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序章 転移
第43話 魔術師リアム、調子に乗らされる
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朝○ックなるものは、あのシュワシュワのコーラという代物以外は非常に美味だった。
「今日はお金と、後は残りの家電製品の使い方の説明をしようか」
「うむ、そうしてもらえると助かる。まずは身の回りからだな」
祐介の提案にリアムは賛同した。○クドナルドという先程の怪しげな店から出、今は家の方向に向かっている。一本道だからもう手は繋がなくていいと申し出たその瞬間、階段から滑り落ちそうになった。どうもこの靴は大き過ぎた様だ。サツキはまともな靴ひとつ持っていないのだろうか。後程確認が必要だろう。
咄嗟にリアムの腕を掴んだ祐介は、その後は笑顔で有無を言わさずに手を繋いできた。言い訳の仕様もない。完全にリアムの失態である。リアムは素直に従った。
「給料はさ、銀行って所に振り込まれるから引き出さないといけないんだけど、銀行って分かる?」
「銀行は分かるぞ。金貨などを預けていた」
「じゃあ説明要らないね。ただ引き出し方法は多分分からないから説明したいんだけど、問題は暗証番号なんだよね。サツキちゃん、分からないよね?」
「意味は分かるぞ。鍵の施錠などに使われる番号のことだろう?」
「おっ珍しく話が通じるね」
「……馬鹿にしてるのか」
「滅相もない」
リアムが思い切り睨みつけると、ひく、と祐介が引き攣った笑いを見せた。
「たださ……サツキちゃんが設定した四桁の番号がないと、お金を取り出せないんだよ」
「ふむ」
残念ながらサツキの記憶まではリアムの中には残されていない。何かしらの設定をしたにしても、祐介もろくに以前のサツキを知らない様だし役には立たないだろう。
「……あれが使えるかもしれん」
「あれ?」
リアムがにやりと笑って頷く。
「宝箱等の解錠に使用する初級魔法だ。今日は使えぬが、明日なら試すことが出来よう」
「……何でもありだなあ」
「何だ?」
「いえいえ、さすがです」
にこにこと祐介が褒める。褒められて悪い気はしないので、リアムも微笑み返した。唯一頼りになる祐介とは友好な関係を築いておいて損はない。
「それにさっきのガラケーを開くにも多分暗証番号の入力が要るだろうし」
「初級魔法なら五回まで使えるのは判明している。問題ないだろう」
「おお、頼もしいね」
「ふふ、任せろ」
その話の後、お昼は何を食べようか、などと他愛もない会話をしつつ帰路をのんびりと歩いていると。
「!」
急に祐介の表情が厳しいものに変わった。握った手に力が入り、痛い。
「祐介、手が痛い」
「喋んないで」
「……どうした?」
「……何であいつここを彷徨いてんだ」
「何のことだ?」
リアムを見下ろす祐介の顔は、これまで見たこともない位怖かった。
「サツキちゃん、僕の後ろに隠れてて」
声も低い。
「祐介? 一体……」
「よう、山岸! 何やってんだ?」
男性の声が祐介を呼んだ。
「……羽田さんは、何でここにいるんですか」
祐介が、凍る様な冷たい声色で男に聞き返した。
「今日はお金と、後は残りの家電製品の使い方の説明をしようか」
「うむ、そうしてもらえると助かる。まずは身の回りからだな」
祐介の提案にリアムは賛同した。○クドナルドという先程の怪しげな店から出、今は家の方向に向かっている。一本道だからもう手は繋がなくていいと申し出たその瞬間、階段から滑り落ちそうになった。どうもこの靴は大き過ぎた様だ。サツキはまともな靴ひとつ持っていないのだろうか。後程確認が必要だろう。
咄嗟にリアムの腕を掴んだ祐介は、その後は笑顔で有無を言わさずに手を繋いできた。言い訳の仕様もない。完全にリアムの失態である。リアムは素直に従った。
「給料はさ、銀行って所に振り込まれるから引き出さないといけないんだけど、銀行って分かる?」
「銀行は分かるぞ。金貨などを預けていた」
「じゃあ説明要らないね。ただ引き出し方法は多分分からないから説明したいんだけど、問題は暗証番号なんだよね。サツキちゃん、分からないよね?」
「意味は分かるぞ。鍵の施錠などに使われる番号のことだろう?」
「おっ珍しく話が通じるね」
「……馬鹿にしてるのか」
「滅相もない」
リアムが思い切り睨みつけると、ひく、と祐介が引き攣った笑いを見せた。
「たださ……サツキちゃんが設定した四桁の番号がないと、お金を取り出せないんだよ」
「ふむ」
残念ながらサツキの記憶まではリアムの中には残されていない。何かしらの設定をしたにしても、祐介もろくに以前のサツキを知らない様だし役には立たないだろう。
「……あれが使えるかもしれん」
「あれ?」
リアムがにやりと笑って頷く。
「宝箱等の解錠に使用する初級魔法だ。今日は使えぬが、明日なら試すことが出来よう」
「……何でもありだなあ」
「何だ?」
「いえいえ、さすがです」
にこにこと祐介が褒める。褒められて悪い気はしないので、リアムも微笑み返した。唯一頼りになる祐介とは友好な関係を築いておいて損はない。
「それにさっきのガラケーを開くにも多分暗証番号の入力が要るだろうし」
「初級魔法なら五回まで使えるのは判明している。問題ないだろう」
「おお、頼もしいね」
「ふふ、任せろ」
その話の後、お昼は何を食べようか、などと他愛もない会話をしつつ帰路をのんびりと歩いていると。
「!」
急に祐介の表情が厳しいものに変わった。握った手に力が入り、痛い。
「祐介、手が痛い」
「喋んないで」
「……どうした?」
「……何であいつここを彷徨いてんだ」
「何のことだ?」
リアムを見下ろす祐介の顔は、これまで見たこともない位怖かった。
「サツキちゃん、僕の後ろに隠れてて」
声も低い。
「祐介? 一体……」
「よう、山岸! 何やってんだ?」
男性の声が祐介を呼んだ。
「……羽田さんは、何でここにいるんですか」
祐介が、凍る様な冷たい声色で男に聞き返した。
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