伝説の勇者が二人も現れるなんて聞いてません！

４．特訓！（１）

「今の戦いで君の弱点もよく分かった。これから特訓をして克服する必要がある」

オルフは少し厳しい顔をして話し始めた。

「戦いとは無縁の生活を送ってきた以上、仕方がないことでもある。だが、これを乗り越えなければ君はこれから先の戦闘に耐えられない。」

ユウスケはゴクリと息をのむ。

「君は剣に頼りすぎている。敵を倒すために武器は必要なものだ。しかし、敵を倒すことよりもまずは自分の身を守ることを覚えるんだ。時には敵の厳しい攻撃に耐え、反撃のチャンスを伺うこともある。今の君では反撃のチャンスをつかむ前に敵にやられてしまう。」

「オルフ、オレはどうしたらいいんだ？」

オルフはユウスケに近づき、剣を取り上げる。

「次の戦い、君は武器を使ってはいけない。その左手の盾で相手の攻撃を防ぎ続ける、それが一つ目の特訓だ。」

目が点になるユウスケ。
しばらくしてハッとする。

「いや、オルフ。武器なしじゃモンスターを倒せないじゃないか。」

「そう、倒す必要はない。まず君が覚えるべきなのは盾の使い方だ。盾をうまく使って自分の身を守るんだ。攻撃は最大の防御という言葉がある。それと同じように防御は最大の攻撃になることもあると俺は考えている。必殺技を繰り出したのに鉄壁の防御で歯が立たないとなれば相手の戦意にも大きな影響を与えられるのさ。」

左側からガサガサと音を立てて何かが近づいてくる。
徐々にその姿が見え始める。
フタツノウサギが再び現れた。
そしてオルフの特訓が開始されるのだった。