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第4話 再戦する男!

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 「これスゲェッ!?」

 「そうか、気に入って貰えて何よりだ」

 「はい、この中にたくさん収納出来そうだ!」

 「感心してたの箱の方!?」

 あ、いかんいかん。武器の方も見ないと。

 「こっちもスゴイですね。霞がかった黒色は自分好みです」

 「・・・・・・本当に言っている?」

 「嘘偽りないぞリタ」

 だからジト目で俺を見つめて来ないでくれ。

 「ま、まぁ箱は使うから中身だけを取ってくれ」

 「あ、はい。わかりました」

 棒に2本のトンファー、それにヌンチャク2つを箱の中から取り出して地面へと置く。

 「セリアから聞いていたが、本当にそれが武器なのか?」

 「はい、武器ですよ」

 そう言ってトンファーを手に持ち、軽く振って見せた。

 「ほぉ~、これはこれは」

 「サマにはなってますね」

 まぁ、演技の振り方をしたからな。

 「彼の実力は私が保証するので、一度彼と交えてみては、如何でしょうか?」

 「な、なぁ!?」

 俺がセリアの父親と戦うだって!?

 「ほほう。それは面白そうですな」

 イヤイヤイヤ! 乗る気にならないで下さいよ!

 「いや、それは流石にそれは無理があるかと!」

 「どうしてなんだ?」

 「どうしてって。マルコシスさんを怪我をさせてしまったら、そのぉ・・・・・・」

 「何、この私が弱いとでも言いたいのか?」

 うわぁ~あ、怒らせてしまったよ。ど、どうしよう。

 「アナタ。コウヤさんは貴族であるアナタを傷付けてしまったら、無礼だと言われるのを心配しているんですよ」

 「あ、そう言うことか。それなら心配いらん。こう見えて騎士団長を務めているから、訓練の傷は当たり前だと認知している」

 「そ、そうですか」

 「だから遠慮はいらん。掛かって来い」

 そう言うと自身の腰に差している剣抜き、俺に向かって構えて来た。

 「ちょっ、ちょっ、ちょっ!? 待って待って! それでやるつもりですか?」

 「そうよお父さん! 決闘じゃないんだから、それを使っちゃダメだって!」

 「え? ああ、そうだったな。すまんすまん。ハッハッハッハッ!」

 ハッハッハッハッ! じゃねぇよ! 俺が下手すれば真っ二つになるところだったんだぞ。

 「オルコス様、こちらの木の剣をお使い下さい」

 「うむ、感謝する」

 カーシャさんから木の剣を受け取ると、ブンッブンッと素振りをする。

 「腰に差している剣をお預かり致します」

 「うむ、それなら気遣い無用。このままコウヤ殿と交える」

 「失礼しました」

 カーシャさんはそう言うと、一礼した後にアンリネットさんの側へと行く。

 「コウヤ、殺されないでね!」

 「模擬戦だからその心配はないぞ!」

 多分って話だけどさぁ!

 軽く準備運動をしてから両手にトンファーを持ち、マルコシスさんの前まで行ってから一礼をする。

 「両者構え!」

 いつの間にかアニス学園長が仕切っていたのを気にしつつ、トンファーを構える。

 「・・・・・・始め!」

 先手必勝!

 そう思いながら相手のコメカミに向かって左手を伸ばしながらトンファーを半時計周りに回して攻撃をする。こうした方が攻撃力が増すのだ。

 「甘いわ!」

 そう言って身体を仰け反らして避けられてしまうが、一気に懐に飛び込み右手に持っているトンファー土手っ腹を突く。

 「ウグッ!?」

 マルコシスさんは突かれた場所を押さえながら一歩下がった。

 「やるな、コウヤ殿」

 「どうも」

 俺がそう返事をしたら、マルコシスさんの雰囲気が先程とは一変する。

 「どうやら私はキミを過小評価していたようだ。少し本気を出させて貰おう」

 「どうぞ、お好きなようにして下さい」

 ヤバイ、さっきの一撃で本気にさせたかもしれない。

 「では、参る!」

 一気に距離を詰めて来た。

 早ッ!?

 そう思っている中、上段から木の剣を振り下ろして来たので左手のトンファーで受け止める。

 「ほう、やる・・・・・・んッ!?」

 マルコシスさんが驚くのも無理はない。だって自分の剣を受け止めたのを感心している間に、右手に持っているトンファーの先端が顎の下にあったのだから。

 「そこまで!」

 アニス学園長のその言葉と共に、お互い武器を収めて離れた。その後に俺は一礼をする。

 「スゴイねコウヤ! 余裕で勝っちゃうなんて!」

 「いやいや、余裕なかったぞ! ホントマジで!」

 ぶっちゃけ言えば、あのままズルズル戦い続けていたら俺が負けていた。

 「コウヤ勝っちゃった」

 「手加減してたとは言え、マルコシス団長に勝ちましたよ。あの子」

 何か問題でもあったのか?

