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序章 転移
第29話 魔術師リアム、自分の姿を晒す
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リアムは朝一でまた正座をさせられていた。正面には、昨夜同様祐介が正座してコンコンと説教してきている。パンツ一丁で。
「あのねサツキちゃん、君はもう少し恥じらいとか遠慮とかいうものを持つべきだ!」
「十分備わっていると思うのだが」
これまでの人生、一度たりとも指摘されたことはない。しかし祐介はそれを鼻で笑った。
「嘘でしょ!? それ本気で言ってる? 昨日からスカートで股開いたりさ、ノーブラに白いTシャツになったりさ、短パンで胡座かくし、人には無防備に化粧水塗らせたりさ、僕パンツ一丁だって言ってるのに引っ張り出したりさ、そもそもノーブラで表に出るなよ!」
リアムは反論した。自然と上目遣いで睨む様な形になる。
「鞄を勝手に漁ったりしない様にと言ったのに手を突っ込んできたのはお前だろうが」
「あれはサツキちゃんが生理用ナプキンを公共の場で堂々と掲げたからだろ!」
そう言われればそうだったかもしれない。仕方ないではないか、あれが何だか知らなかったのだから。
リアムは、宥める様に言った。
「祐介、あまり細かいと女子にもてないぞ」
「うっわーこのタイミングで言う?」
「私も細かくてな、顔はいけてるのだがこの歳まで伴侶が一向に出来なかったのはこの細かい性格の所為かと思っている」
「自分で顔がいけてるとかどんなんだよ……」
「イケメンパーティーの一員になれたからな、間違いない」
「イケメンパーティー……」
祐介が絶句した。
リアムは、今朝になったら魔法を見せると祐介に約束したことを思い出した。
「丁度いい、私の姿を見せてやろう。サツキの魔力量だと少しの間しか保てなさそうだが」
「はい?」
リアムは自分の姿を脳裏に思い浮かべ、人差し指をピンと立て呪文を唱えた。
「我の姿を纏え! イルミナ!」
指先がポオオ、と光を放つと、リアムの身体を光が覆う。
「……どうだ? いけてるだろう?」
祐介が驚いた顔をしている。リアムの男っぷりに腰を抜かしたか? ふふん、と少し得意になっていると。
「き、気持ち悪っ」
予想だにしていなかった台詞を吐かれた。
「なっ失敬な!」
すると祐介が本当に気持ち悪い物を見る様な目をしながら、リアムを指差した。
「サツキちゃん、鏡見ておいでよ」
「? 分かった」
リアムが風呂場の小さな鏡を見に行くと、そこに映るは懐かしの自分の顔。少し甘いマスクは、少し年配の女性からよく褒め称えられたものだ。
ニヤリと笑顔を作り、顎に手をやる。
「ん?」
何かおかしい。リアムは手を確認し、次いで目線を落とした先に相変わらずあの馬鹿でかい胸があるのを確認した。
「うおお! 何だこれは!」
イルミナの呪文の効果は、まさかの顔だけにかかっていたのだった。
「あのねサツキちゃん、君はもう少し恥じらいとか遠慮とかいうものを持つべきだ!」
「十分備わっていると思うのだが」
これまでの人生、一度たりとも指摘されたことはない。しかし祐介はそれを鼻で笑った。
「嘘でしょ!? それ本気で言ってる? 昨日からスカートで股開いたりさ、ノーブラに白いTシャツになったりさ、短パンで胡座かくし、人には無防備に化粧水塗らせたりさ、僕パンツ一丁だって言ってるのに引っ張り出したりさ、そもそもノーブラで表に出るなよ!」
リアムは反論した。自然と上目遣いで睨む様な形になる。
「鞄を勝手に漁ったりしない様にと言ったのに手を突っ込んできたのはお前だろうが」
「あれはサツキちゃんが生理用ナプキンを公共の場で堂々と掲げたからだろ!」
そう言われればそうだったかもしれない。仕方ないではないか、あれが何だか知らなかったのだから。
リアムは、宥める様に言った。
「祐介、あまり細かいと女子にもてないぞ」
「うっわーこのタイミングで言う?」
「私も細かくてな、顔はいけてるのだがこの歳まで伴侶が一向に出来なかったのはこの細かい性格の所為かと思っている」
「自分で顔がいけてるとかどんなんだよ……」
「イケメンパーティーの一員になれたからな、間違いない」
「イケメンパーティー……」
祐介が絶句した。
リアムは、今朝になったら魔法を見せると祐介に約束したことを思い出した。
「丁度いい、私の姿を見せてやろう。サツキの魔力量だと少しの間しか保てなさそうだが」
「はい?」
リアムは自分の姿を脳裏に思い浮かべ、人差し指をピンと立て呪文を唱えた。
「我の姿を纏え! イルミナ!」
指先がポオオ、と光を放つと、リアムの身体を光が覆う。
「……どうだ? いけてるだろう?」
祐介が驚いた顔をしている。リアムの男っぷりに腰を抜かしたか? ふふん、と少し得意になっていると。
「き、気持ち悪っ」
予想だにしていなかった台詞を吐かれた。
「なっ失敬な!」
すると祐介が本当に気持ち悪い物を見る様な目をしながら、リアムを指差した。
「サツキちゃん、鏡見ておいでよ」
「? 分かった」
リアムが風呂場の小さな鏡を見に行くと、そこに映るは懐かしの自分の顔。少し甘いマスクは、少し年配の女性からよく褒め称えられたものだ。
ニヤリと笑顔を作り、顎に手をやる。
「ん?」
何かおかしい。リアムは手を確認し、次いで目線を落とした先に相変わらずあの馬鹿でかい胸があるのを確認した。
「うおお! 何だこれは!」
イルミナの呪文の効果は、まさかの顔だけにかかっていたのだった。
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