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第一章 初級編開始
第128話 OLサツキ、初級編三日目の特訓の経過
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勇者という職業を決めた経緯、その話をウルスラが続けようとしたその時。
「前を見ろ! モンスターだ!」
ユラが声を上げた。サツキは咄嗟にバリアーラの呪文を唱え不意打ちに備えると、カン! と高い音を出して電子的に白く光るバリアの壁に何かが当たる。
バリアーラの効果が消えた。
「ありがとうサツキ! 助かった!」
「一回で消えちゃうんだね、知らなかった……」
バリアーラはウルスラに教えてもらった呪文なので、魔導書である『初めてのダンジョン攻略・魔術編~これであなたも冒険者に!~』のあの一見無駄だと思われるワンポイントすら読んでいない。
こんなにすぐ効果が失せてしまうのであれば、恐らくこれは初級魔法だろうから、今日は順繰り後半をめくっていけばその内出てくるかもしれない。
しかし、初級魔法は弱い。ウィルウィンディーンなどの攻撃魔法は比較的効果が強い様だが、こういった補助魔法は早めに中級をマスターした方がよさそうだった。
帰ったら、中級魔法の魔導書を探してみよう。たしかイルミナの呪文が載っていた分があった筈だ。
今持っているこの本だと思って持ってきたのだが、どうもこれはシリーズ物でイルミナはそっちの中級編に載っているらしい。イルミナってどこに載ってるんだっけ、とウルスラに聞いたら、それは別の本だと言われてしまったのだ。
イルミナも、どうせならもう少し効力が長い呪文がないか調べたかった。ダンジョンの風呂場に閉じ込められるのは問題だからだ。折角なら長風呂をしたい。
「うわ、でっか」
ウルスラが前方を見上げると、目の前に立ちはだかっているのは、悪そうな顔をした妖怪のぬりかべみたいなモンスターだ。色は毒々しい紫で、小さな口から見えるのはびっしりと生えた牙。全く可愛くない。というか、今まで会ったモンスターで可愛かったのはラムくらいだ。しかもこれだって始めは相当人相が悪かった。
「これ、どうやって戦えばいいの!?」
ウルスラが背後で見物を決め込んでいるユラに聞いた。
「押し倒して、割るんじゃなかったかな」
「押し倒す……」
「結構固いし重いよ」
「とりあえず蹴り入れてみる?」
モンスターの岩の様な肌をよく見ると、紫のでろでろが染み出している。気持ち悪い。
「ユラ、あれって触っても大丈夫!?」
「あー、毒あるかも」
「そういうのは言ってってば!」
段々ウルスラが苛々してきているのが分かった。
「ユラ! 毒無効化して!」
「毒を癒す方が得意なんだけどなあ」
「いいから黙ってやれやああ!」
とうとうウルスラが切れた。さすがに応えたか、と思ってユラを見たが、サツキに呆れた様に肩をすくめてみせただけだった。とんでもない強メンタルだ。
「効かなかったら怒るなよ。ポッソ・イン・バリデッタ!」
サツキの魔術の方よりも大分呪文っぽい雰囲気の呪文を唱えると、緑色に輝く光がモンスターに襲いかかった。
「前を見ろ! モンスターだ!」
ユラが声を上げた。サツキは咄嗟にバリアーラの呪文を唱え不意打ちに備えると、カン! と高い音を出して電子的に白く光るバリアの壁に何かが当たる。
バリアーラの効果が消えた。
「ありがとうサツキ! 助かった!」
「一回で消えちゃうんだね、知らなかった……」
バリアーラはウルスラに教えてもらった呪文なので、魔導書である『初めてのダンジョン攻略・魔術編~これであなたも冒険者に!~』のあの一見無駄だと思われるワンポイントすら読んでいない。
こんなにすぐ効果が失せてしまうのであれば、恐らくこれは初級魔法だろうから、今日は順繰り後半をめくっていけばその内出てくるかもしれない。
しかし、初級魔法は弱い。ウィルウィンディーンなどの攻撃魔法は比較的効果が強い様だが、こういった補助魔法は早めに中級をマスターした方がよさそうだった。
帰ったら、中級魔法の魔導書を探してみよう。たしかイルミナの呪文が載っていた分があった筈だ。
今持っているこの本だと思って持ってきたのだが、どうもこれはシリーズ物でイルミナはそっちの中級編に載っているらしい。イルミナってどこに載ってるんだっけ、とウルスラに聞いたら、それは別の本だと言われてしまったのだ。
イルミナも、どうせならもう少し効力が長い呪文がないか調べたかった。ダンジョンの風呂場に閉じ込められるのは問題だからだ。折角なら長風呂をしたい。
「うわ、でっか」
ウルスラが前方を見上げると、目の前に立ちはだかっているのは、悪そうな顔をした妖怪のぬりかべみたいなモンスターだ。色は毒々しい紫で、小さな口から見えるのはびっしりと生えた牙。全く可愛くない。というか、今まで会ったモンスターで可愛かったのはラムくらいだ。しかもこれだって始めは相当人相が悪かった。
「これ、どうやって戦えばいいの!?」
ウルスラが背後で見物を決め込んでいるユラに聞いた。
「押し倒して、割るんじゃなかったかな」
「押し倒す……」
「結構固いし重いよ」
「とりあえず蹴り入れてみる?」
モンスターの岩の様な肌をよく見ると、紫のでろでろが染み出している。気持ち悪い。
「ユラ、あれって触っても大丈夫!?」
「あー、毒あるかも」
「そういうのは言ってってば!」
段々ウルスラが苛々してきているのが分かった。
「ユラ! 毒無効化して!」
「毒を癒す方が得意なんだけどなあ」
「いいから黙ってやれやああ!」
とうとうウルスラが切れた。さすがに応えたか、と思ってユラを見たが、サツキに呆れた様に肩をすくめてみせただけだった。とんでもない強メンタルだ。
「効かなかったら怒るなよ。ポッソ・イン・バリデッタ!」
サツキの魔術の方よりも大分呪文っぽい雰囲気の呪文を唱えると、緑色に輝く光がモンスターに襲いかかった。
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