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決戦! ゴーレム!!

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 召喚魔法陣から出て来た大きな鎧を見上げるていた。

 何だこの鉄の鎧は? 6m? いや、8mぐらいの大きさがあるぞ。

 「フハハハハッ!? どうだ見たかぁ! これが我らの国が保有しているアイアンゴーレムだ!」

 「アイアンゴーレム! ・・・・・・これが?」

 ファンタジーで出て来るモンスターが目の前にいるのだが、ちょっとカラーリングがダサイ気がする。

 「このフォルムで虹色カラーは流石にちょっとぉ~・・・・・・ねぇ?」

 「うん。コウヤが持って来たジャージよりもダサイ気がする」

 姿はカッコイイけど、カラーリングのせいで台無しになっている気がする。

 「私もこれはないと思う」

 「私も」

 「自分も、一色にした方がまだマシな気が・・・・・・」

 満場一致でダサイと思っている。

 「何だとぉ!? この色は我が国にとって由緒正しき、ぃいいいいいいっ!?」

 あ、話の途中で召喚主が殴り飛ばされた。しかも地団駄を踏んでいる。何でだ?

 「・・・・・・ひょっとして、何てことしてくれてんだコラァ!? って言って殴ったんじゃないかなぁ?」

 「どういう事だ、リタ?」

 「だってほら、地団駄踏んで怒ってるもん」

 言われてみれば確かに、怒っている感じがする。

 「何故だ・・・・・・召喚主の俺を、攻撃するのだ?」

 主犯格はそう言うと、ガックリとうな垂れて気絶してしまった。

 「カラーリングが気に入らないから・・・・・・って、そんなことを言っている場合じゃないな」

 アイアンゴーレムは戦闘モードに入っているのか、こっちを向いて身が構える。

 「アニス学園長、あのアイアンゴーレムに勝てそうですか?」

 「あれは造られたゴーレムだから、勝てるかどうか厳しいところだな?」

 「造られたゴーレム? 人工的なヤツとそうじゃないゴーレムがいるんですか?」

 「ああ、簡単に説明するとゴーレムは魔核に石や鉱物の集まって出来たモンスターなんだ。だから天然に出来たゴーレムは不格好なんだ」

 「なるほど・・・・・・じゃあ、あのフォルムが綺麗なのは、人工的に造られたゴーレムで間違いないってことですね」

 「そう言うことだ」

 そんな会話をしていたらゴーレムが拳を振りかざして来たので、慌ててその場から離れて回避した。

 「動きは鈍いな」

 「でもあんなの喰らったら、死んじゃうよ!」

 確かにリタの言う通りだな。いくら動きが遅いとは言え鉄の塊を生身で喰らうんだ。軽傷じゃ済まないだろう。

 「ヤツの弱点がわかればいいんだが・・・・・・」

 「ヤツの弱点? ゴーレムの弱点は核を壊すか、動けなくなるまで身体を壊すかの2つだ」

 「魔核の位置わかります?」

 「胸の中心にある」

 そうとわかれば、その場所を攻めていくか!

 「クリスタルナイフ!」

 結晶化で作ったナイフを胸の中心に向かって投げたのだが、装甲が分厚いのかナイフの先端が突き刺さっただけだった。

 「硬いか!」

 そう言っている間にユークさんとルシアさんがゴーレムの足元に駆け寄り、剣を振るうが傷が出来た程度だった。

 「ッ!?」

 「これじゃあ無理っぽそうね」

 剣も芳しくないとすると、別の方法で攻撃するしかないな。

 「こうなったら一気に近付いてクリスタルブレードで切るしかないか」

 「コウヤ、サポートするよ!」

 「ああ、頼む」

 クリスタルブレードを作り出し、アイアンゴーレムに一気に駆け寄るが、俺に気付き拳を振りかざして来る。

 「【アクア・シールド】」

 リタが作った水の盾のおかげでゴーレムの攻撃を受けずに済み、足元までやって来れた。

 「左足貰い!」

 剣を横なぎに振るって左足を切断しようとしたのだが、途中で失速してしまった。

 「えっ!?」

 どういうことだ? もしかしてクリスタルブレードの刃が欠けた? ・・・・・・いや違う!

 「装甲が分厚いせいで、切りきれない!」

そう、止まった後もクリスタルブレードは少しづつアイアンゴーレムの身体を切っているのだ。

 「ッ!? マズイ!」

 アイアンゴーレムが俺を掴もうとして来たのが見えたので、その手を躱してから距離を取った。

 「【ダークランス】」

 アニス学園長が闇の槍を飛ばしてアイアンゴーレムの身体に当てるのだが、やはりこれも効果が芳しくない。
 でも、俺と同等に突き刺さっているってことは、スゴイ威力なのがわかる。

