上 下
28 / 32

助けてセラアアアアアアッッッ!!!?

しおりを挟む
「リィ~~~ンちゃん。そこでおとなしくしててねぇぇぇ~~~・・・・・・ウッフッフッフッフッフ~」

「イ、イヤァ・・・・・・」

迫りくるお姉ちゃんから逃げるために立ち上がろうとするのだが、恐怖のせいか両手両足に力が入らない。

ど、どうして身体が動かないの? 早くお姉ちゃんから逃げなきゃいけないのにっ!! 早く・・・・・・早く動いてよっ!!

しかしその思いも虚しくヤツは目の前にきてしまった。そして、血走った目でリィンを見つめながら両手をワキワキさせながら語り出した。

「ウヘヘヘヘへ! 邪魔者がいない今、私はリィンちゃんと一緒にお風呂のを堪能出来る!
リィンの身体を隅々まで洗ってキレイにしてあげたあとに、湯船に一緒に入ってウヘッ・・・・・・ウヘヘヘヘへへッ!!」

「ヒッ!? ヒイイイイイイィィィィィィっっっ!!?」

お巡りさん! ここに危ない人がいるぅぅぅううううううっっっ!!!!?

「大丈夫よリィンちゃん。私に身を委ねておけば、お身体がキレイさっぱりになるからね・・・・・・グヒヒッ!」

「ア・・・・・・アアアァァァ・・・・・・・・・・・・」

恐怖のあまり、目に涙を溜めてお姉ちゃんを見つめてしまう。その姿を見たスティアはニヤリと笑いながら、リィンの目の前まで顔を近づける。

「ジュルリッ!! さぁ、お姉ちゃんと一緒にお風呂に入りましょうねぇ~!」

「・・・・・・た」

「た?」

「助けてセラアアアアアアッッッ!!!?」

リィンは精一杯声を張り上げて言うと、スティアは、 アーッハッハッハッハッハッ!! と可笑しそうに笑った。

「なにを言っているのかしらリィンちゃん。ここにいないセラフィストの名前を出しても、くるわけがないでしょう?
そう、これは神様が私に与えたくれたチャンス! このチャンスを私は活かせて見せるわっ!!」

女神であるお姉ちゃんがそう言うかっ!? そう思った瞬間だった。

「私ならここにいますよ」

「ッ!?」

駄女神スティアが後ろを振り向くと、この場にはいるはずのない者がそこにいた。

「セラァァァアアアアアアァァァァァァッッッ!!?」

リィンがそう叫ぶ中、この状況の元凶あるスティアはその場から飛んでセラフィストから距離を取る。

「キサマァ~~~! 出かけていないはずじゃなかったのか?」

お姉ちゃん・・・・・・悪役みたいな喋り方になってるよ。

「痛いっ!! 痛い痛い痛い痛い痛いっっっ!!? 踏んでる踏んでる踏んでる踏んでる、足どかしてっっっ!!!?」

あ!? しかもお姉ちゃんはメディーラさんの方足を踏んづけてる。本人はセラに気を取られているせいなのか、退かそうとしないけどぉ~・・・・・・多分、わざとやってるんだと思う。

「リィン様の危機を感じ取ったので急いで帰ってきました。さて、スティア様」

「なっ、なによ?」

「私になにか言うことがあるのではないでしょうか?」

「イダダっ!! 早く足退けてって言ってるでしょうがぁっ!! この、バカ姉っ!!」

「あら、気づいてなかったわけじゃないけど、ゴメンなさいねメディーラ」

お姉ちゃんはそう言いながら足を退けると、再びセラを見つめる。
ていうか、 気づいてなかったわけじゃないけど。って言うことは、やっぱりわざと足を踏んでたんだ!

「言うこと? フッ・・・・・・キサマに語る言葉はたった一つ、キサマを倒してリィンちゃんとお風呂に入る!!」

「はぁ?」

セラは、 なにを仰ってるんですか、この人は? と言いたげな顔をしているが、いきなりそんなことを言われたら、そんな顔になるよね。

「キサマさえ動かなくすれば、リィンちゃんと二人だけでお風呂にゆぅ~っくりと入れる!! そして、リィンちゃんの身体を誰にも邪魔されず堪能出来、いや! 洗えるっ!!」

「・・・・・・バカ姉」

リーザさん!? 起きてたんですか? しかもバカ姉って、言ってるけど言っちゃいけないと思うよ。

「・・・・・・くだらないですね」

セラが吐き捨てるように言うと、ファインティングポーズを取る。

「フンッ! 精霊のアナタが私に勝てると思ってるの?」

「・・・・・・昨日、私にやられてましたよね?」

うん、チョークスリーパーかけられてから、そのまま絞め落とされてたね。
ゴキッ!? って不吉な音を出してたから絞め落としたのかどうか怪しいけどね!

「そ、それは油断してただけで! 正々堂々と戦えば私はアナタに勝てるわよっ!!」

「・・・・・・そうですか。ではどうぞ、掛かってきてください。スティア様」

セラはそう言いながら、ブ◯ースリーのように片手で手招きをしてお姉ちゃんを挑発した。

「言ったわね! 戦闘系の力を持つ女神の攻撃を喰らいなさい! うおおおおおおおおおおおおっっっ!!!?」

お姉ちゃんはそのままセラに突っ込んで行き、顔面に目がけて右ストレートを放つのだが、セラはその攻撃を躱すとお姉ちゃんの背後に素早く回る。そして腰に手を回してガッチリホールドした!

あ、あの体勢はまさかっ!?

そしてそのまま、お姉ちゃんを反り返りながら持ち上げて頭から床へたたき落とすっ!!
そう、その技はプロレスの王道技の一つ・・・・・・ジャーマン・スープレックス!! (※とても危険なのでマネをしないでくださいね!)

