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第47話
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「ふぅ……気持ちいい」
あれから一時間後、ようやくアリソンから解放され、動ける身体になった美風は湯船に身体を沈めている。少しアナルが沁みたが、それほど支障はない。
一時はどうなるかと思われたが、美風の生気も吸われた感覚もない間にアリソンは回復した。セックスの偉大さってものを知った気がした。
今しみじみと思うのは、アリソンのためとは言え、よくセックスが出来たなということ。あの時は必死だった事もあるが、途中からは自分が快楽を貪っていた。相手は悪魔で男だというのに、嫌悪感などまるで無かった。
美風の性的指向は女性を恋愛対象と見ている。誰かを好きになった事はないが、友人らと男女が絡むアダルトビデオを見て、思春期ならではで盛り上がったものだ。
それなのに男と出来たのは、性別や種族の違いなど関係なくアリソンだったからだ。生気を目的としないキスをされた時には、今までに感じたことがない程に、気持ちも高揚した。心が満たされた。
「それって……そういうこと……だよな」
そう自覚した途端、心臓が早鐘を打つ。美風は湯船のお湯を両手で掬って、顔に勢いよくぶっかける。
「そっか……オレってアリソンの事が好き──」
「ミカ」
「はっ!?」
心臓が口から飛び出る程にビックリした。逃げ場のない風呂場であたふたとする。
「な、なに?」
(落ち着け……今の聞かれてないよな?)
「やはり、一緒に入ってもいいか? 背中を流してやりたいし、中のものを掻き出す手伝いをさせてほしい」
さっきの告白を聞かれなかったと安心したが、アリソンがまだ諦めていないことに美風は額を押さえた。
「何度も言ったけど、大丈夫だって。中のものはもう掻き出したし。それに一緒に入ってアリソン我慢出来るのか?」
美風の全身を隅から隅まで触れたというのに、全く飽きる様子がなく、アリソンはさっきまでずっと美風に触れていた。やっと解放されて一息ついているのに、今の時間くらいは一人にしてほしい。
「我慢……出来る」
(めちゃくちゃ自信無さげだろ!)
「ムリ。今はゆっくり一人の時間を堪能したいの。まぁ、我慢が千%出来るってならいいけど?」
我ながら意地悪いなと思いながらも、これくらい言わないと今のアリソンは引いてくれない。
普段のアリソンなら直ぐに聞き分けてくれるのだが、どうも今のアリソンは美風をとことん甘やかしたいようで、少し頑固にもなっている。
「ミカ……」
「あと十分くらい我慢してくれよ……。直ぐに出るから」
「……分かった」
磨りガラスの向こう、アリソンの姿が消えていくのを見届けた美風は湯船から出た。
「なんか大型犬みたいだな」
一人小さく呟いて美風はたまらず笑った。
あれから一時間後、ようやくアリソンから解放され、動ける身体になった美風は湯船に身体を沈めている。少しアナルが沁みたが、それほど支障はない。
一時はどうなるかと思われたが、美風の生気も吸われた感覚もない間にアリソンは回復した。セックスの偉大さってものを知った気がした。
今しみじみと思うのは、アリソンのためとは言え、よくセックスが出来たなということ。あの時は必死だった事もあるが、途中からは自分が快楽を貪っていた。相手は悪魔で男だというのに、嫌悪感などまるで無かった。
美風の性的指向は女性を恋愛対象と見ている。誰かを好きになった事はないが、友人らと男女が絡むアダルトビデオを見て、思春期ならではで盛り上がったものだ。
それなのに男と出来たのは、性別や種族の違いなど関係なくアリソンだったからだ。生気を目的としないキスをされた時には、今までに感じたことがない程に、気持ちも高揚した。心が満たされた。
「それって……そういうこと……だよな」
そう自覚した途端、心臓が早鐘を打つ。美風は湯船のお湯を両手で掬って、顔に勢いよくぶっかける。
「そっか……オレってアリソンの事が好き──」
「ミカ」
「はっ!?」
心臓が口から飛び出る程にビックリした。逃げ場のない風呂場であたふたとする。
「な、なに?」
(落ち着け……今の聞かれてないよな?)
「やはり、一緒に入ってもいいか? 背中を流してやりたいし、中のものを掻き出す手伝いをさせてほしい」
さっきの告白を聞かれなかったと安心したが、アリソンがまだ諦めていないことに美風は額を押さえた。
「何度も言ったけど、大丈夫だって。中のものはもう掻き出したし。それに一緒に入ってアリソン我慢出来るのか?」
美風の全身を隅から隅まで触れたというのに、全く飽きる様子がなく、アリソンはさっきまでずっと美風に触れていた。やっと解放されて一息ついているのに、今の時間くらいは一人にしてほしい。
「我慢……出来る」
(めちゃくちゃ自信無さげだろ!)
「ムリ。今はゆっくり一人の時間を堪能したいの。まぁ、我慢が千%出来るってならいいけど?」
我ながら意地悪いなと思いながらも、これくらい言わないと今のアリソンは引いてくれない。
普段のアリソンなら直ぐに聞き分けてくれるのだが、どうも今のアリソンは美風をとことん甘やかしたいようで、少し頑固にもなっている。
「ミカ……」
「あと十分くらい我慢してくれよ……。直ぐに出るから」
「……分かった」
磨りガラスの向こう、アリソンの姿が消えていくのを見届けた美風は湯船から出た。
「なんか大型犬みたいだな」
一人小さく呟いて美風はたまらず笑った。
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