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第四章 マンドラゴラの王様
42 ウドさんの企み
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抜いちゃ駄目。何をだ、と考えて、そんなもの一つしかないことにすぐに思い至る。完全な人型マンドラゴラとして根から切り離された、吾郎くん。マンドラゴラの根は、人型マンドラゴラが切り離された後に媚薬効果が得られる薬となる。
――ああ、なんてことだ。
「ウドさん……」
「それだ! 見たことがない人間がいるって騒いでる!」
分かった。分かってしまった。そういうことだったのだ。写真を撮らせて欲しいという目的も、勿論あったのだろう。だけど、わざわざそんなことだけの為にアメリカから日本までやって来るだろうか。奥さんにベタ惚れの様なことを言っていたけど、本当はベタ惚れしているのはアーニャさんの方で、ウドさんはもっと冷徹に物事を考えて判断して行動しているんじゃないか。
それか、アーニャさんを深く愛するがあまり、周りなどどうでもいいと考えているのかもしれない。マンドラゴラの根を手に入れる最終的な目的は、アーニャさんと平穏に暮らすことなのだから。
そもそも彼は、自分の目的の為に、人の感情を勝手に変えてしまう薬を人に与えることに抵抗を覚えない人だ。目的に対する手段が、あまりにも人道的でない。元々が、祈祷師という特殊な職業に就いている人だ。人の負の感情を商売にしている職業と言っても問題なさそうな口ぶりだったので、もしかしたら自分以外の人間なんて、アーニャさんと会う前から元々財布程度にしか思っていないのかもしれない。
だから、彼の目的は、最初から吾郎くんが抜けた後の根っこにあったのだ。人の良さそうな態度を見せて、こちらに情報を与えて仲間だと思わせて。私がマンドラゴラについて殆ど何も知らないことも、昨日さり気なく確認していたじゃないか。そんな私を見て、吾郎くんの根っこがまだ手付かずであの場に残っていると考えたんだろう。
いい人だと思っていたのに。昨夜の会話で、背中を押された気持ちになれたのに。あの時ウドさんは、確かに私を同志として励ましてくれたのに。
――裏切られた。そんな気持ちが湧き起こった。そして、その台詞がそっくりそのまま、名雲さんに言われたものだったことに愕然とする。
なんだ、皆一緒じゃないか。そう、思った。自分だけが世界から取り残されている様な感覚。自分だけの思いだと思い込んでいたけど、ぜんぜんそんなことはなかった。皆、きっと一緒なんだ。皆、それぞれ世界に向き合い孤独と戦っている。
私も名雲さんも、勝手に信じて、勝手に裏切られたと感じただけだ。人間も、多分マンドラゴラだってきっと、自分であることを止めることは出来ない。だから必死で戦うんだ。自分の大切な世界を守る為に。
私は、それに背を向けて嘆いていただけだった。でも、私にも今は絶対譲れない、守りたいものがある。吾郎くんだ。吾郎くんと一緒に、未来という私達の世界を切り拓いていきたいから。
だったら今、私がすべきことはただ一つ。吾郎くんと共にウドさんという外の世界に向き合い、立ち向かうことじゃないか。
「でも、何であの場所が分かったのかな……!」
泣きそうな声で、吾郎くんが絞り出す様に私に問う。私も正確なところは分からないし、答えを持っていない。だけど、彼の昨日の話から、推測することは出来た。
「あの人、祈祷師でしょ。昨日、聖域がどうだとかも言ってたよね。それって、祈祷師だから聖域がどこだか感じ取れるんじゃないかな」
むしろ、そういった第六感的な感覚がなければ、数多の富豪相手に渡り歩けないだろう。彼は恐らく、そういった意味では本物なのだ。
自信満々な、数々の態度。あれは、自分が他の人間よりも優れているという思想の現れなんじゃないか。それはそのまま、他の人間を目的の為なら利用しようという考えに辿り着くのでは。
「美空、怖い、怖い……!」
吾郎くんが、ポロポロと涙を流している。草木達の必死の叫びを、彼にしか聞こえないその声を聞いて、その心に抱え切れないでいるのだ。ぎゅ、と吾郎くんの首にしがみつくと、勇気を振り絞ってその目尻に口づけた。その瞬間、ビクッという大きな反応を見せた吾郎くんが、信じられないといった風に横目で私を見る。……そんなに驚かなくてもいいと思う。
「私が一緒にいるよ、吾郎くん」
元気を出してもらうつもりでしたキスには、効果があった様だ。
「――うん!」
山道の傾斜の角度が、段々厳しくなる。このループを曲がり切った所に、吾郎くんが生まれた場所があった。元気を取り戻した吾郎くんが、軽やかな足取りで坂道を駆け抜けていく。
「あれは、抜いちゃ駄目なんだ……! 皆がずっと守ってた場所だから!」
皆とは誰のことか、尋ねようとした。だけど、その疑問を口にするよりも前に、私を乗せた吾郎くんが例の場所に辿り着く。
吾郎くんの肩越しに見えたのは、浴衣の帯の切れ端が付いたままになっている吾郎くんの根っこを、今正に掘り起こさんとスコップで掘っているウドさんの姿だった。私が、今やかなり自在に出る様になった大声で呼ぶ。
「ウドさん!」
するりと吾郎くんの背中から降りると、吾郎くんと一緒にウドさんを止めるべく駆け寄った。
「それは抜いちゃ駄目だ!」
吾郎くんがウドさんのスコップを持つ腕を掴む。でも、体格のいいウドさんはものともせず、吾郎くんをあっさりと振り払ってしまう。
「うわっ!」
「吾郎くん!」
「邪魔しないでくだサーイ」
ウドさんが、冷めた目つきでそう言った。やはりこの人は、自分とアーニャさんの居場所を守ることが一番大事なんだろう。その為には、キング・マンドラゴラだって押し退ける。
いい人そうだと勝手に思い込んだのは、私だ。彼は一言も自分がいい人だとは言ってないし、吾郎くんは最初から最後までウドさんを警戒し続けていたじゃないか。私は自分が望むまやかしを勝手に見たのだ。まるで、マンドラゴラが持つ幻覚作用の様なまやかしを。
それでも、私は吾郎くんとの世界を守りたい。私は私以外の何者にもなれないのだから。
私もウドさんの腕に掴みかかった。
「それは掘っちゃ駄目なんです!」
「美空サン、怪我しちゃいますネ! 止めて下サーイ!」
当然ながら、軽く受け流される。思い切り振り払われた訳ではなかったけど、それでも結構な強さで地面に身体の側面をぶつけてしまった。
「痛いっ」
「美空!」
「危ない言ったデスネー!」
吾郎くんが私を助け起こそうとしたけど、私は倒れたままウドさんを指差す。
「吾郎くん! 今はそっちをどうにかしよう!」
「――うん!」
吾郎くんが、今度は後ろからウドさんに掴みかかる。腰を落としたその姿は、吾郎くんが最近お気に入りでよく見ている相撲の力士の様だ。多分、実際に参考にしているに違いない。吾郎くんは、素直に何でも吸収するいい子なのだ。
――ああ、なんてことだ。
「ウドさん……」
「それだ! 見たことがない人間がいるって騒いでる!」
分かった。分かってしまった。そういうことだったのだ。写真を撮らせて欲しいという目的も、勿論あったのだろう。だけど、わざわざそんなことだけの為にアメリカから日本までやって来るだろうか。奥さんにベタ惚れの様なことを言っていたけど、本当はベタ惚れしているのはアーニャさんの方で、ウドさんはもっと冷徹に物事を考えて判断して行動しているんじゃないか。
それか、アーニャさんを深く愛するがあまり、周りなどどうでもいいと考えているのかもしれない。マンドラゴラの根を手に入れる最終的な目的は、アーニャさんと平穏に暮らすことなのだから。
そもそも彼は、自分の目的の為に、人の感情を勝手に変えてしまう薬を人に与えることに抵抗を覚えない人だ。目的に対する手段が、あまりにも人道的でない。元々が、祈祷師という特殊な職業に就いている人だ。人の負の感情を商売にしている職業と言っても問題なさそうな口ぶりだったので、もしかしたら自分以外の人間なんて、アーニャさんと会う前から元々財布程度にしか思っていないのかもしれない。
だから、彼の目的は、最初から吾郎くんが抜けた後の根っこにあったのだ。人の良さそうな態度を見せて、こちらに情報を与えて仲間だと思わせて。私がマンドラゴラについて殆ど何も知らないことも、昨日さり気なく確認していたじゃないか。そんな私を見て、吾郎くんの根っこがまだ手付かずであの場に残っていると考えたんだろう。
いい人だと思っていたのに。昨夜の会話で、背中を押された気持ちになれたのに。あの時ウドさんは、確かに私を同志として励ましてくれたのに。
――裏切られた。そんな気持ちが湧き起こった。そして、その台詞がそっくりそのまま、名雲さんに言われたものだったことに愕然とする。
なんだ、皆一緒じゃないか。そう、思った。自分だけが世界から取り残されている様な感覚。自分だけの思いだと思い込んでいたけど、ぜんぜんそんなことはなかった。皆、きっと一緒なんだ。皆、それぞれ世界に向き合い孤独と戦っている。
