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洸夜の世界の常識
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2人を風呂場に置いて来た洸夜は、ソファーに腰を掛けて深いため息を吐いた。
「・・・・・・酷い目に会った」
『ん? どうしたの洸夜くん?』
相変わらず拡声器を使って話し掛けて来る父さん。
「さっきセリアとイレイラ王女が風呂場に来てさ、言い争いをしたんだ」
『ふ~ん、なるほどねぇ~。洸夜くんはセリアさんのことをどう思っているの?』
「どうって・・・・・・頼もしい友達?」
『頼もしい友達かぁ~・・・・・・もしかしたらセリアさんの方はキミと親しくなろうとしていたんじゃないかなぁ?』
親しくなろううとしていた?
「それって、どういう意味なんだ?」
『そのまんまの意味だよ、洸夜くん』
父さんはそう言うと、仕事をする為かノートパソコンを片手にテーブルの方へと向かって行った。
「何を言いたいんだ、父さんは?」
「コウヤは本当に鈍いんだからぁ」
「だから何で鈍いって言うんだよ」
「自分で考えてみればぁ~」
意地悪そうな顔させながら、母さんの元へと飛んで行ってしまった。
何なんだよ。みんな俺がわかっていないみたいに言って。
そんなことを思っていたら、廊下に続く扉が開きセリアとイレイラ王女が入って来た。
しかし2人共、のぼせているのか足元がフラフラしている。
「2人共、大丈夫なの?」
「へ、平気です・・・・・・」
「ちょっと風呂に浸かり過ぎた。でも、王宮の風呂よりも快適だった」
2人は母さんにそう言うと、俺を睨んで来た。
「どうした? 俺を睨んで」
「・・・・・・それ、本気で言ってるの?」
「ここまで鈍感だとはな」
何だ何だ? 俺が何をしたって言うんだ?
「2人共、一体何を言っているんだ?」
「別に」
「コウヤ殿は気にしなくてもいい」
2人はそう言うと母さんの元へと行き、何故か母さんに頭を撫でられていた。
「2人共、何か飲み物を飲む? それともアイスを食べたい?」
「私は飲み物をお願いします」
「オルコス殿と同じ飲み物をお願いしよう」
「わかったわ。ちょっと待っててね」
母さんはそう言うと、冷蔵庫からコーラを取り出してコップに注いだ。
「ん? その黒い飲み物は毒なのか?」
「イレイラ様、あれはコーラと言う飲み物です」
「コーラ・・・・・・しかし、中で泡立っているではないか」
「それは飲み物の中に炭酸を入れているから泡立っているんですよ。美味しいですよ」
セリアはそう言うと母さんからコップを受け取り、一口飲んだ。
「何度飲んでも美味しいと感じますね。これ」
「ルノアちゃんが気にいってるほどだからねぇ~」
「う~む・・・・・・」
イレイラ王女は恐る恐るといった感じで手渡されたコップを口に付けて飲むと、目を見開いた。
「この果実水は美味いな! 特に口の中に広がるシュワシュワ感が堪らない!」
「気に入ってくれてよかったわぁ」
「ああ、ところでこの飲み物はどうやって作っているのだ? 私の国にも普及させたいのだが」
イレイラ王女様の言葉に、母さんは戸惑ったようすを浮かべた。
「ああ~・・・・・・それはね。私が作った飲み物じゃないの」
「そうなのか?」
「はい、生産する工場。商会って言った方がわかりやすいですね。そこで作られた物を買っているんです」
イレイラ王女は話しを聞いているのかどうか知らないが、とても興味深そうにコーラのペットボトルを手に取り見つめる。
「そうかぁ~・・・・・・ん? 待てよ。あのお店の商品棚に置かれていた物はもしかして?」
「色んな商会の商品を集めた場所になります」
「なるほど。そうすると経済的な意味で・・・・・・」
イレイラ王女が何かブツブツと言い出した姿を見た母さん達は、俺のところにやって来た。
「コウヤ。向こうの世界に行って来て、現状どうなっているか聞きに行って」
「えっ!? 風呂に入って来たばかりなのに?」
「そうよ。時間が経った今なら、何かしらの情報を掴んでいる可能性があるからね」
『それにオルコスさんのご自宅だけに行くのなら、危険はない筈だよ』
まぁ確かに。父さんの言うことも一理ある。
「わかった。着替えてから行って来る」
「あ、私も付いて行くよ」
「私も行く~!」
どうやらセリアとリタは、俺に付いて行く気みたいだ。
「わかった。着替えたらリビングに戻るって形でな」
「私も付いて行こう」
「「それはダメ!」」
セリアとリタが同時に言うと、イレイラ王女はムッとした顔で2人を見つめる。
「もしもイレイラ王女様を探しに来た人がその場にいたら、返ってややこしい事態になりかねませんよ!」
「うん! うん!」
『場合によっては誘拐で捕まえられる可能性があるかもしれない。
この人ならやりかねない。って思う人が1人や2人いるでしょ?』
イレイラ王女は父さんの言葉に思い当たるのか、アゴに手を当てて考える仕草を見せる。
「・・・・・・確かにいるな」
『だったら、コウヤくん達が帰って来るまで待つのがいいと僕は思うよ』
「そうだなぁ。すまない、セリア殿」
「いえ、ご理解して頂けたのならいいのです。コウヤくん、着替えてましょう」
「ああ、わかった」
マーガレットさんにちょっと似ているなぁ。と思いつつ、着替える為自室へと向かった。
「どうしてこんなことを、しなくちゃけないんだよ」
進展があったかどうか明日朝に聞けばいいことだと思うし、何よりも面倒くさいと感じてる。
「俺が嫌だって言っても行きなさいの一言で片付けられるからなぁ」
言い負けるぐらいなら、素直に言うことを聞く。それが我が家の鉄則。
そんなことを思っていたら着替えが終わった。なのでリビングへと向かう。
「あれ、セリアは?」
「まだ着替え終わっていないみたいだ。って言うか、女子の方が着替えるのが遅いに決まっているだろう?」
そうか? 姉さんなんて着替えをパパパッと済ませていたぞ。 と思っていたら後ろから指で突かれた。
「お待たせコウヤくん」
「忘れ物はないか?」
「うん。って言うよりも持って行く物なんて何にもないから」
「ああ、そうだな。じゃあ、手を繋ぐか」
「・・・・・・うん」
嬉しそうな顔で手を握るセリアと肩に乗ったリタを尻目に、洸夜は目を瞑り、呪文を唱える。
「【転移】」
セリアの実家にやって来た瞬間、話し声が聞こえて来た。
「あれ? お客さんでも来ているのかなぁ?」
「その割には、怒鳴っているような感じがするが」
話し声の中には、ここに居るのはわかっているんだぞ! とか、 早く姫様を出せ! とか聞こえて来る。
「断片的な話し声を聞く限り・・・・・・余りいい状況じゃなさそうな気がする」
「確かに。今日は会うの止めて帰ろうか」
「いや、話しの内容が気になるから、透過の魔法を使って聞いて来てくれないか?」
「ええ~!? 面倒くさいよぉ~!」
おいおい、付いて来る気満々だったのに、今更何で面倒くさいとか言うんだよ。
「お前が頼りなんだからさ。頼むよ! この通りっ!!」
そう言って頭を下げると、リタは仕方がないと言いたそうな顔で俺を見つめる。
「そこまで言うんだったら仕方ないね。行って見て来るよ」
「恩に着るよ。リタ」
「コウヤから色々貰っているんだから、これぐらいのことをして当然だよ。【透過】」
リタが半透明な姿になったのを確認すると、ドアを少しだけ開けてリタを行かせた。
「リタさん、大丈夫かなぁ?」
「他の人からは姿が見えていないから襲われる心配がないと思うから、そこのところは安心していいと思う。
ただ、俺が心配なのはセリアの両親の方だ」
「えっ、私のお父様とお母様ぁ?」
「ああ、相手がお偉いさんだったら、その場で取り押さえられてしまう可能性があるかもしれない」
現にイレイラ王女を探しに来た連中だから、特訴状みたいな物を持っていてもおかしくはない。
「じゃあ、お母様達が危ないかも!」
「ああ、でも俺達が出たら話がややこしくなると思うから、ここでリタが帰って来るのを待とう」
「・・・・・・うん」
不安そうなセリアと共に、部屋の中でリタの帰りを待つのであった。
「・・・・・・酷い目に会った」
『ん? どうしたの洸夜くん?』
相変わらず拡声器を使って話し掛けて来る父さん。
「さっきセリアとイレイラ王女が風呂場に来てさ、言い争いをしたんだ」
『ふ~ん、なるほどねぇ~。洸夜くんはセリアさんのことをどう思っているの?』
「どうって・・・・・・頼もしい友達?」
『頼もしい友達かぁ~・・・・・・もしかしたらセリアさんの方はキミと親しくなろうとしていたんじゃないかなぁ?』
親しくなろううとしていた?
「それって、どういう意味なんだ?」
『そのまんまの意味だよ、洸夜くん』
父さんはそう言うと、仕事をする為かノートパソコンを片手にテーブルの方へと向かって行った。
「何を言いたいんだ、父さんは?」
「コウヤは本当に鈍いんだからぁ」
「だから何で鈍いって言うんだよ」
「自分で考えてみればぁ~」
意地悪そうな顔させながら、母さんの元へと飛んで行ってしまった。
何なんだよ。みんな俺がわかっていないみたいに言って。
そんなことを思っていたら、廊下に続く扉が開きセリアとイレイラ王女が入って来た。
しかし2人共、のぼせているのか足元がフラフラしている。
「2人共、大丈夫なの?」
「へ、平気です・・・・・・」
「ちょっと風呂に浸かり過ぎた。でも、王宮の風呂よりも快適だった」
2人は母さんにそう言うと、俺を睨んで来た。
「どうした? 俺を睨んで」
「・・・・・・それ、本気で言ってるの?」
「ここまで鈍感だとはな」
何だ何だ? 俺が何をしたって言うんだ?
「2人共、一体何を言っているんだ?」
「別に」
「コウヤ殿は気にしなくてもいい」
2人はそう言うと母さんの元へと行き、何故か母さんに頭を撫でられていた。
「2人共、何か飲み物を飲む? それともアイスを食べたい?」
「私は飲み物をお願いします」
「オルコス殿と同じ飲み物をお願いしよう」
「わかったわ。ちょっと待っててね」
母さんはそう言うと、冷蔵庫からコーラを取り出してコップに注いだ。
「ん? その黒い飲み物は毒なのか?」
「イレイラ様、あれはコーラと言う飲み物です」
「コーラ・・・・・・しかし、中で泡立っているではないか」
「それは飲み物の中に炭酸を入れているから泡立っているんですよ。美味しいですよ」
セリアはそう言うと母さんからコップを受け取り、一口飲んだ。
「何度飲んでも美味しいと感じますね。これ」
「ルノアちゃんが気にいってるほどだからねぇ~」
「う~む・・・・・・」
イレイラ王女は恐る恐るといった感じで手渡されたコップを口に付けて飲むと、目を見開いた。
「この果実水は美味いな! 特に口の中に広がるシュワシュワ感が堪らない!」
「気に入ってくれてよかったわぁ」
「ああ、ところでこの飲み物はどうやって作っているのだ? 私の国にも普及させたいのだが」
イレイラ王女様の言葉に、母さんは戸惑ったようすを浮かべた。
「ああ~・・・・・・それはね。私が作った飲み物じゃないの」
「そうなのか?」
「はい、生産する工場。商会って言った方がわかりやすいですね。そこで作られた物を買っているんです」
イレイラ王女は話しを聞いているのかどうか知らないが、とても興味深そうにコーラのペットボトルを手に取り見つめる。
「そうかぁ~・・・・・・ん? 待てよ。あのお店の商品棚に置かれていた物はもしかして?」
「色んな商会の商品を集めた場所になります」
「なるほど。そうすると経済的な意味で・・・・・・」
イレイラ王女が何かブツブツと言い出した姿を見た母さん達は、俺のところにやって来た。
「コウヤ。向こうの世界に行って来て、現状どうなっているか聞きに行って」
「えっ!? 風呂に入って来たばかりなのに?」
「そうよ。時間が経った今なら、何かしらの情報を掴んでいる可能性があるからね」
『それにオルコスさんのご自宅だけに行くのなら、危険はない筈だよ』
まぁ確かに。父さんの言うことも一理ある。
「わかった。着替えてから行って来る」
「あ、私も付いて行くよ」
「私も行く~!」
どうやらセリアとリタは、俺に付いて行く気みたいだ。
「わかった。着替えたらリビングに戻るって形でな」
「私も付いて行こう」
「「それはダメ!」」
