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乱される 18
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和泉は本当に一見するとクールに見える。性的な面にしても、やる事はやるが、淡白に済ませていそうなイメージだ。
それがどうだ。ただ抜き合うだけでも強引さを見せながらも、相手の欲を高めることに尽力する。
あの甘いキスや、丁寧な愛撫を他の男や女にもしているのだろうか。
そう思うと何故か雪成の胸にモヤモヤしたものが巣食い、それが何か分からず首を傾げた。
それを払拭するために、雪成は洗面台に用意してある歯ブラシを口に咥えると、バスローブを一つ和泉へと放り投げる。
「ほら」
「サンキュ」
バスローブをキャッチした和泉は直ぐにシャツを脱ぎ捨てた。その裸体を見て雪成の眉が上がる。
(すげぇ……なんだあの胸筋の盛り上がり。触った時も確かに凄かったが。それに腕の太さ、腹筋とか……完璧だな)
身体だけ不自然なマッチョではなくて、全身のバランスがいい筋肉の付き方だ。
オメガの体では頑張っても和泉のようにはなれない。悔しいが仕方がない事だと雪成も分かっている。それに中性的な顔立ちである雪成が、身体だけバキバキのマッチョだとアンバランスになってしまうだろう。
(それは何かキモイかもな……)
「俺も歯磨くわ」
「っ……お、おう」
気が付くと目の前に和泉がいて、雪成は驚いて足を少し後退させてしまった。
和泉がフッと口元に笑みを見せながら、雪成の腰に腕を回し支えてくれる。
「大丈夫か?」
「あぁ、大丈夫」
直ぐに和泉から離れた雪成は、歯ブラシに歯磨き粉をつけて、何でもない顔をして歯を磨いていく。
そうでもしないと、和泉から漂う空気に流されてしまいそうになったからだ。
まだ和泉から性的な匂いがする。なぜ発情もしていないのに……と言うよりも、和泉は偶然かもしれないが、毎度発情していない時に雪成へと触れてくる。どういう意図があって触れてくるのか。
据え膳食わぬは男の恥……というわけでも無いだろうに。
「どうした? 手が止まってるぞ」
口をゆすぎ終わった和泉が、鏡越しに雪成を窺っている。
「何でもねぇよ」
口から歯ブラシを抜いた雪成は、口元だけ笑みを作ると口をゆすいだ。
「じゃ、入ってくる。あ、その間に消えたりすんなよ」
「消えるわけないだろ。誘ったのは俺なんだから」
「なら、いいけど……っと」
バスルームに入ろうと和泉へ背中を向けた途端、腕を掴まれた。どうしたのかと和泉へと振り向いた瞬間には、唇にしっとりとした柔らかな感触が重なった。
和泉の舌は直ぐに雪成の咥内へと入り、舌を絡ませてきた。突然で驚きはしたものの、和泉とのキスは嫌だとは思わないし、むしろ気持ち良すぎるため、雪成も和泉に応える形で積極的に舌を絡めた。
それがどうだ。ただ抜き合うだけでも強引さを見せながらも、相手の欲を高めることに尽力する。
あの甘いキスや、丁寧な愛撫を他の男や女にもしているのだろうか。
そう思うと何故か雪成の胸にモヤモヤしたものが巣食い、それが何か分からず首を傾げた。
それを払拭するために、雪成は洗面台に用意してある歯ブラシを口に咥えると、バスローブを一つ和泉へと放り投げる。
「ほら」
「サンキュ」
バスローブをキャッチした和泉は直ぐにシャツを脱ぎ捨てた。その裸体を見て雪成の眉が上がる。
(すげぇ……なんだあの胸筋の盛り上がり。触った時も確かに凄かったが。それに腕の太さ、腹筋とか……完璧だな)
身体だけ不自然なマッチョではなくて、全身のバランスがいい筋肉の付き方だ。
オメガの体では頑張っても和泉のようにはなれない。悔しいが仕方がない事だと雪成も分かっている。それに中性的な顔立ちである雪成が、身体だけバキバキのマッチョだとアンバランスになってしまうだろう。
(それは何かキモイかもな……)
「俺も歯磨くわ」
「っ……お、おう」
気が付くと目の前に和泉がいて、雪成は驚いて足を少し後退させてしまった。
和泉がフッと口元に笑みを見せながら、雪成の腰に腕を回し支えてくれる。
「大丈夫か?」
「あぁ、大丈夫」
直ぐに和泉から離れた雪成は、歯ブラシに歯磨き粉をつけて、何でもない顔をして歯を磨いていく。
そうでもしないと、和泉から漂う空気に流されてしまいそうになったからだ。
まだ和泉から性的な匂いがする。なぜ発情もしていないのに……と言うよりも、和泉は偶然かもしれないが、毎度発情していない時に雪成へと触れてくる。どういう意図があって触れてくるのか。
据え膳食わぬは男の恥……というわけでも無いだろうに。
「どうした? 手が止まってるぞ」
口をゆすぎ終わった和泉が、鏡越しに雪成を窺っている。
「何でもねぇよ」
口から歯ブラシを抜いた雪成は、口元だけ笑みを作ると口をゆすいだ。
「じゃ、入ってくる。あ、その間に消えたりすんなよ」
「消えるわけないだろ。誘ったのは俺なんだから」
「なら、いいけど……っと」
バスルームに入ろうと和泉へ背中を向けた途端、腕を掴まれた。どうしたのかと和泉へと振り向いた瞬間には、唇にしっとりとした柔らかな感触が重なった。
和泉の舌は直ぐに雪成の咥内へと入り、舌を絡ませてきた。突然で驚きはしたものの、和泉とのキスは嫌だとは思わないし、むしろ気持ち良すぎるため、雪成も和泉に応える形で積極的に舌を絡めた。
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