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第28話
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アリソンがいてくれて本当に良かった。美風一人だったら確実に死んでいた。
大きく安堵するなかで、少しショックでもあった。キメラが美風を狙っていたということだ。
今までは好奇心で近づいてくるモノはいたが、攻撃をしてくるモノはいなかった。ただ美風に触れると弾かれてしまうということもあったが、それでも攻撃という意味で触れてくる事はなかったのに。
「なんでオレを狙ったんだろ」
「偶然だ。たまたま目に入ったのがミカだっただけだ」
アリソンはそう言うが、目立つのは美風よりアリソンの方だ。白い長袖シャツだって夜道では目立つのに。そうは言ってもキメラの見え方など美風には分かるわけがない。納得は出来ないが、アリソンはそちら側の生き物なのだ。美風に反論など出来ない。
「心配するな。何があっても、ミカのことは俺が必ず守る」
ショックのせいもあり、しっかりと全身に力が入らない美風の身体を支えるように、アリソンが腰に腕を回した。密着する形となったが、今の美風には有難い支えでもあった。
心地よい低い声が直に伝わるように、美風は安心感でホッと息をつく。
「ありがと……。アリソン怪我はないのか?」
「あるように見えるか?」
憎たらしい程に男前な笑顔を見せられ、美風は笑顔で首を大きく振った。
悪魔に守ってもらうなど、絶対考えられないし、有り得ない事だ。人に害を与える存在。命を奪うことだって厭わない存在。それなのにこの悪魔は美風のことを守ると言う。
美風に魔物を退治する能力がないから、守ってもらえるのは素直に嬉しい。だけどそれだけではなくて、頼もしいと感じた上に、何かは分からないが胸の奥がキュウと高鳴るような気持ちにもなっている。この気持ちが何なのか、今の美風にはまだ分からなかった。
ただ、今はアリソンに頼るしかないのだと、それだけは分かった。
「魔力を少し使いすぎた」
「うん、そうだよな。ありがと。部屋に帰ったらな」
生気を与えるためだけのキス。情報は取らないでくれと初めて大学に来られた時に言ったが、生気を取る際にはどうしても止められず、流れ込んでくるらしい。でも美風の感情面には触れる事が出来ないようだ。それならば大学の様子などがアリソンに知られても別段困らないし、後はほぼ一緒にいるからと美風も今では納得出来ている。
ただ美風の気持ちを高めようと、アリソンのキスが日々淫らさを増している。毎度毎度腰が抜ける程の快楽を与えてくるのに、突如と切り上げられる。美風の生気を吸い取り過ぎないためとはいえ、あの瞬間にいつも物足りなさで不満を覚えてしまう。
アリソンとのキスにすっかりとハマってしまっていることは誰にも知られたくない事だった。
生気を目的としないキスをしたとき、自分はどうなってしまうのか。そんな想像が頭に過ぎってしまう美風がいた。
大きく安堵するなかで、少しショックでもあった。キメラが美風を狙っていたということだ。
今までは好奇心で近づいてくるモノはいたが、攻撃をしてくるモノはいなかった。ただ美風に触れると弾かれてしまうということもあったが、それでも攻撃という意味で触れてくる事はなかったのに。
「なんでオレを狙ったんだろ」
「偶然だ。たまたま目に入ったのがミカだっただけだ」
アリソンはそう言うが、目立つのは美風よりアリソンの方だ。白い長袖シャツだって夜道では目立つのに。そうは言ってもキメラの見え方など美風には分かるわけがない。納得は出来ないが、アリソンはそちら側の生き物なのだ。美風に反論など出来ない。
「心配するな。何があっても、ミカのことは俺が必ず守る」
ショックのせいもあり、しっかりと全身に力が入らない美風の身体を支えるように、アリソンが腰に腕を回した。密着する形となったが、今の美風には有難い支えでもあった。
心地よい低い声が直に伝わるように、美風は安心感でホッと息をつく。
「ありがと……。アリソン怪我はないのか?」
「あるように見えるか?」
憎たらしい程に男前な笑顔を見せられ、美風は笑顔で首を大きく振った。
悪魔に守ってもらうなど、絶対考えられないし、有り得ない事だ。人に害を与える存在。命を奪うことだって厭わない存在。それなのにこの悪魔は美風のことを守ると言う。
美風に魔物を退治する能力がないから、守ってもらえるのは素直に嬉しい。だけどそれだけではなくて、頼もしいと感じた上に、何かは分からないが胸の奥がキュウと高鳴るような気持ちにもなっている。この気持ちが何なのか、今の美風にはまだ分からなかった。
ただ、今はアリソンに頼るしかないのだと、それだけは分かった。
「魔力を少し使いすぎた」
「うん、そうだよな。ありがと。部屋に帰ったらな」
生気を与えるためだけのキス。情報は取らないでくれと初めて大学に来られた時に言ったが、生気を取る際にはどうしても止められず、流れ込んでくるらしい。でも美風の感情面には触れる事が出来ないようだ。それならば大学の様子などがアリソンに知られても別段困らないし、後はほぼ一緒にいるからと美風も今では納得出来ている。
ただ美風の気持ちを高めようと、アリソンのキスが日々淫らさを増している。毎度毎度腰が抜ける程の快楽を与えてくるのに、突如と切り上げられる。美風の生気を吸い取り過ぎないためとはいえ、あの瞬間にいつも物足りなさで不満を覚えてしまう。
アリソンとのキスにすっかりとハマってしまっていることは誰にも知られたくない事だった。
生気を目的としないキスをしたとき、自分はどうなってしまうのか。そんな想像が頭に過ぎってしまう美風がいた。
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