117 / 731
第一章 初級編開始
第116話 OLサツキ、初級編三日目開始
しおりを挟む
昨夜採ってきた果物の内、紫色の林檎は林檎ではなく、何と中身は酒だった。
食べてもいいだろうということでユラに手渡され一口齧った時の違和感。
中に入っていたのはいうなればウィスキーの様な濃い味のアルコールきつめの酒で、口に入れた瞬間むせてしまった。
ユラは人を指差し笑い転げていた。
人のことを目障りだと言った後だというのに、何でもなかったかの様に振る舞う。
全く理解出来ず、もう理解したいとも思えなかった。
もうひとつのどピンクの小玉スイカは、こちらはちゃんと果物だった。ドラゴンフルーツの様な味で、美味しかった。
バリアーラの呪文は、外にアールがいたら全く意味をなさないことが分かったので止めた。
それにサツキは男の身体だ、何がどうなることもあるまいと、ようやく冷静になった頭で考え結論付けた。
それに正直、ウルスラと寝るのはもう勘弁だった。また不用意に触られたら溜まったものではない。
温泉と強い酒の効果もあってか、ベッドに横になると即座に寝てしまった。
朝、目が覚めると辺りは静かだった。サツキはベッドから出ると、誰か起きていないか確認をする。ベッドの前にはそれぞれの靴が並べられており、まだ皆が寝ているのがそれで分かる。
実は、昨日のウルスラの言葉が気になっていたのだ。女湯は広い、確かにそう言っていた。恐らく男湯も広いのだろうが、万が一アールやユラが入ってきてしまうとさすがに気まずい。
であれば。
男の姿で女湯に入ろうとすると雷魔法が発動する、と聞いたので、サツキは本来の自分の姿を思い浮かべ、呪文を唱えた。
「イルミナ!」
杖の先端が光り、背が縮み胸が膨らむ。よし、レッツ女湯だ。いそいそとタオルを取り出し風呂へ向かおうと振り向くと。
目の前にユラが立っていた。
「うわっ!」
ユラは目を擦っては怪訝そうにサツキを見ている。
「……何?」
「あれ、その声。本物か」
ぶつぶつと呟いている。独り言みたいだ。サツキは構わないことにした。
「お風呂入るから、じゃ」
ユラの横を通り過ぎようとすると、目で追われているのが分かった。
何なのこの人。リアムの中身がサツキだって分かってから、何か態度がガラリと変わって不愉快だ。
リアムの中身がサツキでもいいと、ユラだって言っていたのに。
サツキは急いで女湯に入った。当然のことながらあの視線はもう感じられなくなり、サツキはほっとしてしゃがみ込みそうになる。
「あ、駄目よ! 一時間しかないんだから!」
一時間以内に出ないと、リアムの姿に戻ってしまう。
出るのが間に合わずに明日までここに閉じ込められでもしたら溜まったものではないし、もしかしたら男に戻った瞬間雷でピシャン、なんて可能性だってあるかもしれない。
服を脱ぎ女湯を見渡す。昨日入った貸し切り風呂と同じ作りだが、遥かに広い。
サツキは、思う存分女湯を堪能することにしたのだった。
食べてもいいだろうということでユラに手渡され一口齧った時の違和感。
中に入っていたのはいうなればウィスキーの様な濃い味のアルコールきつめの酒で、口に入れた瞬間むせてしまった。
ユラは人を指差し笑い転げていた。
人のことを目障りだと言った後だというのに、何でもなかったかの様に振る舞う。
全く理解出来ず、もう理解したいとも思えなかった。
もうひとつのどピンクの小玉スイカは、こちらはちゃんと果物だった。ドラゴンフルーツの様な味で、美味しかった。
バリアーラの呪文は、外にアールがいたら全く意味をなさないことが分かったので止めた。
それにサツキは男の身体だ、何がどうなることもあるまいと、ようやく冷静になった頭で考え結論付けた。
それに正直、ウルスラと寝るのはもう勘弁だった。また不用意に触られたら溜まったものではない。
温泉と強い酒の効果もあってか、ベッドに横になると即座に寝てしまった。
朝、目が覚めると辺りは静かだった。サツキはベッドから出ると、誰か起きていないか確認をする。ベッドの前にはそれぞれの靴が並べられており、まだ皆が寝ているのがそれで分かる。
実は、昨日のウルスラの言葉が気になっていたのだ。女湯は広い、確かにそう言っていた。恐らく男湯も広いのだろうが、万が一アールやユラが入ってきてしまうとさすがに気まずい。
であれば。
男の姿で女湯に入ろうとすると雷魔法が発動する、と聞いたので、サツキは本来の自分の姿を思い浮かべ、呪文を唱えた。
「イルミナ!」
杖の先端が光り、背が縮み胸が膨らむ。よし、レッツ女湯だ。いそいそとタオルを取り出し風呂へ向かおうと振り向くと。
目の前にユラが立っていた。
「うわっ!」
ユラは目を擦っては怪訝そうにサツキを見ている。
「……何?」
「あれ、その声。本物か」
ぶつぶつと呟いている。独り言みたいだ。サツキは構わないことにした。
「お風呂入るから、じゃ」
ユラの横を通り過ぎようとすると、目で追われているのが分かった。
何なのこの人。リアムの中身がサツキだって分かってから、何か態度がガラリと変わって不愉快だ。
リアムの中身がサツキでもいいと、ユラだって言っていたのに。
サツキは急いで女湯に入った。当然のことながらあの視線はもう感じられなくなり、サツキはほっとしてしゃがみ込みそうになる。
「あ、駄目よ! 一時間しかないんだから!」
一時間以内に出ないと、リアムの姿に戻ってしまう。
出るのが間に合わずに明日までここに閉じ込められでもしたら溜まったものではないし、もしかしたら男に戻った瞬間雷でピシャン、なんて可能性だってあるかもしれない。
服を脱ぎ女湯を見渡す。昨日入った貸し切り風呂と同じ作りだが、遥かに広い。
サツキは、思う存分女湯を堪能することにしたのだった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる