13 / 141
第13話
しおりを挟む
優作と慎二郎の機嫌は直ったのか、学校から帰って来た頃にはいつもの二人となっていた。明後日には帰ってしまう両親に、これ以上心配を掛けるのは良くないと思い至ったのだろうと、佐奈は一人ホッと安堵した。
入学式から初めての登校となった今日は、まだ本格的に授業は始まらず、レクレーションの時間が設けられ、皆が自由に交流をしている。
佐奈の席の周りには沢山のクラスメイトが集まっている。
「なぁ深山の兄貴ってハーフなのか?」
倉橋は佐奈の正面を陣取り、好奇心を隠さず訊ねてきた。
「ううん、ハーフではないかな……」
「じゃあ、やっぱり純粋にアメリカだかイギリスだかの外国人ってことか」
「それも違うんだ。えっと、母親はアメリカ人なんだけど、父親だった人はロシアと日本のハーフなんだ。だから優作は日本の血が四分の一だしクォーターになるのかな……その辺よく分かんないけど」
アビーの話では、優作たちの父親は世界にも進出している有名なモデルらしいのだ。プラチナブロンドにマリンブルーの瞳。美しすぎるルックスに、各国の美女が群がるのは当然のような男だったと。そしてアビーという妻がいながらも、自由に奔放に美女らと逢瀬を重ね、結果アビーに離縁状を突き付けられたのだ。
しかし浮気を重ねようが、アビーのことは深く愛していたようで、別れを告げられたときは、最後まで悪あがきをしていたという。〝バカな男〟とアビーは笑って話していたが。
「へぇースゴいな。色んな国の奇跡の融合であのゴージャスさ。納得。やっぱり彼女いるのか?」
「倉橋さぁ、なんかすげぇ深山先輩のことに食いつくね。あの人にお近づきになりたい奴は一杯いるし、気持ち分かるけど諦めろよ」
元が茶化すように倉橋の肩を軽く叩きながら言う中、佐奈の胸中は複雑なものがあった。
入学式から初めての登校となった今日は、まだ本格的に授業は始まらず、レクレーションの時間が設けられ、皆が自由に交流をしている。
佐奈の席の周りには沢山のクラスメイトが集まっている。
「なぁ深山の兄貴ってハーフなのか?」
倉橋は佐奈の正面を陣取り、好奇心を隠さず訊ねてきた。
「ううん、ハーフではないかな……」
「じゃあ、やっぱり純粋にアメリカだかイギリスだかの外国人ってことか」
「それも違うんだ。えっと、母親はアメリカ人なんだけど、父親だった人はロシアと日本のハーフなんだ。だから優作は日本の血が四分の一だしクォーターになるのかな……その辺よく分かんないけど」
アビーの話では、優作たちの父親は世界にも進出している有名なモデルらしいのだ。プラチナブロンドにマリンブルーの瞳。美しすぎるルックスに、各国の美女が群がるのは当然のような男だったと。そしてアビーという妻がいながらも、自由に奔放に美女らと逢瀬を重ね、結果アビーに離縁状を突き付けられたのだ。
しかし浮気を重ねようが、アビーのことは深く愛していたようで、別れを告げられたときは、最後まで悪あがきをしていたという。〝バカな男〟とアビーは笑って話していたが。
「へぇースゴいな。色んな国の奇跡の融合であのゴージャスさ。納得。やっぱり彼女いるのか?」
「倉橋さぁ、なんかすげぇ深山先輩のことに食いつくね。あの人にお近づきになりたい奴は一杯いるし、気持ち分かるけど諦めろよ」
元が茶化すように倉橋の肩を軽く叩きながら言う中、佐奈の胸中は複雑なものがあった。
0
お気に入りに追加
269
あなたにおすすめの小説
無自覚両片想いの鈍感アイドルが、ラブラブになるまでの話
タタミ
BL
アイドルグループ・ORCAに属する一原優成はある日、リーダーの藤守高嶺から衝撃的な指摘を受ける。
「優成、お前明樹のこと好きだろ」
高嶺曰く、優成は同じグループの中城明樹に恋をしているらしい。
メンバー全員に指摘されても到底受け入れられない優成だったが、ひょんなことから明樹とキスしたことでドキドキが止まらなくなり──!?
イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話
タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。
瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。
笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
解せない王子のことなんか
ぱんなこった。
BL
昔から目付きが悪いと言われ喧嘩を売られることが多かったヤンキー男子高校生、日内詩乃也(ひうちしのや)18歳。
中学から高校まで喧嘩は日常茶飯事で、学校でも周りから不良扱いされ恐れられていた。
そんなある夜。路地裏のゴミ箱にハマっていたところを、同じ高校の1つ年下内石波璃(うちいしはり)に目撃される。
高校でも有名な一流企業の息子で優等生の波璃と、ヤンキーで問題児の詩乃也。全くタイプが違う接点の無かった2人だが…。
ゴミ箱にハマって抜け出せない上に他校のヤンキーと警官に追いかけられていた詩乃也に、波璃は怖がるどころか「助けてあげるから僕と付き合ってほしい」と申し出て…
表紙/フリーイラスト ヒゴロ様
貧乏大学生がエリート商社マンに叶わぬ恋をしていたら、玉砕どころか溺愛された話
タタミ
BL
貧乏苦学生の巡は、同じシェアハウスに住むエリート商社マンの千明に片想いをしている。
叶わぬ恋だと思っていたが、千明にデートに誘われたことで、関係性が一変して……?
エリート商社マンに溺愛される初心な大学生の物語。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
俺の彼氏
ゆきの(リンドウ)
BL
26歳、役所勤めの榊 哲太は、ある悩みに頭を抱えていた。それは、恋人である南沢 雪の存在そのものについてだった。
同じ男のはずなのに、どうして可愛いと思うのか。独り占めしたいのか、嫉妬してしまうのか。
挙げれば挙げるほど、悩みは尽きない。
リスク回避という名の先回りをする哲太だが、それを上回る雪に振り回されてー。
一方の雪も、無自覚にカッコよさを垂れ流す哲太が心配で心配で仕方がない。
「それでもやっぱり、俺はお前が愛しいみたいだ」
甘酸っぱくてもどかしい高校時代と大人リアルなエピソードを交互にお届けします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる