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マナさん達とダンジョンへ移動

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 とにもかくにも報告自体は済んだので、アンジーさんにお礼を言ってから宿へと帰る。
 そうそう帰り際に「妖精族との面談日と場所が決まったら、カイリさん達に報告します」と言ってたね。
 そのことを聞いていたファニーちゃんが嬉しい反面少し不安そうな顔をしていた。まぁ俺自身も不安に思っているけどね。
 そんなこんなで迷宮へと行く当日になった。

 「よっしゃー! カイリッ‼︎ 張り切って迷宮に行くよぉおおおおおおっ!⁉︎」

 「……マナさん朝からハイテンションだね。てか、まだ寝ている人達がいるから静かにしましょうね」

 「クゥ~ン……」

 日が出る前なのでルルも寝ぼけ眼状態だ。

 「ああ、そうだったね! じゃあ静かにここを出よう!」

 「…いや、俺まだ着替えてないんですけど」

 「それなら私が手伝うよぉ~!」

 マナさんはそう言うと上着をまくろうとして来たので、手を掴んで阻止する。

 「イヤイヤイヤイヤ⁉︎ いいから! 自分で着替えて来るから、その手を離してくれ!」

 廊下で着替えとか変態じゃねぇか!

 「わかったよ。でも早く着替えて来てね」

 マナさんはそう言って手を離すと、宿のカウンターへと向かった。

 「フゥ~……マナさんが待ってるから、早く用意しようか」

 「キャンッ⁉︎」

 プルンッ⁉︎

 「~~~♪」

 ルル達も「はぁ~い」と言う感じに返事をすると、それぞれ用意を始める。

 持って行くものはストレージに入れてるから、後は着替えて髪を整えるだけか。

 首を長くして待っているマナさんの為に急ぎ目に身支度を済ませ、カウンターへと向かった。

 「お待たせマナさん!」

 「ありゃま。案外と早く来た」

 マナさん的にもう少し時間が掛かると思ってたっぽいな。

 「ちゃんと身だしなみ気にしてる? 髪を梳かしてるよね?」

 「ちゃんとやってますから安心して下さい」

 マナさんにそう言ったのだけれども、髪を触って確かめて来る。

 「……カイリ、髪の手入れが雑だよ」

 「そうかな?」

 「そうだよ。私がやってあげるから後ろ向いて」

 「いや、それよりも早く迷宮に……」

 「迷宮よりも身だしなみが大切だよ!」

 「ア、ハイ」

 もの凄い剣幕で言うのでマナさんに指示に素直に従うように後ろを向いて椅子に座った。

 「ところでマナさん、聞きたいことがあるんですけど聞いてもいいですか?」

 「迷宮のこと? それなら何でも答えちゃうよ」

 「そっちじゃなくて、今話題になっている帝国の話」

 「あ、そっちね」

 マナさん興味なさそう。

 そんなことを言いつつもアイテムボックスから号外を取り出し、マナさんに見せる。

 「この記事に書かれている帝国って、昔っからよくなかったんですか?」

 「いんや昔はそんなことはなかったみたいよ。まぁそれも先代の帝王は政治のことに関してはピカイチだったらしいんだけどぉ……」

 「だけど? 何かあったんですか?」

 「仕事中に病に倒れたんだ。それからは側近に任せていたらしんだけど、なんだかんだでアホで知られている皇太子が帝王に就任して政治に関わってからは滅茶苦茶にしちゃったらしい」

 「うわぁ~……」

 話を聞く限りだと馬鹿丸出しみたいだから、自分の都合のいいように政治を塗り替えようとしてたんだろうなぁ……いや、待てよ。

 「帝王はそのことを知ってたの?」

 「知ってたらしい。詳細はわからないけど何とかしようと思ったんじゃないの?」

 「他にも帝王にも子供がいなかったんですか?」

 「他の国に留学しているのが3人いてね。その3人が自分の兄弟が馬鹿なことをやってるのを知って戻ろうとしたんだけど、現帝王になっちゃったからお手上げ状態みたいらしい。
 因みにその内の2人が帝国領内の一部を使って、自分の国として独立宣言したみたい」

 身勝手にもほどがある。と言いたいところなんだけど、今の情勢を考えると独立国になった方が身の為かもしれないな。

 「残りの1人は?」

 「残りの1人は他国に嫁ぐことが決まってたから、帝国で起きている内戦のことに付いては関わりたくないっぽいの。
 でも嫁ぎ先の支援を受けて独立宣言した兄弟達の手助けをしているみたい」

 それって嫁ぎ先経由で兄弟達を支援してるって言った方が早いんじゃない。

 「まぁどちらにしろ今の帝王は針の筵状態になりつつあるから、帝国が陥落するのも時間の問題だと思うよ。
 ハァ~……皇太子も婚約者のことを追い出さなかったら、こんなことにはならなかったのにねぇ~」

 「婚約者?」

 「あれ? カイリは知らないの。今の皇帝には婚約者がいたけど、自分好みの女性と結婚する為だけに国外追放させたって話」

 「……はぁ? どういうことですか?」

 「そのまんまの意味だよ。髪を整えたから行こう」

 「あ、ちょっ⁉︎ 話の続きは?」

 「それは移動しながら話してあげるから」

 マナさんがそう言って宿の外へと出て行ったのでユダさんに鍵を渡してから、ルル達を連れてマナさんの後を追い掛けた。

 「カイリ様遅いです」

 「首を長くしてお待ちしておりましたよ」

 「カイリ様のキレイな生脚が……グヘヘ」

 ……あれ?

 「マナさん。この人達もダンジョンに行くんですか?」

 「そうだよ」

 「キャンッ⁉︎」

 プルンッ⁉︎

 「~~~♪」

 ルル達も「何でぇ⁉︎」と言いたそうな反応を見せる。

 「みんなメイド達を一緒に行けて嬉しいんだねぇ~……」

 「マナさん違う! ルル達は何でこの人達が付いて来るの? って言ってるんですよ!」

 「あ、そうなの? 理由は単純明快。みんな身体が鈍ってるから、ダンジョンに連れて行こうって思ったんだよ」

 「ああ~、そうなんだぁ……」

 そう言いながら変態メイド達の顔を見ると、ニッコリとした笑顔を返される。

 「彼女達も実力はあるから、安心していいよ」

 「それはこの間のことでわかっているんで大丈夫です。俺が心配してるのは、バルクさん屋敷にいるメイドが4人も抜けて大丈夫なのか? って……」

 「ああ、それなら心配ないよ。私達以外にも沢山のメイドや給仕を抱えているから、4~5人ぐらい抜けたって心配ないよ」

 沢山って……いや、詮索しない方が身の為かもしれないから、聞くのを止めておこう。

 「馬車はこちらで手配しているので案内致します」

 あらま、用意がいいこと……ってバルグさんのところなら馬車ぐらい用意出来るか。

 そんなことを思っている間にも、カイリは変態メイド達に背中を押されて馬車へと乗せられる。

 「こういうのって、エスコートするのが普通なんじゃないの?」

 「キャンッ⁉︎」

 ルルが「そうなの?」と言いたそうな鳴き声を上げた。

 「~~~♪」

 今度はファニーちゃんが「早く迷宮に行こうよ!」と急かして来る。

 「ファニーちゃんが早く行きたそうそうにしてます」

 「そうですね。私達もウズウズしているので出発しましょうか」

 「ドサクサに紛れてカイリ様の……キャッ♡」

 肌フェチさん。本人がいる前でやましいことを考えるのは止めよう。

 「では出発致しま~す!」

 足フェチさんはそう言うと馬車を出発させた。

 ……プルンッ⁉︎

 プル太郎が「迷宮楽しみだねぇ~」と言いたそうに震えた。

 「そうだね」

 そう言ってプル太郎を膝の上に乗せて身体を撫でてあげる。何故かって? 理由は単純明快向かい側の席でマナさんと変態メイド2人が、俺の隣りに誰が座るのか争っている。

 「もう! マナ様は充分触れ合いましたよね! 今度は私達の番ですよ‼︎」

 「何を言ってるの! カイリのパートナーは私なんだから、カイリの隣りに座るのは当たり前だよ!」

 「「そんなの理屈になってません‼︎」」

 こんな感じに言い争っていて見てるこっちが呆れてしまう。

 「キャンッ⁉︎」

 「ん? 隣りに座りたいのか?」

 「キャンッ⁉︎」

 「いいよ。隣りにおいで」

 ルルが「うん!」と言いたそうな鳴き声を上げるので、隣りの席をポンポン叩いて促してあげると隣りに来て寄り添う。

 「「「ああああああああああああッ‼︎⁉︎」」」

 マナさん達が叫んでいるけど、気にしない気にしない! 気にしたら負けだからね。うん!

 そう言ってルルとプル太郎の身体を撫でて心を癒す。因みにファニーちゃんは、窓の外の景色を堪能している真っ最中である。
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