 「スゴイよコウヤくん! お父さんに勝っちゃうなんて!」

 「ああ、うん。結構ギリギリだったし、それにマルコシスさんも手加減してくれていた。本気だったら俺が負けていた」

 だからそんなにピョンピョン飛び跳ねて喜ぶことじゃないって。

 「そんなことないよ! お兄さん何て毎日コテンパンにされているんだから!」

 「今お兄さんって言わなかった?」

 「うん、お兄さんがいるよ。話してなかったっけ?」

 「初耳だよセリアさん」

 毎日父親にコテンパンにされているお兄さんって、何だか可哀想に思えて来たぞ。

 「ああ~、コウヤくん。手加減していたとはいえ、負けは負けだから文句は言わんよ」

 「あ、はい」

 やっぱり、剣道があるようにこの人にも騎士道があるんだろう。

 「しかし、いい師に教わったようだね」

 「そう・・・・・・・・・・・・ですね」

 あの辛い修行を思い出すと、よく俺は逃げ出さなかったなぁって思うんだよなぁ~。

 「その長い間はなんだい?」

 「いい師でしたよ・・・・・・うん」

 「心ではそう思ってなさそうな言い方だねっ!?」

 いや、だってぇ・・・・・・ねぇ?

 「尊敬はしていますが、変わり者なのでちょっとぉ」

 「尊敬している部分と、そうでないと思うところがあるってことあるんだね」

 「はい」

 しつこいようだけど、師範のことはちゃんと尊敬しているよ・・・・・・うん。

 「今度は私とやってみようか?」

 「あ、はい。別の武器を使ってみたいので武器を変えてもいいですか?」

 トンファーをまた使うのは何かねぇ~。って思うところがあるからな。

 「ああ、いいよ。また棒を使うのかい?」

 「今度はヌンチャクを使おうと思っています」

 「ああ、構わないよ」

 トンファーを置き、ヌンチャクを2つに取り変えて一礼をしてから身構える。

 「何時でもどうぞ」

 「それじゃあ、お言葉に甘えて!」

 右手に持っているヌンチャクを上から振り下ろしたが、横に躱されてしまった。追撃で左手に持っているヌンチャクで攻撃をするが、それもしゃがんで躱されてしまった。

 「シッ!」

 アニス学園長は息を吐くのと同時に、剣を横なぎに振るって来たので後ろ下がって躱すと追撃と言わんばかりに迫って来た。
 なので右手に持っているヌンチャクを8の字を描くように振り回して近づこうとしているアニス学園長をけん制する。

 「そういう使い方もあったのか」

 アニス学園長は木の剣を構えながら感心していた。

 「自分も師範に何度もやられましたから」

 そう言ってからアニス学園長に攻撃を加える為、攻撃を警戒しながらにじり寄って行くのだが・・・・・・。

 「おやぁ~、アニス学園長。またこちらにいらしたのですかぁ~」

 この耳障りな声は、ヤツしかいない!

 「ウザ男!」

 「誰がウザ男だっ! 誰がっ!?」

 お前しかいないだろ。

 「ウザ男、またコウヤの邪魔しに来たの? ホント邪魔だからどっか行って、シッ! シッ!」

 ほら、リタだって公認しているじゃないか。

 「な! 妖精にまで私のことを・・・・・・」

 「怒っているところ悪いけど、本当に邪魔だからどっか行ってくれないか?」

 アニス学園長がそう言うと、カーシャさんとアンリネットさんが うんうん。 と頷いた。

 「フッ、私だって用がないくて来ているわけではありませんよ」

 「そうなの?」

 「ええ、そうですよアンリネット様」

 「そう、なら用件を10文字以内に伝えてから消え失せなさい。下郎」

 10文字以内!? しかも失せろって手厳しいなぁっ!!

「クッ!? 彼と再戦を申し込みに来ました」

 「10文字超えたからダメです。失せなさい」

 「回れぇ~、右」

 え、今10文字超えていた? 適当なことを言ってないよな?

 「ま、まぁ。俺は再戦をやること自体は構わないですよ」

 「いいんですか?」

 「ええ」

 コイツに邪魔された礼をしたいからな!

 思いながら、バルゲンの前に立った。

 「フンッ! 後悔させてやる」

 「この前負けた癖に?」

 「何だとっ!?」

 バルゲンは顔を真っ赤にさせて、自分で持って来た木の剣を構えた。

 「もう勝手に始めてくれ」

 不機嫌そうなアニス学園長がそう言うと、バンゲンは木の剣を振り被った。

 「チェストォォォオオオオオオッ!?」

 そう言って木の剣を振り下ろして来たので、横に避けてから顎下にヌンチャクをぶち込んだ後に、もう片っぽの方でコメカミをぶっ叩いた。
 俺は手ごたえを感じていたのだが、バルゲンは木の剣を構えたままこっちを向いて来たので感心する。

 あの攻撃を受けて立っていられるなんて、頑丈なヤツだなぁ。

 「さて、今度はこっちから行く・・・・・・ん?」

 何かようすがおかしいぞ?

 そう思ったので警戒しつつバルゲンに近づいて見て、すぐに気が付いた。

 「・・・・・・立ったまま気絶している」

 「「「「「「「ハァ?」」」」」」」

 バルゲンの胸を手でチョンと押すと、そのまま地面に倒れてしまった。

 「・・・・・・根性だけは認めるよ」

 俺は気絶しているバルゲンにそう言うのであった。
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