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序章 転移
第30話 OLサツキ、自分の姿を晒す
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獅子丸と勝手に命名したお風呂の給水口は、なんと泡風呂にしてくれた。言ってみるものだ。
お陰であそこを凝視しないままでほぼいけた。
「獅子丸、本当にありがとう」
獅子丸の口がニヤリと上がった気がした。
泡風呂なので、そのまま泡で身体中を洗い、流したらおしまいだ。サツキはこの心優しい獅子丸に深々とお辞儀をした。
「本当にありがとう。また明日も宜しくお願いします」
獅子丸はまたニヤリとした後、目を閉じた。風呂場には鏡はなく、不意に自分の姿が視界に入ってくることもない。バスタオルで身体を拭き終わったところで、サツキはもう一度勇気を出して自分の身体を見下ろした。
それにしてもいい身体だ。そこそこな年齢に達している様だが、腹部はいい感じに腹筋が割れている。付き過ぎでないところがポイントが高かった。太ももも太過ぎず、腕に力を込めるとむきっと筋肉が出る。所謂細マッチョという奴だ。ダンジョンを歩き回るくらいだ、体力はありそうだった。
この体型は維持しておかねば、いざ戻った時にリアムが嘆くだろう。筋トレの方法をウルスラに聞こう、サツキは小さく頷いた後、最後に残しておいた箇所を確認することにした。
「勇気を出すのよサツキ! 貴女の大好きなアイドル達にだって同じ物は付いている!」
目を閉じそう呟いた後、思い切って目を開けた。
「おお……お?」
何だろう、トイレの時に感じていた嫌悪感が今はそれほどない。何というか、いや付いてて当たり前だし、と脳が受け入れているというか。
拭くついでに触ってみたが、やはり違和感はかなり失せていた。そういえば、胸がないのもいつの間にか慣れてしまった。
サツキはハッと気付いた。
「そうか、身体はリアムのままだから、脳みそもリアムのなんだよね……!」
記憶喪失の人も、歩けるし喋れるし会話が出来るというじゃないか。そういうことなのかもしれなかった。
少し、ホッとした。なので言った。
「リアムさん、困った時は私を助けて下さいね……」
そしてえへ、と笑った。
「サツキー?」
「あ! 今行く!」
サツキは急いで服を着ると、ウルスラの元へと走った。
「お待たせ! そうしたら、どうすればいいの?」
「それ、忘れちゃってたから本を探してたのよ」
ウルスラは一冊の本を見せてくれた。魔術書なのだろう、古めかしい絵柄が挿絵で付いている。
サツキはそれを読み上げた。
「なになに? 『頭に思い浮かべた人物を呼びながら呪文を唱えます。ワンポイント! 全身を思い浮かべること』……」
「やってみてよサツキ」
「う、うん。えー、『野原サツキ、イルミナ』!」
すると杖から出た光がサツキの身体を覆い。
「うっわ……乳でっか……」
ウルスラのその言葉で、呪文が成功したことをサツキは知った。
お陰であそこを凝視しないままでほぼいけた。
「獅子丸、本当にありがとう」
獅子丸の口がニヤリと上がった気がした。
泡風呂なので、そのまま泡で身体中を洗い、流したらおしまいだ。サツキはこの心優しい獅子丸に深々とお辞儀をした。
「本当にありがとう。また明日も宜しくお願いします」
獅子丸はまたニヤリとした後、目を閉じた。風呂場には鏡はなく、不意に自分の姿が視界に入ってくることもない。バスタオルで身体を拭き終わったところで、サツキはもう一度勇気を出して自分の身体を見下ろした。
それにしてもいい身体だ。そこそこな年齢に達している様だが、腹部はいい感じに腹筋が割れている。付き過ぎでないところがポイントが高かった。太ももも太過ぎず、腕に力を込めるとむきっと筋肉が出る。所謂細マッチョという奴だ。ダンジョンを歩き回るくらいだ、体力はありそうだった。
この体型は維持しておかねば、いざ戻った時にリアムが嘆くだろう。筋トレの方法をウルスラに聞こう、サツキは小さく頷いた後、最後に残しておいた箇所を確認することにした。
「勇気を出すのよサツキ! 貴女の大好きなアイドル達にだって同じ物は付いている!」
目を閉じそう呟いた後、思い切って目を開けた。
「おお……お?」
何だろう、トイレの時に感じていた嫌悪感が今はそれほどない。何というか、いや付いてて当たり前だし、と脳が受け入れているというか。
拭くついでに触ってみたが、やはり違和感はかなり失せていた。そういえば、胸がないのもいつの間にか慣れてしまった。
サツキはハッと気付いた。
「そうか、身体はリアムのままだから、脳みそもリアムのなんだよね……!」
記憶喪失の人も、歩けるし喋れるし会話が出来るというじゃないか。そういうことなのかもしれなかった。
少し、ホッとした。なので言った。
「リアムさん、困った時は私を助けて下さいね……」
そしてえへ、と笑った。
「サツキー?」
「あ! 今行く!」
サツキは急いで服を着ると、ウルスラの元へと走った。
「お待たせ! そうしたら、どうすればいいの?」
「それ、忘れちゃってたから本を探してたのよ」
ウルスラは一冊の本を見せてくれた。魔術書なのだろう、古めかしい絵柄が挿絵で付いている。
サツキはそれを読み上げた。
「なになに? 『頭に思い浮かべた人物を呼びながら呪文を唱えます。ワンポイント! 全身を思い浮かべること』……」
「やってみてよサツキ」
「う、うん。えー、『野原サツキ、イルミナ』!」
すると杖から出た光がサツキの身体を覆い。
「うっわ……乳でっか……」
ウルスラのその言葉で、呪文が成功したことをサツキは知った。
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