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ブンゼの快進撃!

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 ブンゼがクリスタルを掲げた瞬間、クリスタルは輝き始めた。その光景を近くで見ていた男達は慌てた様子で豊ブンゼに話し掛ける。

 「よせブンゼ!」

 「サモンクリスタルを街中で使うのは違反だぞ!」

 「ハハハハッ⁉︎ 違反もクソもないわぁ‼︎  キサマら全員この場で始末してやるぅ‼︎」

 ブンゼがそう言った瞬間、クリスタルが砕け散り上空に魔法陣が展開される。その様子を一緒に見ていたマナさんが俺の腕を引っ張って来た。

 「カイリ、早くここから離れるよ!」

 「え? アイツもしかしてヤバイことやってるんですか?」

  「えっ⁉︎ もしかしてカイリさんはサモンクリスタルのことを知らないんですか?」

 サモンクリスタル? 一体何なのそれ? 教えてチュートリアル様ああああああっ⁉︎

 説明
 サモンクリスタルは魔物を召喚するときに使うクリスタルのことです。
 ですがサモンクリスタル1つにつき魔物1体までしか召喚出来ない上、召喚する魔物はランダムなので余り使用されませんがサモンクリスタルのランクが高ければ高いほど強い魔物を召喚出来ます。

 なるほど。でもランダム要素が強いものを使うかっ⁉︎

 そんなことを思っていたら、魔法陣から魔物の足が出て来た!

 「あれは大型モンスターですね」

 「何が出るかわからないアイテムなのに、あんなのが出るなんて……」

 マナさんがそう言っている間、ブンゼは勝ちを確信しているのか両手を広げて高笑いし始める!

 「フハハハハハッ⁉︎ 運がワシに向いて来たようじゃなぁ!」

 ブンゼがそう言って見つめている間に魔法陣からモンスターが現れた。

 「GAAAAAAA⁉︎」

 身体は岩で出来ている上に、12mもありそうな巨体が雄叫びを上げた!

 「あれはビッグゴーレム!」

 「ビッグゴーレム?」

 「通常のゴーレムよりも大きいゴーレムのことをさします!」

 マナさん達とそんなやり取りをしている中、ブンゼは満面の笑みを浮かべながらビッグゴーレムに近づく。

 「これでアイツらも終わりだ! さぁ魔物よ、ヤツらを蹴散らしてしまえ!」

 「GAAAAAA……」

 ビッグゴーレムはブンゼの声に反応するが、見つめたまま動かない。

 「どうしたんだビッグゴーレム! ワシの言うことが聞けないのかっ⁉︎」

 「GYAOOOOOO‼︎⁉︎」

 ビッグゴーレムは「俺に命令するな!」と言わんばかりにブンゼを平手打ちで民家の壁に叩き付けた!

 「へぶしっ⁉︎」

 壁に叩き付けられたブンゼは寄り掛かったまま動かなくなってしまった。

 「え? 何で? …何で召喚主のブンゼを攻撃したんだ?」

 「~~~♪」

 「……え? 使役してないからって、どういうこと?」

 「本来なら呼び出した魔物をその場で使役してから、偵察させたり戦わせたりするのですが……」

 「ブンゼはそのことを知らなかった?」

 「…はい」

 哀れなヤツめ……。

 プルンッ⁉︎

 プル太郎が「あの人、怒ってるよ!」と言いたそうな感じで震えた。

 「GOAAAAAAAAAAAA‼︎⁉︎」

 ビッグゴーレムは雄叫びを上げると地面に拳を叩き付け、石畳にヒビを入れた!

 「マズイ、逃げるぞ‼︎」

 「「は、はい!」」

 借金取りと思わしき3人組はゴーレムに背を向けて走り出した! それと同時に周りで様子を見ていた市民達が騒ぎ始める!

 「魔物だ! 逃げろおおおおおおおおおおおおっ⁉︎」

 「うわああああああ⁉︎ 殺されるうううううううううううう‼︎⁉︎」

 「誰か、兵士を連れて来てくれぇっ⁉︎」

 人々が逃げ惑う中、ゴーレムは近くに建てられていた民家に近付くと殴り壊したのだ! そして両腕を上げながら雄叫びを上げる!

 「GOAAAAAAAAAAAA!⁉︎」

 「キャンッ⁉︎」

 「え? このまま街を破壊するつもりかもしれない。って言いたいのか?」

 「キャンッ⁉︎」

 ルルにそう聞いたら、「うん!」と言いたそうな鳴き声を上げた。

 「~~~♪」

 今度はファニーちゃんが「早くあのビッグゴーレムを何とかしないと、大変なことになるよ!」と慌てながら言って来る。

 「そうしたい気持ちはわかるんだけどぉ……」

 念の為、鑑定スキルでビッグゴーレムのステータスを確認していた。

ーーーーーー

ステータス
名前 ー
種族 ゴーレム
個体名 ビッグゴーレム
年齢 15歳 
性別 ー

契約者 ー

職業
Lv28※モンスターなので職業は有りません。

基本能力
HP 96
MP 68
攻撃力 67
防御力 83
素早さ 28
器用性 22
魔法攻撃力 32
魔法防御力 48
運 13

取得スキル
格闘Lv4
投擲Lv2
攻撃力耐性Lv1
硬化Lv2
土魔法Lv3

称号
大地から生まれし命

ーーーーーー

 「レベルが28だしステータスも俺達よりも高いから、俺達じゃ敵わない相手だよ」

 「~~~♪」

 ファニーちゃんが「え⁉︎ そうなの?」とビックリした顔で言った。

 「だからここは逃げるしか……」

 「GYAAAAAA⁉︎」

 ビッグゴーレムの雄叫びにビックリしながら顔を向けて見ると、まるで「獲物を見つけた!」と言わんばかりにビッグゴーレムがやって来ていた!

 「ヤバイ! 目を付けられちゃったぁ!」

 「マナ様、これはもう逃げられそうにもないです! 私達が足止めするので、カイリ様を避難させて下さい!」

 変態メイドさん達はそう言うと武器を取り出して構えるが、カイリは彼女達の武器に不安を感じてしまう。

 短剣にタリスにナックル……こんな武器じゃ防御が高いビッグゴーレムを倒せないかもしれない。

 「カイリ、私に付いて来て!」

 「マナさん、俺も戦います!」

 俺がそう言うとマナさんは驚いた表情になる。

 「何言ってるの! カイリはレベル1桁なんだから、ビッグゴーレムにやられちゃうよ!」

 「でもあのビッグゴーレムの狙いは俺だから、逃げ回った方が街の被害が大きくなりそうな気がする。
 最悪の場合、俺を見つけ出そうと手当たり次第に周りのものを壊しそう」

 「確かにあり得るかもしれない…」

 マナさんがそう言って悩んでいる間にも、ビッグゴーレムが目の前まで来てしまった。

 「……悩んでいる暇がないね。カイリ、サポートをお願いね!」

 「了解! ビッグゴーレムは防御力が高いし攻撃力耐性も持っているから、魔法攻撃中心に攻めた方がいい!
 ルル、ファニーちゃんとプル太郎で魔法攻撃させるから、あのゴーレムを撹乱させてくれ!」

 「キャンッ⁉︎」

 ルルが「わかった!」と言いたそうな鳴き声を上げると、ゴーレムの前に立ちはだかった。

 「キャンッ⁉︎ キャンッ⁉︎」

 ルルが「こっちだよぉ~!」と言って挑発みたいな鳴き声を上げると、ビッグゴーレムがその鳴き声に反応してルルに拳を突き出したが、ルルはヒラリと避けた!

 素早さで言えばゴーレムの方が若干高いぐらいだが、ルルなら対応出来る筈だ!

 そんなことを思いつつも俺はマジックリボルバーを取り出し、弾薬を装填しつつビッグゴーレムの背後へと回り込みマジックリボルバーを構えた。

 「これでも喰らえ!」

 そう言うとマジックリボルバーの引き金を引いて撃つと、当たった箇所が小さく穴が空いた!
 撃たれたビッグゴーレムは痛みを感じているのか、当たった箇所に手を置いて摩って気にしている。

 「GOAAAAAA⁉︎」

 ビッグゴーレムが後ろを振り返り、カイリを見つけると「お前かぁ⁉︎」と言わんばかりに襲い掛かろうとするが、左側から風魔法を受けて身体をぐらつかせる!

 「GUUUUUU?」

 「~~~♪」

 ビッグゴーレムは風魔法を受けた方向に顔を向けると、ファニーちゃんが「あっかんべー」とやっていた。

 「GAAAAAA⁉︎」

 ビッグゴーレムは雄叫びを上げながらファニーちゃんに向かうが、今度は背中に水魔法を受けて地面に倒れた!

 「ナイスプル太郎!」

 プルンッ⁉︎

 水魔法を当てたプル太郎は「えっへん!」と言いたそうな感じで震えていた。
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