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第71話
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ミカエルはようやく、自分に向けられている痛い程の視線の主らに視線を向けた。
ラルフの後ろに、アリソンとどこか雰囲気が似た美丈夫が二人立っている。そのやや下がった場所には、一人の男がラルフよりも先に跪いた状態で、頭を垂れていた。
「本当に天使なのだな……」
そう呟くように言った男は、徐ろにアリソンとミカエルの前に進み出てきた。流れるようなスマートな所作で次に男は跪く。シャンパンゴールドの美しい髪色は、肩まで柔らかなウェーブを描いている。目はクリアーなエメラルドグリーンだ。
隣に立っていた男も同じように二人の前で跪く。こちらはプラチナブロンドをすっきりと短く刈り上げている。目は赤に近い魅惑的な色合いだ。
二人とも立派な黒の軍服を纏い、体格もアリソンと同等かそれ以上か、見事な体躯をしている。
「お帰りなさいませ、アリソン王。そしてお待ちしておりましたミカ様。私はヘンリーと申します。以後お見知り置きを」
髪が長い方の男が先に名乗り、頭を下げた。
「初めましてミカ様、エイダンと申します。ミカ様にお会い出来て光栄でございます」
次にベリーショートの男が、ミカエルにウインクをしてから軽く頭を下げた。
丁寧な言葉遣いだったり、陽気に見せたりと二人は挨拶をしてくれているが、内心はどう思っているかは分からない。ミカエルの緊張はピークに達した。
魔界に〝天使〟など反感を持たれているかもしれない。認めてももらえないかもしれない。けれど、アリソンの傍にいるためには、先ずはこの二人に認めてもらわなければ始まらない。
なにせヘンリーとエイダンはアリソンの実兄だからだ。アリソンからもらった情報で、二人の名前と顔はしっかりと記憶に留めていた。
ヘンリーが長男、エイダンが次男、そしてアリソンが三男だ。
ヘンリーの軍服の肩の部分には豪華なエポレットがある。勲章バッチも数多くある。ミカエルは軍人オタクではないが──天界には軍服はなく、人間界で少し知った程度だが、人間界と魔界は酷似している──一目で相当偉い地位にいる事が分かった。ヘンリーは魔王軍のトップ、元帥を務めているという。そしてエイダンは大将だ。
ミカエルは粗相がないようにと、自身を鼓舞するように拳を握った。
「初めまして、ミカエルと申します。突然私のような者が魔界へ来ることに驚かれたかと思います。私はルシファーを倒す使命とともに──」
「あー硬い硬い! 硬いです、ミカ様」
突如、大きな声で遮ってきたのはエイダンだった。ミカエルは驚いて舌を噛みそうになってしまった。隣のヘンリーはギョッとしたように弟を見る。ラルフは肩を僅かに跳ねさせたが、さすが重臣、顔を無断で上げることはしなかった。
「おい、エイダン。御前だぞ。しかもミカ様が話されてる時に遮るなど無礼にも程がある」
厳しい表情でヘンリーが窘める。エイダンは「分かってますよ、兄上」と口にしながらも、目線はずっとミカエルにあった。
ラルフの後ろに、アリソンとどこか雰囲気が似た美丈夫が二人立っている。そのやや下がった場所には、一人の男がラルフよりも先に跪いた状態で、頭を垂れていた。
「本当に天使なのだな……」
そう呟くように言った男は、徐ろにアリソンとミカエルの前に進み出てきた。流れるようなスマートな所作で次に男は跪く。シャンパンゴールドの美しい髪色は、肩まで柔らかなウェーブを描いている。目はクリアーなエメラルドグリーンだ。
隣に立っていた男も同じように二人の前で跪く。こちらはプラチナブロンドをすっきりと短く刈り上げている。目は赤に近い魅惑的な色合いだ。
二人とも立派な黒の軍服を纏い、体格もアリソンと同等かそれ以上か、見事な体躯をしている。
「お帰りなさいませ、アリソン王。そしてお待ちしておりましたミカ様。私はヘンリーと申します。以後お見知り置きを」
髪が長い方の男が先に名乗り、頭を下げた。
「初めましてミカ様、エイダンと申します。ミカ様にお会い出来て光栄でございます」
次にベリーショートの男が、ミカエルにウインクをしてから軽く頭を下げた。
丁寧な言葉遣いだったり、陽気に見せたりと二人は挨拶をしてくれているが、内心はどう思っているかは分からない。ミカエルの緊張はピークに達した。
魔界に〝天使〟など反感を持たれているかもしれない。認めてももらえないかもしれない。けれど、アリソンの傍にいるためには、先ずはこの二人に認めてもらわなければ始まらない。
なにせヘンリーとエイダンはアリソンの実兄だからだ。アリソンからもらった情報で、二人の名前と顔はしっかりと記憶に留めていた。
ヘンリーが長男、エイダンが次男、そしてアリソンが三男だ。
ヘンリーの軍服の肩の部分には豪華なエポレットがある。勲章バッチも数多くある。ミカエルは軍人オタクではないが──天界には軍服はなく、人間界で少し知った程度だが、人間界と魔界は酷似している──一目で相当偉い地位にいる事が分かった。ヘンリーは魔王軍のトップ、元帥を務めているという。そしてエイダンは大将だ。
ミカエルは粗相がないようにと、自身を鼓舞するように拳を握った。
「初めまして、ミカエルと申します。突然私のような者が魔界へ来ることに驚かれたかと思います。私はルシファーを倒す使命とともに──」
「あー硬い硬い! 硬いです、ミカ様」
突如、大きな声で遮ってきたのはエイダンだった。ミカエルは驚いて舌を噛みそうになってしまった。隣のヘンリーはギョッとしたように弟を見る。ラルフは肩を僅かに跳ねさせたが、さすが重臣、顔を無断で上げることはしなかった。
「おい、エイダン。御前だぞ。しかもミカ様が話されてる時に遮るなど無礼にも程がある」
厳しい表情でヘンリーが窘める。エイダンは「分かってますよ、兄上」と口にしながらも、目線はずっとミカエルにあった。
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