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第一章 初級編開始
第58話 OLサツキ、初級編から苦戦
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待ち合わせをしたバルバイトの街を出てすぐの草原に、アールもユラも先に来て座り込んでいた。
街中は居辛かったのかもしれない。二人共見た目がイケメンだけに、余計に憐れみを誘った。
「お待たせ! あんた達暗いわよ!」
ウルスラは一才容赦がない。だがその明るい笑顔のお陰で、このパーティーの雰囲気が暗くならないのも事実だ。
アールとユラがこちらに気付くと、嬉しそうに笑いながら立ち上がった。
「さ、サツキ、行こう!」
「うん!」
ウルスラに促され、二人の元に駆け寄る。正直、羨ましかった。サツキにはウルスラの様なぱっと大輪の花が咲く様な空気がない。敢えておなじ花に例えるなら、遠慮がちに下を向いてちっちゃく咲く鈴蘭か。それも連なった物ではなく、その内のひとつだ。
しかも今はリアムというおっさん魔術師になっている。この先一体どうなるんだろう、それを考えると不安だった。
いつか元の身体に戻れるのだろうか、そう考え、自分を取り巻く環境がちっとも楽しいものでなかったことを思い出した。
パーティーの皆は、本当のリアムがどこに行ったか気にならないのだろうか。いや、多分まだそこまで思い至っていないのかもしれない。
もしリアムがサツキの身体に入っていたとしたら。そしてそれは恐らくほぼ間違いない。何となく、そんな気がした。同じ波長というか、通じるものがあるというか、リアムの身体がやけにしっくり来るのはその所為ではないのか。
サツキの環境はハードモードだ。イジメ、セクハラ、最近はちょっとストーカーめいてきたことも増えてきていたところだ。
「ごめんなさい、リアム」
この身体は返したくなかった。あんな場所に戻るくらいなら、男でもおっさんでも、この太陽の様な人の隣で生きていきたい。
「サツキー?」
「あ、ごめん、ぼうっとしてた」
「しっかり! さ、そしたら初級ダンジョンに出発よ! 誰かルーンのダンジョンに行ったことは?」
ユラが手を上げた。
「僧侶の初級試験の場所があそこだった」
「でかしたわ! 私は行ったことないからフルールで飛べないかなって心配してたのよね! ほら、初級だからお手軽にいきたいじゃない?」
すると、すすす、とアールが隣に寄ってきて手を掴んだ。おっさんのサツキの手を。
「へへ」
眩しい笑顔を見せるが、今なら分かる、この馬鹿っぽさ。
「あ! ちょっと! サツキは片方杖持って呪文言うのに! 離しなさいよ!」
「いいじゃん、少しくらい。ほらウルスラ、反対の手が空いてるから繋ごう」
「……あんた、寂しさを私達で埋めようとしてない?」
「気の所為気の所為」
アールは爽やかな笑顔で誤魔化したが、全く誤魔化せていない。
ユラもウルスラと手を繋ぐ。
「さ、サツキ! フルール・ルーンのダンジョンへ、よ!」
「わ、分かった! フルール・ルーンのダンジョン!」
そして飛んだダンジョンの地下一階で。
サツキはスライムの渾身の攻撃を受けてひっくり返った。
街中は居辛かったのかもしれない。二人共見た目がイケメンだけに、余計に憐れみを誘った。
「お待たせ! あんた達暗いわよ!」
ウルスラは一才容赦がない。だがその明るい笑顔のお陰で、このパーティーの雰囲気が暗くならないのも事実だ。
アールとユラがこちらに気付くと、嬉しそうに笑いながら立ち上がった。
「さ、サツキ、行こう!」
「うん!」
ウルスラに促され、二人の元に駆け寄る。正直、羨ましかった。サツキにはウルスラの様なぱっと大輪の花が咲く様な空気がない。敢えておなじ花に例えるなら、遠慮がちに下を向いてちっちゃく咲く鈴蘭か。それも連なった物ではなく、その内のひとつだ。
しかも今はリアムというおっさん魔術師になっている。この先一体どうなるんだろう、それを考えると不安だった。
いつか元の身体に戻れるのだろうか、そう考え、自分を取り巻く環境がちっとも楽しいものでなかったことを思い出した。
パーティーの皆は、本当のリアムがどこに行ったか気にならないのだろうか。いや、多分まだそこまで思い至っていないのかもしれない。
もしリアムがサツキの身体に入っていたとしたら。そしてそれは恐らくほぼ間違いない。何となく、そんな気がした。同じ波長というか、通じるものがあるというか、リアムの身体がやけにしっくり来るのはその所為ではないのか。
サツキの環境はハードモードだ。イジメ、セクハラ、最近はちょっとストーカーめいてきたことも増えてきていたところだ。
「ごめんなさい、リアム」
この身体は返したくなかった。あんな場所に戻るくらいなら、男でもおっさんでも、この太陽の様な人の隣で生きていきたい。
「サツキー?」
「あ、ごめん、ぼうっとしてた」
「しっかり! さ、そしたら初級ダンジョンに出発よ! 誰かルーンのダンジョンに行ったことは?」
ユラが手を上げた。
「僧侶の初級試験の場所があそこだった」
「でかしたわ! 私は行ったことないからフルールで飛べないかなって心配してたのよね! ほら、初級だからお手軽にいきたいじゃない?」
すると、すすす、とアールが隣に寄ってきて手を掴んだ。おっさんのサツキの手を。
「へへ」
眩しい笑顔を見せるが、今なら分かる、この馬鹿っぽさ。
「あ! ちょっと! サツキは片方杖持って呪文言うのに! 離しなさいよ!」
「いいじゃん、少しくらい。ほらウルスラ、反対の手が空いてるから繋ごう」
「……あんた、寂しさを私達で埋めようとしてない?」
「気の所為気の所為」
アールは爽やかな笑顔で誤魔化したが、全く誤魔化せていない。
ユラもウルスラと手を繋ぐ。
「さ、サツキ! フルール・ルーンのダンジョンへ、よ!」
「わ、分かった! フルール・ルーンのダンジョン!」
そして飛んだダンジョンの地下一階で。
サツキはスライムの渾身の攻撃を受けてひっくり返った。
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