67 / 731
第一章 初級編開始
第66話 OLサツキの初級編初日の夕餉前
しおりを挟む
地図で確認した安全地帯の境界線には、怯える色とりどりのスライム達が震えながら固まっていた。
「俺ら、もしかして怖がられてる?」
アールがそいつらを指差しながらウルスラに尋ねる。
「まあ、ドラゴンスレイヤーの称号を手に入れちゃったからね」
「称号?」
サツキが聞くと、ウルスラが笑って頷いた。
「目には見えないけどね、鑑定士か、後はモンスター達は分かるらしいわ」
所謂ゲームのステータス欄の様なものだろうか。
ウルスラが少し憐れむ様にスライム達を見回す。
「私達のことがどう映ってるんだか知らないけど、かなり怖がられてるのは分かるわ」
「でも、そうしたら何で入り口で襲ってきたのかな?」
あのスライムはやる気満々だった。
「自己評価が間違ってる奴ってのはどこにでもいるもんなんじゃない?」
ウルスラが、アールを見ながら笑う。
「今俺のこと見なかった?」
「気の所為じゃない?」
「そっか、ならよかった」
これで納得してしまう辺り、少し憐れみを誘った。
ユラが地図を広げながらスライム達を見る。
「そうか、戦う意欲のないモンスター達が俺達の進んだ道を後退していくと、丁度ここに溜まっちゃうんだな」
「つまりは袋の鼠」
きらん、とウルスラの目が怪しく光る。
「見てよ! 緑の奴もいるわよ! あれもまた爽やかな味でさっぱりして飲みやすいのよね!」
完全に飲み物扱いである。
すると、アールが震えるスライム達の前に突然立ち塞がると、叫んだ。
「やめてやれよ! 今日の分は足りてるだろ!」
「……はい?」
「とうとう頭がおかしくなったか」
優しさのかけらはどこにもない。
「違うよ! 不要な殺生は必要ないって言ってんの! 見てよ! こんなに震えて、可哀想に!」
ユラが冷たい目をしたまま言う。
「スライムっていつも震えてない?」
「うるさいうるさいうるさい! こんな殺しても経験値にならなさそうなのを無理に倒さなくてもいいじゃないか!」
アールは真剣だ。
「どうしちゃったの、アール」
「同族相憐れむってやつじゃないか」
二人は仲間だというのに本当に容赦がない。サツキはチラッとアールの背後で固まっているスライムとアールを見た。
「ん?」
何だろう、あのピンクのもやみたいなのは。その怪しげなピンク色が、アールとスライム達をふんわりと繋いでいる。
「ねえウルスラ、あのピンク色の、何?」
「へ?」
するとユラがすす、とサツキの横に寄ってくると、目を細めた。
「ウルスラは魔力ないから見えないと思う。……ありゃあ……まじか」
「え、ちょっと何、説明しなさいよユラ」
「何!? 俺に何が起きてんの!? あ! 何かピンク色!」
アールが焦り出した。自分からピンク色のもやが出ていたら、そりゃあ驚くだろう。だがその前に、アールに魔力があったのが驚きだった。
「あ、あの、ユラはあれが何か分かるの?」
ユラは勿体ぶった様に頷き、断言した。
「ありゃあテイマーの能力だよ。間違いない」
「て、ていまー?」
サツキの頭に、大量のはてなが浮かんだ。
「俺ら、もしかして怖がられてる?」
アールがそいつらを指差しながらウルスラに尋ねる。
「まあ、ドラゴンスレイヤーの称号を手に入れちゃったからね」
「称号?」
サツキが聞くと、ウルスラが笑って頷いた。
「目には見えないけどね、鑑定士か、後はモンスター達は分かるらしいわ」
所謂ゲームのステータス欄の様なものだろうか。
ウルスラが少し憐れむ様にスライム達を見回す。
「私達のことがどう映ってるんだか知らないけど、かなり怖がられてるのは分かるわ」
「でも、そうしたら何で入り口で襲ってきたのかな?」
あのスライムはやる気満々だった。
「自己評価が間違ってる奴ってのはどこにでもいるもんなんじゃない?」
ウルスラが、アールを見ながら笑う。
「今俺のこと見なかった?」
「気の所為じゃない?」
「そっか、ならよかった」
これで納得してしまう辺り、少し憐れみを誘った。
ユラが地図を広げながらスライム達を見る。
「そうか、戦う意欲のないモンスター達が俺達の進んだ道を後退していくと、丁度ここに溜まっちゃうんだな」
「つまりは袋の鼠」
きらん、とウルスラの目が怪しく光る。
「見てよ! 緑の奴もいるわよ! あれもまた爽やかな味でさっぱりして飲みやすいのよね!」
完全に飲み物扱いである。
すると、アールが震えるスライム達の前に突然立ち塞がると、叫んだ。
「やめてやれよ! 今日の分は足りてるだろ!」
「……はい?」
「とうとう頭がおかしくなったか」
優しさのかけらはどこにもない。
「違うよ! 不要な殺生は必要ないって言ってんの! 見てよ! こんなに震えて、可哀想に!」
ユラが冷たい目をしたまま言う。
「スライムっていつも震えてない?」
「うるさいうるさいうるさい! こんな殺しても経験値にならなさそうなのを無理に倒さなくてもいいじゃないか!」
アールは真剣だ。
「どうしちゃったの、アール」
「同族相憐れむってやつじゃないか」
二人は仲間だというのに本当に容赦がない。サツキはチラッとアールの背後で固まっているスライムとアールを見た。
「ん?」
何だろう、あのピンクのもやみたいなのは。その怪しげなピンク色が、アールとスライム達をふんわりと繋いでいる。
「ねえウルスラ、あのピンク色の、何?」
「へ?」
するとユラがすす、とサツキの横に寄ってくると、目を細めた。
「ウルスラは魔力ないから見えないと思う。……ありゃあ……まじか」
「え、ちょっと何、説明しなさいよユラ」
「何!? 俺に何が起きてんの!? あ! 何かピンク色!」
アールが焦り出した。自分からピンク色のもやが出ていたら、そりゃあ驚くだろう。だがその前に、アールに魔力があったのが驚きだった。
「あ、あの、ユラはあれが何か分かるの?」
ユラは勿体ぶった様に頷き、断言した。
「ありゃあテイマーの能力だよ。間違いない」
「て、ていまー?」
サツキの頭に、大量のはてなが浮かんだ。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる