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序章 転移
第16話 OLサツキ、家に着く
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街中に入ると、道行く人々がサツキ達を見て一様に驚いた顔をした。
「見ろよ、皆のあの顔!」
「しっ! 声がでかいぞアール! いいか、俺達は英雄だ、英雄ははしゃいだりなんかしないんだ!」
「あんた達うるさい」
興奮するアールとユラに対し、厳しいウルスラのひと言。
「まさか帰ってくるとは……!」
「英雄だ! 遺跡のドラゴンを、勇者一行が退治したんだ!」
人々がざわつき、段々と密度が濃くなっていく。サツキは一行の最後尾についていたが、起きている状況についていけず、只々恐怖を味わっていた。こんなに注目されると、怖い。
すると、ウルスラがすっと寄ってきてサツキの腕を掴んだ。
「リアム、混乱してると思うけど、今は堂々と」
サツキはハッと気が付いた。もうあの重い胸はないというのに、いつの間にか背中を丸くしていたらしい。こんなにしっかりと筋肉がついたイケメンなのに、リアムに悪いことをした。サツキは出来うる限り背筋を伸ばした。すると、ウルスラがにっこりと笑う。合格みたいだ。
「さあ、ギルドに行って証拠のドラゴンの髭を提出しましょ」
わああ、と一行を称える群衆の声。先程まで恐ろしく感じたそれは、ウルスラが掴む手の温かさのお陰で、もう怖くはなかった。
ギルドは暫く歩いた先にあった。見たこともない字が書いてある看板が掲げられていたが、不思議と読める。
『バルバイトのギルド~登録はこちらで!~』
言ってはなんだが、くそダサい。ゲームやラノベの世界の文字は、読めないからこそ格好よく見えるに違いない。
「ウルスラ一行、ドラゴン討伐完了致しました!」
重厚な金属の扉、と思わせて実は金属の板が木の板に貼り付けてあるだけの扉を勢いよく開けると、ウルスラが大きな声で報告をした。途端、耳をつんざく様な歓声が内外から重力の様に打ち付ける。
駆け寄るギルドの店員と思われる中年男性。いつの間にかすり寄ってサツキの腕に胸を押し付ける冒険者風の金髪美女。その女性の手は、ウルスラの手剣により叩き落とされていた。アールとユラはへらへらと嬉しそうに女性達に囲まれている。
「う、ウルスラ」
この場から逃げ出したかった。男性陣に囲まれて迷惑そうな表情を浮かべていたウルスラも同様だったのだろう、大きな声で周りに告げる。
「悪いけど私達は疲れてるの! 今日は休ませて頂戴!」
すると、アールとユラはびっくりした様な顔をした。
「あ、俺達はまだ元気でーす!」
「なー、ユラ!」
そんな二人を呆れた様に見たウルスラは、サツキの腕を掴むと「二人共、明日またここでね!」とひと言残してギルドの外へと出る。だが、ギルドの外も人だらけだ。
すると、ウルスラがサツキの耳元で囁いた。
「リアム、『フルールアレ・俺の家』って言って」
「え?」
「いいから!」
「ふ、フルールアレ・俺の家!」
一瞬、身体が浮いた感覚が襲う。咄嗟に閉じていた目を開けると、そこは暗い木造の家の中だった。
「見ろよ、皆のあの顔!」
「しっ! 声がでかいぞアール! いいか、俺達は英雄だ、英雄ははしゃいだりなんかしないんだ!」
「あんた達うるさい」
興奮するアールとユラに対し、厳しいウルスラのひと言。
「まさか帰ってくるとは……!」
「英雄だ! 遺跡のドラゴンを、勇者一行が退治したんだ!」
人々がざわつき、段々と密度が濃くなっていく。サツキは一行の最後尾についていたが、起きている状況についていけず、只々恐怖を味わっていた。こんなに注目されると、怖い。
すると、ウルスラがすっと寄ってきてサツキの腕を掴んだ。
「リアム、混乱してると思うけど、今は堂々と」
サツキはハッと気が付いた。もうあの重い胸はないというのに、いつの間にか背中を丸くしていたらしい。こんなにしっかりと筋肉がついたイケメンなのに、リアムに悪いことをした。サツキは出来うる限り背筋を伸ばした。すると、ウルスラがにっこりと笑う。合格みたいだ。
「さあ、ギルドに行って証拠のドラゴンの髭を提出しましょ」
わああ、と一行を称える群衆の声。先程まで恐ろしく感じたそれは、ウルスラが掴む手の温かさのお陰で、もう怖くはなかった。
ギルドは暫く歩いた先にあった。見たこともない字が書いてある看板が掲げられていたが、不思議と読める。
『バルバイトのギルド~登録はこちらで!~』
言ってはなんだが、くそダサい。ゲームやラノベの世界の文字は、読めないからこそ格好よく見えるに違いない。
「ウルスラ一行、ドラゴン討伐完了致しました!」
重厚な金属の扉、と思わせて実は金属の板が木の板に貼り付けてあるだけの扉を勢いよく開けると、ウルスラが大きな声で報告をした。途端、耳をつんざく様な歓声が内外から重力の様に打ち付ける。
駆け寄るギルドの店員と思われる中年男性。いつの間にかすり寄ってサツキの腕に胸を押し付ける冒険者風の金髪美女。その女性の手は、ウルスラの手剣により叩き落とされていた。アールとユラはへらへらと嬉しそうに女性達に囲まれている。
「う、ウルスラ」
この場から逃げ出したかった。男性陣に囲まれて迷惑そうな表情を浮かべていたウルスラも同様だったのだろう、大きな声で周りに告げる。
「悪いけど私達は疲れてるの! 今日は休ませて頂戴!」
すると、アールとユラはびっくりした様な顔をした。
「あ、俺達はまだ元気でーす!」
「なー、ユラ!」
そんな二人を呆れた様に見たウルスラは、サツキの腕を掴むと「二人共、明日またここでね!」とひと言残してギルドの外へと出る。だが、ギルドの外も人だらけだ。
すると、ウルスラがサツキの耳元で囁いた。
「リアム、『フルールアレ・俺の家』って言って」
「え?」
「いいから!」
「ふ、フルールアレ・俺の家!」
一瞬、身体が浮いた感覚が襲う。咄嗟に閉じていた目を開けると、そこは暗い木造の家の中だった。
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