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第一章 初級編開始

第120話 OLサツキ、初級編三日目は更なる奥へ

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 朝食を済ませた一行は、ダンジョンの次のフロアへと降りて行った。

「ユラ、このダンジョンって地下何回まであるの?」

 今日もサツキは前衛だが、今日はウルスラと並んでいる。

 ウルスラが昨日は暇そうに見えたから、と前衛に誘ったら、尻尾を振る犬の様な勢いでやって来ると、アールをドン! と突き飛ばし前衛に収まったのだ。

 アールは渋々、後衛に移動して行った。ちょっと乱暴ではあったけど結果オーライだ。これできっと今日のユラはご機嫌に違いない。

 皮肉屋だから、そこは変わらないかもしれないけど。

「このダンジョンは試験用に使う初級も初級のダンジョンだから、浅めの地下二十五階でラスボス倒しておしまい」

 ほら、ポーカーフェイスだけどちゃんと嫌味なく答えてくれる。やはりサツキの読みは当たっていたに違いない。

 でもバレたのが分かると嫌がりそうだから、ここは必死で隠さねば。

「じゃあお風呂はもう一回入れるのね!」
「ウルスラもお風呂好きなのね」

 ふふ、とサツキは隣のウルスラに笑いかける。

「旅の疲れはやっぱりお風呂が一番効果的だもんね」
「まあ歩くもんね。正直ここまで歩き続けるとは、想像してなかったもん」
「まあ普通に暮らしてたらこんなに歩く機会ないものねえ」

 ダンジョンはとにかく歩く。休憩とバトル以外はただひたすら歩いた。サツキ本来の身体だったら、一日と持たなかっただろう。

「しっかしすっかり懐かれちゃったわね」

 ウルスラが、サツキに繋がれた黄緑色の手を見て呆れた様に笑う。

 そう、ラムだ。テイムされたアールの方に行くのかと思いきや、ラムが一緒に行くのを選んだのはサツキだったのだ。

 昨日はアールも前衛にいたから、てっきりアールといたいのだと思っていたのだが。

「テイマーが懐かれないって笑えるよな」
「ユラって本当俺に厳しいよなー」

 ユラは真顔で言い切った。

「違う。俺は自分にしか甘くないんだ」
「ユラらしいわー」

 ウルスラはそう言うとサツキに笑いかけた。サツキも笑顔で応えて。

「あ!」

 アールを振り返った。アールがなになに? といった表情で目を輝かせている。

 サツキは、アールの後ろをしょんぼりとついて行く緑色のスライムを指差した。

「アール、その子の名前はもう付けたの?」
「あ!」

 アールが慌てて後ろを振り返った。緑色のスライムの雰囲気が暗いと思ったら、やっぱり忘れていたらしい。可哀想に。

「テイムの能力があってもテイマーに向いているかとは別問題なんだな」
「サツキの方が向いてそうよね」

 二人は相変わらず容赦ない。アールは焦った様に交互に皆を見る。

「ど、どうしよう、俺全然名前なんて分かんないよ!」
「一晩考えて格好いい名前付けてあげるって約束してたじゃない。可哀想に」
「だ、だってさあ……あ、サツキ! サツキなら考えられるよな!? これは先生からの課題です!」
「え」

 こいつ、人に丸投げしやがった。サツキは唖然とした。
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