 「やはり魔法耐性があるみたいだ。強力な魔法を撃って倒すか、もしくはコウヤくんのクリスタルブレードで削っていくしかなさそうだ」

 「でもそれだと、ジリ貧な気がします」

 「その通り、チマチマした戦いを続けていると私達がやられてしまう・・・・・・仕方ない、一旦逃げで体勢を立て直すしかない」

 でもそれだと、学園をめちゃくちゃにされる危険性が高い。

 「・・・・・・1つだけ方法があります」

 「何か方法があるのか?」

 「ええ、一応アニス学園長に黙って作っていた大技があるんですけど、それを使えばあのゴーレムを倒せるかもしれません」

 「本当か?」

 「ええ、威力は保証します」

 「なら頼・・・・・・」

 アニス学園長が話している途中でリタが俺達の間に入って来る。

 「コウヤ、あれを使うつもりなのっ!?」

 「ああ」

 「ダメよ! 私、あれを使うの反対だからね!」

 「でも、この状況を打破するには、あの技しかないだろう?」

 鬼の形相で俺に近付いて来たので、ちょっと身体を仰け反らせてしまった。

 「それに、コウヤはあれを1度も成功させたことないじゃん!」

 「ああ確かに成功させてないな」

 「成功させてないのに、私に提案して来たのか!?」

 今度はアニス学園長が顔を寄せて来た。

 「ええ、でも成功させる為の鍵を見つけたので、大丈夫だと思います」

 「成功させる為の鍵? それは一体何なんだ?」

 「アニス学園長が作ってくれた棒です」

 「棒? これが?」

 そう言って腰に付けていた袋から棒術用の棒を取り出した。

 「何で持っているんですか、それを?」

 「ああ、捕まったときに調べられたんだけど、相手もこれが何なのか理解出来なかったから返され・・・・・・って、そんなことどうでもいい! これがあれば大技が出来るんだな?」

 「はい! 先生、アイツの足止めをよろしくお願いします!」

 「わかった! 期待しているからな」

 アニス学園長はそう言うと、俺に棒を渡してからユークさん達に加勢する。

 「さて、言ったからにはやりますか」

 「でもコウヤ。本当に大丈夫なの?」

 「ああ、大丈夫だ。現にこの棒で威力を落とした物を作ってみたら成功したから、多分大丈夫だろう」

 リタにそう言うと、棒に魔力を流し込むのに加えて、魔力を具現化させる。

 もっとだ・・・・・・もっと大きく頑丈な剣をイメージしないと。

 額に汗を滲ませながら、剣を作り上げた。

 「出来た!」

 剣先が平たく、刃の部分がクリスタルブレードと同じくチェーンソーのようになっている大剣が出来上がった。

 「綺麗な剣」

 「名前は付けてないが、出来のいい剣が出来上がった。これならいける! リタ、アニス学園長のところに行こう!」

 「了解!」

 出来たばかりの大剣を握り締めて、アニス学園長の元へ走って行く。

 「アニス学園長。準備出来ました!」

 「ん? 何だそのバカデカい剣は!?」

 「名前は付けてないので何とも言えないのですが、これならアイアンゴーレムを倒すことが出来ると思う!」

 「尋常じゃない程の魔力を感じるが・・・・・・止む終えない。私達でヤツの動きを止めるから、その大剣で切り裂くんだ!」

 「了解!」

 アニス学園長はそう言うと、ユークさんとルシアさんとリタを見つめた。

 「3人共行くぞ」

 「ええ」

 「ラジャー!」

 「了解! こっちに来るんだウスノロ!」

 ユークさんが相手の気を引き付けている間に、ルシアさんがアイアンゴーレムの背後に回り手をかざした。

 「炎よ紅蓮と化して現れよ。【フレイムボム】!」

 火の玉をゴーレムの左脚の関節に当てて、膝を着かせる。

 「【ウォータースプラッシュ】!」

 今度はリタがゴーレムの顔に水圧が高い水を当て続けて怯ませる。その間にアニス学園長がゴーレムの足元へと駆け寄り、地面に手を着く。

 「闇よ、我を仇なす者を拘束せよ。【ダーク・バインド】!」

 アニス学園長がそう言うと、アイアンゴーレムの身体に不気味で黒い鎖が纏わり付いて拘束する。

 「今だ! 決めてくれ!」

 「OK!」

 そう返事をするとアイアンゴーレムに目掛けて一気に駆け寄ると、大剣を一気に振りかざした瞬間に何か光のような線がゴーレムを通過した。

 「手応えがない?」

 おかしい。距離は見誤っていない筈なのに、何故か空を斬った。

 ピキピキピキピキィ・・・・・・パリンッ!?

 「あっ!?」

 一振りで大剣が壊れてしまった! クソォ、やっぱり完成させてから使うべきだった!

 「コウヤくんマズイッ!?」

 「ハッ!?」

 しまったゴーレムの側だった!

 逃げようとしたところで、異変に気付く。

 「あれ? このゴーレム。固まったまま・・・・・・動、い・・・・・・」

 とてつもない眠気と脱力感を感じる中、大きな物音が耳に入って来た。その後に誰かが必死になって呼び掛ける声も聞こえて来る中、意識を手放してしまった。
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