返る。ウルスラは肩をすくめ、アールは本当に訳が分からないのだろう、てへ、と笑っていた。
「サツキ!」
「あ、はい!」
ずんずん先を進むユラの後を慌てて追うと、ラムも急いでついてくる。ふふ、一所懸命で可愛いな、そう思いつい笑みが浮かぶ。すると、ユラがまた目を細くして今度はサツキを見た。
「あ、笑ってる場合じゃ……なかったね……」
隣でユラが怒っているのに、そりゃないだろう。ちょっと酷いと我ながら思う。すると。
「別に、あんたにゃ怒ってない」
ぶすっとしたままユラが言った。
「ラムが可愛かったんだろ?」
「可愛いよ!」
食い気味で答えた。ユラが引いているのは分かったが、この可愛さ。語らずにはいられなかった。
「この一所懸命さ! もう! 堪らない! 何なのこれってくらいもう真っ直ぐで、輝いてるっていうか! とにかく尊い!」
すると、それまで仏頂面をしていたユラが笑った。
「は……何それ、ばっかじゃないの」
笑った。何なのこの人。揶揄ったり馬鹿にしたり、皆と仲良くしていたと思うと急に喧嘩して、人に指示を勝手にして、ムキになって。
馬鹿みたいなのはこの人だ。
ユラがサツキを驚いた様に見た。
「何でそこで笑えんの」
「へ?」
頬を触る。口も触る。別に笑ってない。
「何言ってるのユラ。別に笑ってないよ」
「え? ……あ、そうか」
ユラがまた目をパチパチしている。やっぱりおかしい。
「目、どうしたの? 大丈夫?」
サツキが聞いたその瞬間。ユラが手をさっとサツキの前に出して歩みを止めさせた。
「出たぞ」
「え?」
サツキが前方を見る。ぬりかべが三体いる。その真ん中にいる一体は、明らかに他と雰囲気が違った。
ユラが猛った様に笑う。
「来たぞサツキ。レア物だ!」
レア物。サツキは観察を始めた。
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