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2.ユウスケの旅立ち!(1)
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宴の翌日。
ユウスケは国王に呼ばれ、国王の間を訪れる。
国王の間の扉が開かれると、そこには国王と一人の青年の姿があった。
「ユウスケよ、急に呼び出してすまなかった。昨夜の宴は楽しんでもらえたかな」
「はい、とても楽しい時間を過ごせました。どの料理もとても美味しかったですし、国民の方々も優しい方々ばかりでした」
「そうか、それはよかった。急に宴の用意をさせたのであまり盛大なもてなしができず気に掛けていたのだ。喜んでもらえて何よりだ」
国王はユウスケが満足してくれたことを聞き、笑顔を見せる。
ユウスケは国王の前に移動するとひざまずき、国王に尋ねる。
「ところで国王様。用事があると聞いたのですが」
「ああ。先日話した通り、魔王軍による人間界の制圧が進んでいる。各地の大国はすでに魔王軍の手に堕ちてしまい、残る大国は我が国を残すのみという厳しい状況だ」
国王は険しい表情を見せる。
その険しい表情からも、人類が置かれている危機的状況が伝わってくる。
「この国の北にハガーネという名の町がある。ハガーネの町は優良な鋼を作ることで有名で、我が国の武具のほとんどはハガーネの町から入手した鋼を利用して作られているのだ。しかし、ここ2週間程ハガーネの町から鋼が届かず、何の連絡もないのだ。武具の修復に支障が出始めていて、困っておる。そこで、其方にハガーネの町の様子を見てきてもらいたいのだ」
国王様からの依頼だ。
当然引き受けたいのは山々だがユウスケには心配事があった。
「国王様。私には戦闘の経験がありません。当然、武器を扱った経験もありません」
「その辺りは心配無用だ。ハガーネの町への道中に現れるのは弱いモンスターばかり。戦闘経験がない者でも、武器さえ手にしていれば難なく倒すことができる。武器や防具、旅に必要なアイテムは一通りこちらで用意しておこう。とは言っても初めての冒険だ、一人というのは心細いであろう。」
国王は隣にいた青年を紹介し始める。
「彼は我が国の若き兵士の一人だ。其方の旅に付き添う戦士を募ったところ、快く引き受けてくれた者が現れた。先程剣の腕前を見せてもらったがなかなかのものだ。剣の使い方も道中、彼から教わるとよい。其方と年齢も近いし、心強い味方になってくれるだろう」
「初めまして、勇者ユウスケ。僕の名はオルフ=ラーグマンだ。君の冒険の手助けをさせてほしい。宜しく」
差し出された手に、ユウスケは握手をして応える。
ユウスケは国王に呼ばれ、国王の間を訪れる。
国王の間の扉が開かれると、そこには国王と一人の青年の姿があった。
「ユウスケよ、急に呼び出してすまなかった。昨夜の宴は楽しんでもらえたかな」
「はい、とても楽しい時間を過ごせました。どの料理もとても美味しかったですし、国民の方々も優しい方々ばかりでした」
「そうか、それはよかった。急に宴の用意をさせたのであまり盛大なもてなしができず気に掛けていたのだ。喜んでもらえて何よりだ」
国王はユウスケが満足してくれたことを聞き、笑顔を見せる。
ユウスケは国王の前に移動するとひざまずき、国王に尋ねる。
「ところで国王様。用事があると聞いたのですが」
「ああ。先日話した通り、魔王軍による人間界の制圧が進んでいる。各地の大国はすでに魔王軍の手に堕ちてしまい、残る大国は我が国を残すのみという厳しい状況だ」
国王は険しい表情を見せる。
その険しい表情からも、人類が置かれている危機的状況が伝わってくる。
「この国の北にハガーネという名の町がある。ハガーネの町は優良な鋼を作ることで有名で、我が国の武具のほとんどはハガーネの町から入手した鋼を利用して作られているのだ。しかし、ここ2週間程ハガーネの町から鋼が届かず、何の連絡もないのだ。武具の修復に支障が出始めていて、困っておる。そこで、其方にハガーネの町の様子を見てきてもらいたいのだ」
国王様からの依頼だ。
当然引き受けたいのは山々だがユウスケには心配事があった。
「国王様。私には戦闘の経験がありません。当然、武器を扱った経験もありません」
「その辺りは心配無用だ。ハガーネの町への道中に現れるのは弱いモンスターばかり。戦闘経験がない者でも、武器さえ手にしていれば難なく倒すことができる。武器や防具、旅に必要なアイテムは一通りこちらで用意しておこう。とは言っても初めての冒険だ、一人というのは心細いであろう。」
国王は隣にいた青年を紹介し始める。
「彼は我が国の若き兵士の一人だ。其方の旅に付き添う戦士を募ったところ、快く引き受けてくれた者が現れた。先程剣の腕前を見せてもらったがなかなかのものだ。剣の使い方も道中、彼から教わるとよい。其方と年齢も近いし、心強い味方になってくれるだろう」
「初めまして、勇者ユウスケ。僕の名はオルフ=ラーグマンだ。君の冒険の手助けをさせてほしい。宜しく」
差し出された手に、ユウスケは握手をして応える。
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