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序章 転移
第42話 OLサツキ、揶揄ったつもりはないけれど
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泣かされた原因のウルスラに慰められ、ようやく何とか立ち直ったサツキは、着替えを済ますと同じ様に着替えたウルスラと表に出た。
ウルスラもリアムの家がどこにあるかまでは知っていなかったが、ぐるりと見回し分かったらしい。
「本屋や魔具屋が多い場所よ。こういう言い方はあれだけど、頭はいいけどちょっと固い人達が好んで住む場所。だからまあよくも悪くもドラゴン討伐した人が歩いててもあんまり気にされないというか。あ、リアムがそうだって言ってる訳じゃな……いや、そこそこ固かったな……うん」
ぶつぶつ呟いて考え込み始めた。リアムはどうやら真面目なだけでなく、頭も少し固いらしい。家の中も非常に整っており、並んだ魔術書も本の大きさ順に綺麗に並べられていた。几帳面な性格なのだろう。
そういえば、サツキの家の廊下にはゴミ袋を積み上げて、疲れ切って脱いだ服は脱いだ場所に放置してきてしまった。リアムが無事にサツキの家に辿り着いたのか、いやそもそも電車に撥ねられていないかも分からないが、あれを見たら発狂してるのではないか。
排水口も、掃除しようしようと思ってしていなかった。洗濯物も溜め込んでたし、とんでもなくだらしない女の子だと思われていないだろうか。
日頃のサツキはそこまでだらしなくはないが、ここのところあまりにも多忙過ぎて色々と後回しにし過ぎていた。こんなにゆっくり誰かと連れ立って楽しく過ごすなど、どれくらいぶりだろう。
忙しいと分かっていて、人に全部仕事を押し付けてさっさと帰ってしまったお局様の顔が脳裏に浮かび、サツキは頭をぶんぶん振ってそれを追い出した。
「ど、どうしたのサツキ」
ウルスラが引き気味で尋ねた。しまった、心配させてしまった様だ。
「あ、ごめん何でもない。ちょっと前の嫌なことを思い出しちゃって」
「そうか……話したくなったら言って、いつでも聞くから」
「ウルスラ……」
ジン、と感動した。これまで、ここまで優しい言葉を同性に掛けられたことなどあっただろうか。どうも皆、サツキを見るとサツキの性格の前に胸を見る傾向にあり、事あるごとに「胸がでかい癖に」とか「胸がでかい割に」とか、枕詞に胸が出てくる。
胸、胸、胸。うんざりだった。それが今こうして解放されても思い出されるのは、サツキの精神に汚泥の様にその呪詛の様な言葉達がこびりついているからなのかもしれない。
そんな中、ウルスラの言葉は只々優しく、サツキに癒やしを与えるものだった。さすがは見習い勇者だ、懐が深い。
「ウルスラ」
「ん?」
店を探しているのか、ウルスラがキョロキョロと辺りを見回している。どうしても伝えたかった。
「私、ウルスラに出会えて本当によかった」
「えっサツキってば何よ急にっ」
驚いた様な照れた様な顔は、可愛かった。サツキはにっこりと微笑むと言った。
「ウルスラ、大好き」
「やっやあね揶揄ったりして! もうっふふっふふふっ」
「うふ」
「あははは」
真っ赤に照れたウルスラを見て、この世界に来て本当に良かった、と思ったサツキだった。
ウルスラもリアムの家がどこにあるかまでは知っていなかったが、ぐるりと見回し分かったらしい。
「本屋や魔具屋が多い場所よ。こういう言い方はあれだけど、頭はいいけどちょっと固い人達が好んで住む場所。だからまあよくも悪くもドラゴン討伐した人が歩いててもあんまり気にされないというか。あ、リアムがそうだって言ってる訳じゃな……いや、そこそこ固かったな……うん」
ぶつぶつ呟いて考え込み始めた。リアムはどうやら真面目なだけでなく、頭も少し固いらしい。家の中も非常に整っており、並んだ魔術書も本の大きさ順に綺麗に並べられていた。几帳面な性格なのだろう。
そういえば、サツキの家の廊下にはゴミ袋を積み上げて、疲れ切って脱いだ服は脱いだ場所に放置してきてしまった。リアムが無事にサツキの家に辿り着いたのか、いやそもそも電車に撥ねられていないかも分からないが、あれを見たら発狂してるのではないか。
排水口も、掃除しようしようと思ってしていなかった。洗濯物も溜め込んでたし、とんでもなくだらしない女の子だと思われていないだろうか。
日頃のサツキはそこまでだらしなくはないが、ここのところあまりにも多忙過ぎて色々と後回しにし過ぎていた。こんなにゆっくり誰かと連れ立って楽しく過ごすなど、どれくらいぶりだろう。
忙しいと分かっていて、人に全部仕事を押し付けてさっさと帰ってしまったお局様の顔が脳裏に浮かび、サツキは頭をぶんぶん振ってそれを追い出した。
「ど、どうしたのサツキ」
ウルスラが引き気味で尋ねた。しまった、心配させてしまった様だ。
「あ、ごめん何でもない。ちょっと前の嫌なことを思い出しちゃって」
「そうか……話したくなったら言って、いつでも聞くから」
「ウルスラ……」
ジン、と感動した。これまで、ここまで優しい言葉を同性に掛けられたことなどあっただろうか。どうも皆、サツキを見るとサツキの性格の前に胸を見る傾向にあり、事あるごとに「胸がでかい癖に」とか「胸がでかい割に」とか、枕詞に胸が出てくる。
胸、胸、胸。うんざりだった。それが今こうして解放されても思い出されるのは、サツキの精神に汚泥の様にその呪詛の様な言葉達がこびりついているからなのかもしれない。
そんな中、ウルスラの言葉は只々優しく、サツキに癒やしを与えるものだった。さすがは見習い勇者だ、懐が深い。
「ウルスラ」
「ん?」
店を探しているのか、ウルスラがキョロキョロと辺りを見回している。どうしても伝えたかった。
「私、ウルスラに出会えて本当によかった」
「えっサツキってば何よ急にっ」
驚いた様な照れた様な顔は、可愛かった。サツキはにっこりと微笑むと言った。
「ウルスラ、大好き」
「やっやあね揶揄ったりして! もうっふふっふふふっ」
「うふ」
「あははは」
真っ赤に照れたウルスラを見て、この世界に来て本当に良かった、と思ったサツキだった。
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