私も名雲さんも、勝手に信じて、勝手に裏切られたと感じただけだ。人間も、多分マンドラゴラだってきっと、自分であることを止めることは出来ない。だから必死で戦うんだ。自分の大切な世界を守る為に。
私は、それに背を向けて嘆いていただけだった。でも、私にも今は絶対譲れない、守りたいものがある。吾郎くんだ。吾郎くんと一緒に、未来という私達の世界を切り拓いていきたいから。
だったら今、私がすべきことはただ一つ。吾郎くんと共にウドさんという外の世界に向き合い、立ち向かうことじゃないか。
「でも、何であの場所が分かったのかな……!」
泣きそうな声で、吾郎くんが絞り出す様に私に問う。私も正確なところは分からないし、答えを持っていない。だけど、彼の昨日の話から、推測することは出来た。
「あの人、祈祷師でしょ。昨日、聖域がどうだとかも言ってたよね。それって、祈祷師だから聖域がどこだか感じ取れるんじゃないかな」
むしろ、そういった第六感的な感覚がなければ、数多の富豪相手に渡り歩けないだろう。彼は恐らく、そういった意味では本物なのだ。
自信満々な、数々の態度。あれは、自分が他の人間よりも優れているという思想の現れなんじゃないか。それはそのまま、他の人間を目的の為なら利用しようという考えに辿り着くのでは。
「美空、怖い、怖い……!」
吾郎くんが、ポロポロと涙を流している。草木達の必死の叫びを、彼にしか聞こえないその声を聞いて、その心に抱え切れないでいるのだ。ぎゅ、と吾郎くんの首にしがみつくと、勇気を振り絞ってその目尻に口づけた。その瞬間、ビクッという大きな反応を見せた吾郎くんが、信じられないといった風に横目で私を見る。……そんなに驚かなくてもいいと思う。
「私が一緒にいるよ、吾郎くん」
元気を出してもらうつもりでしたキスには、効果があった様だ。
「――うん!」
山道の傾斜の角度が、段々厳しくなる。このループを曲がり切った所に、吾郎くんが生まれた場所があった。元気を取り戻した吾郎くんが、軽やかな足取りで坂道を駆け抜けていく。
「あれは、抜いちゃ駄目なんだ……! 皆がずっと守ってた場所だから!」
皆とは誰のことか、尋ねようとした。だけど、その疑問を口にするよりも前に、私を乗せた吾郎くんが例の場所に辿り着く。
吾郎くんの肩越しに見えたのは、浴衣の帯の切れ端が付いたままになっている吾郎くんの根っこを、今正に掘り起こさんとスコップで掘っているウドさんの姿だった。私が、今やかなり自在に出る様になった大声で呼ぶ。
「ウドさん!」
するりと吾郎くんの背中から降りると、吾郎くんと一緒にウドさんを止めるべく駆け寄った。
「それは抜いちゃ駄目だ!」
吾郎くんがウドさんのスコップを持つ腕を掴む。でも、体格のいいウドさんはものともせず、吾郎くんをあっさりと振り払ってしまう。
「うわっ!」
「吾郎くん!」
「邪魔しないでくだサーイ」
ウドさんが、冷めた目つきでそう言った。やはりこの人は、自分とアーニャさんの居場所を守ることが一番大事なんだろう。その為には、キング・マンドラゴラだって押し退ける。
いい人そうだと勝手に思い込んだのは、私だ。彼は一言も自分がいい人だとは言ってないし、吾郎くんは最初から最後までウドさんを警戒し続けていたじゃないか。私は自分が望むまやかしを勝手に見たのだ。まるで、マンドラゴラが持つ幻覚作用の様なまやかしを。
それでも、私は吾郎くんとの世界を守りたい。私は私以外の何者にもなれないのだから。
私もウドさんの腕に掴みかかった。
「それは掘っちゃ駄目なんです!」
「美空サン、怪我しちゃいますネ! 止めて下サーイ!」
当然ながら、軽く受け流される。思い切り振り払われた訳ではなかったけど、それでも結構な強さで地面に身体の側面をぶつけてしまった。
「痛いっ」
「美空!」
「危ない言ったデスネー!」
吾郎くんが私を助け起こそうとしたけど、私は倒れたままウドさんを指差す。
「吾郎くん! 今はそっちをどうにかしよう!」
「――うん!」
吾郎くんが、今度は後ろからウドさんに掴みかかる。腰を落としたその姿は、吾郎くんが最近お気に入りでよく見ている相撲の力士の様だ。多分、実際に参考にしているに違いない。吾郎くんは、素直に何でも吸収するいい子なのだ。
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