セリアとリタが同時に言うと、イレイラ王女はムッとした顔で2人を見つめる。
「もしもイレイラ王女様を探しに来た人がその場にいたら、返ってややこしい事態になりかねませんよ!」
「うん! うん!」
『場合によっては誘拐で捕まえられる可能性があるかもしれない。
この人ならやりかねない。って思う人が1人や2人いるでしょ?』
イレイラ王女は父さんの言葉に思い当たるのか、アゴに手を当てて考える仕草を見せる。
「・・・・・・確かにいるな」
『だったら、コウヤくん達が帰って来るまで待つのがいいと僕は思うよ』
「そうだなぁ。すまない、セリア殿」
「いえ、ご理解して頂けたのならいいのです。コウヤくん、着替えてましょう」
「ああ、わかった」
マーガレットさんにちょっと似ているなぁ。と思いつつ、着替える為自室へと向かった。
「どうしてこんなことを、しなくちゃけないんだよ」
進展があったかどうか明日朝に聞けばいいことだと思うし、何よりも面倒くさいと感じてる。
「俺が嫌だって言っても行きなさいの一言で片付けられるからなぁ」
言い負けるぐらいなら、素直に言うことを聞く。それが我が家の鉄則。
そんなことを思っていたら着替えが終わった。なのでリビングへと向かう。
「あれ、セリアは?」
「まだ着替え終わっていないみたいだ。って言うか、女子の方が着替えるのが遅いに決まっているだろう?」
そうか? 姉さんなんて着替えをパパパッと済ませていたぞ。 と思っていたら後ろから指で突かれた。
「お待たせコウヤくん」
「忘れ物はないか?」
「うん。って言うよりも持って行く物なんて何にもないから」
「ああ、そうだな。じゃあ、手を繋ぐか」
「・・・・・・うん」
嬉しそうな顔で手を握るセリアと肩に乗ったリタを尻目に、洸夜は目を瞑り、呪文を唱える。
「【転移】」
セリアの実家にやって来た瞬間、話し声が聞こえて来た。
「あれ? お客さんでも来ているのかなぁ?」
「その割には、怒鳴っているような感じがするが」
話し声の中には、ここに居るのはわかっているんだぞ! とか、 早く姫様を出せ! とか聞こえて来る。
「断片的な話し声を聞く限り・・・・・・余りいい状況じゃなさそうな気がする」
「確かに。今日は会うの止めて帰ろうか」
「いや、話しの内容が気になるから、透過の魔法を使って聞いて来てくれないか?」
「ええ~!? 面倒くさいよぉ~!」
おいおい、付いて来る気満々だったのに、今更何で面倒くさいとか言うんだよ。
「お前が頼りなんだからさ。頼むよ! この通りっ!!」
そう言って頭を下げると、リタは仕方がないと言いたそうな顔で俺を見つめる。
「そこまで言うんだったら仕方ないね。行って見て来るよ」
「恩に着るよ。リタ」
「コウヤから色々貰っているんだから、これぐらいのことをして当然だよ。【透過】」
リタが半透明な姿になったのを確認すると、ドアを少しだけ開けてリタを行かせた。
「リタさん、大丈夫かなぁ?」
「他の人からは姿が見えていないから襲われる心配がないと思うから、そこのところは安心していいと思う。
ただ、俺が心配なのはセリアの両親の方だ」
「えっ、私のお父様とお母様ぁ?」
「ああ、相手がお偉いさんだったら、その場で取り押さえられてしまう可能性があるかもしれない」
現にイレイラ王女を探しに来た連中だから、特訴状みたいな物を持っていてもおかしくはない。
「じゃあ、お母様達が危ないかも!」
「ああ、でも俺達が出たら話がややこしくなると思うから、ここでリタが帰って来るのを待とう」
「・・・・・・うん」
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