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序章 転移
第14話 OLサツキの飯
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一行は各々、鏡を見ながら汚れた箇所を叩いたり髪型を整えたりしている。
そんな中、サツキは鏡に映るリアムの姿に目を奪われていた。シュッとした中にある少し甘いマスク。あの海賊の映画の主人公みたいに少しワイルドな雰囲気。
年齢は予想通り他のメンバーよりも上な様だったが、こげ茶の少しうねった前髪が彫りの深い目の上にかかっており、余りにも格好いいのでつい映画のワンシーンの様に顎に手を当てニヤリとしてしまう。
うおおお! マジで格好いい!
サツキは興奮した。そしてはたと気付いた。というか、このパーティーのメンバーはイケメンだらけじゃないか? と。すると、そんなサツキの心を読んだかの様にユラが鏡の自分を惚れ惚れと眺めながら言った。
「しっかしよく顔だけのパーティーでドラゴン討伐なんて出来たもんだよなあ」
「死者蘇生の術の経験すらなかったもんな、ユラ」
「だって、凱旋した時にどうせならイケメンに囲まれた勇者の姿を見せつけたいじゃない!」
「募集要項が『イケメン』って凄かったよなあ、まあ選ばれて嬉しかったけど」
なんと、そんなウルスラの要望で厳選され組んだパーティーだったらしい。
ウルスラのそのぶれない姿勢は凄いな、と思った。
アールがからかう様に笑う。
「でも最近はリアムリアムだもんなあ。リアムが穴に落ちちゃった後のウルスラ、半狂乱でそりゃもう大変だったんだぜ。絶対見つける! て泣きながらさあ」
「だっだって仲間がいなくなったら誰だって心配するでしょ!」
ウルスラが真っ赤になって照れる。そうか、そうだったのだ。どうもリアムは穴に落ちてしまったらしい。それをウルスラが必死に捜索してくれたのだ。サツキがこの身体に入ったのは、ユラの死者蘇生の術のタイミングだろう。とすると、ウルスラが探そうとしてくれなければ、サツキは黒焦げになって死んだリアムの身体の中に入ったまま死んでいたことになる。
ウルスラがいなかったら、サツキはこうして生きてはいなかったのだ。
ウルスラが助けたかったのはリアムでありサツキではない。それでも。
「ウルスラ……ありがとう」
サツキが精一杯の感謝を込めて礼を言うと、ウルスラが真っ赤になって笑った。
アールが再度号令をかける。
「よし! 凱旋だ!」
「あ、街の入り口のバルバイト団子食べたい」
「いいな! よし、まずは腹ごしらえだ!」
「あんた達食べてばっかじゃない」
「働かざるもの食うべからずだ! 俺たちゃ働いたから食っていいんだよ!」
アールが馬鹿そうな論理を展開したが、確かにお腹は空いている。
「私も食べたいな」
サツキが言うと、途端ウルスラが賛同した。
「バルバイト団子、全ての味を制覇よ!」
結果。
バルバイト団子という名の、ひとつひとつの団子が食べられる瞬間叫ぶという、恐ろしい、だが蕩けるほど美味しい団子の全ての味を制覇した一行は、ようやく街の中心へと足を踏み入れたのだった。
そんな中、サツキは鏡に映るリアムの姿に目を奪われていた。シュッとした中にある少し甘いマスク。あの海賊の映画の主人公みたいに少しワイルドな雰囲気。
年齢は予想通り他のメンバーよりも上な様だったが、こげ茶の少しうねった前髪が彫りの深い目の上にかかっており、余りにも格好いいのでつい映画のワンシーンの様に顎に手を当てニヤリとしてしまう。
うおおお! マジで格好いい!
サツキは興奮した。そしてはたと気付いた。というか、このパーティーのメンバーはイケメンだらけじゃないか? と。すると、そんなサツキの心を読んだかの様にユラが鏡の自分を惚れ惚れと眺めながら言った。
「しっかしよく顔だけのパーティーでドラゴン討伐なんて出来たもんだよなあ」
「死者蘇生の術の経験すらなかったもんな、ユラ」
「だって、凱旋した時にどうせならイケメンに囲まれた勇者の姿を見せつけたいじゃない!」
「募集要項が『イケメン』って凄かったよなあ、まあ選ばれて嬉しかったけど」
なんと、そんなウルスラの要望で厳選され組んだパーティーだったらしい。
ウルスラのそのぶれない姿勢は凄いな、と思った。
アールがからかう様に笑う。
「でも最近はリアムリアムだもんなあ。リアムが穴に落ちちゃった後のウルスラ、半狂乱でそりゃもう大変だったんだぜ。絶対見つける! て泣きながらさあ」
「だっだって仲間がいなくなったら誰だって心配するでしょ!」
ウルスラが真っ赤になって照れる。そうか、そうだったのだ。どうもリアムは穴に落ちてしまったらしい。それをウルスラが必死に捜索してくれたのだ。サツキがこの身体に入ったのは、ユラの死者蘇生の術のタイミングだろう。とすると、ウルスラが探そうとしてくれなければ、サツキは黒焦げになって死んだリアムの身体の中に入ったまま死んでいたことになる。
ウルスラがいなかったら、サツキはこうして生きてはいなかったのだ。
ウルスラが助けたかったのはリアムでありサツキではない。それでも。
「ウルスラ……ありがとう」
サツキが精一杯の感謝を込めて礼を言うと、ウルスラが真っ赤になって笑った。
アールが再度号令をかける。
「よし! 凱旋だ!」
「あ、街の入り口のバルバイト団子食べたい」
「いいな! よし、まずは腹ごしらえだ!」
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「働かざるもの食うべからずだ! 俺たちゃ働いたから食っていいんだよ!」
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「私も食べたいな」
サツキが言うと、途端ウルスラが賛同した。
「バルバイト団子、全ての味を制覇よ!」
結果。
バルバイト団子という名の、ひとつひとつの団子が食べられる瞬間叫ぶという、恐ろしい、だが蕩けるほど美味しい団子の全ての味を制覇した一行は、ようやく街の中心へと足を踏み入れたのだった。
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