ドスンッッッ!!!?

「グボラッ!!!?」

セラのジャーマン・スープレックスを喰らったお姉ちゃんは意味不明なことを言いながら気絶してしまった上に、スカートが捲れておパンツ丸出し状態になっている。

カンッ!? カンッ!? カンッ!? カンッ!? カンッ!?

「試合終了ぉ~! ・・・・・・セラフィストの勝ち」

「ゴングッ!? なんでこんなところにゴングなんてあるの?」

「ん・・・・・・私の所持品だから」

所持品ってぇ、それをどこに閉まってるんですかそれ? っていうかお二人とも、いつの間に動けるようになったんですか?

「それよりも、また暴れ出す前にお姉様を縛りつけましょう! リーザ、手伝って!」

「あいよー・・・・・・」

メディーラさんとリーザさんの二人は手際よく太いワイヤーを使い、お姉ちゃんを縛り上げる。ってワイヤー!?

「メディーラさん、お姉ちゃんを太いワイヤーで縛る必要はないと思うんですけどっ!!」

「ダメよっ!! このバカ姉は普通の縄を力でブチ切って解くことがあるのよっ!! だからこれぐらい太いワイヤーじゃないと安心出来ないわっ!!」

縄を力でブチ切るって、エェ~・・・・・・。

「力だけは強い・・・・・・バカだけに・・・・・・そしてその二つの言葉を合わせて馬鹿力」

「シャレになってないよっ!!」

笑いのセンスがないよ、この人! ・・・・・・女神だけど!!

「・・・・・・ん! こんなもんでしょ」

締め上げられてるお姉ちゃんを見てみると、両手両足が背中の方で締め上げられてのはわかるけどぉ~・・・・・・。

「なんで、顔を落書きしているの?」

キ◯肉マンを意識しているのか額には肉の文字が書かれていて、両頬には鼻の近くから三本の線が伸びるように書かれている。ネコを意識したのかな?
あと油性ペンで落書きをしたんじゃないよね?

「い、いくらなんでもそれはやり過ぎじゃないかな?」

「大丈夫大丈夫、水性ペンで書いたからすぐに消えるわ」

「ん・・・・・・私たちはそこまで鬼じゃないよ・・・・・・リィン」

お姉ちゃんの顔にインクが残ることがないなら、大丈夫かな?

「コンッ!!」

え、なに? 僕もやるっ!! ってなにをする気なの? て言うか、イットウくんも復活していたんだね。

ガプッ!?

「「「「あっ!?」」」」

拘束されているお姉ちゃんの手にイットウくんが噛みついた!

「ギャアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!?」

イットウくんが噛みついたせいで、気絶していたお姉ちゃんが起きてしまった。

「イダダダダダダダダダダダダァァァ~~~~~~ッッッ!!!? 止めて止めて止めてっ!!」

「ストップ! イットウくん、やり過ぎ! ステイッ!! ステイッ!! 噛むのを止めてっ!!」

そう言いながらイットウくんを抱きかかえながらお姉ちゃんから離すが、イットウはまだ足りないのか腕の中で、ウゥー・・・・・・ と唸っている。

「フゥ~・・・・・・ありがとうリィンちゃん。ってぇ! なんで私縛られてるのよっ!!」

「アナタが悪いことをしたからでしょう」

「私はなにも悪いことをしてないわ! 私はただ・・・・・・ただリィンちゃんと二人っきりでお風呂に入ろうとしただけで、なにも悪いことをしてないわっ!!」

いや、リィンと一緒に入る為に、メディーラさんとリーザさんに危害を加えたでしょ。仕返しされてるけど。

「ハァ~・・・・・・自分の罪を自覚するまで、そこで反省していてください」

セラはお姉ちゃんにそう言うと、今度はリィンの方に元にくる。

「お怪我はありませんか、リィン様」

「うん、怖かったけど大丈夫だよセラ」

セラにそう言ったけどなんだろう? 胸の中が熱くなってきたぁ・・・・・・。

「ウゥ~・・・・・・ウゥ~~~・・・・・・ウエェ~~~ン・・・・・・」

ポロポロと涙の粒をまぶたから流しながら泣いているリィンを、セラは優しく抱きしめてくれた。

「もう大丈夫ですよリィン様。ヨシヨシ」

そう言いながら優しく優しく頭をなでてくれるので、安心感からか流れている涙がすぐに止まり、目を細めて気持ち良さそうな顔に変わる。

「むにゅぅ~・・・・・・」

なんか、こうしてると心地いいよぉ~。

「さてと、リィン様も泣き止んだのでお風呂に入りましょうか、メディーラさん、リーザさん、それにイットウ様」

「そうね。そうしましょう」

「ん・・・・・・分かった」

「コンッ!」

そう言いながらセラはリィンをお姫様抱っこで持ち上げると、メディーラさんたちと一緒にリビングを出る。

「ちょっ、ちょっと! 私を置いて・・・・・・」

「「「そこで反省してなさいっ!!」」」

「コンッ!」

セラたちはお姉ちゃんにそう言うと、お姉ちゃんの言葉も気にせずにお風呂場に向かうのであった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

オタクおばさん転生する

ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。 天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。 投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

異世界に来ちゃったよ!?

いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。 しかし、現在森の中。 「とにきゃく、こころこぉ?」 から始まる異世界ストーリー 。 主人公は可愛いです! もふもふだってあります!! 語彙力は………………無いかもしれない…。 とにかく、異世界ファンタジー開幕です! ※不定期投稿です…本当に。 ※誤字・脱字があればお知らせ下さい (※印は鬱表現ありです)

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

処理中です...