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お料理教室
《17》
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みんなでダイニングテーブルを囲んで夕食を食べている時、拓海さんがスマホを見て気まずそうな顔をした。
「タク、女か?」
ハルさんがからかうように言うと、栗原さんが、こらっとハルさんを睨んだ。
ハルさんは私と拓海さんがつき合っている事を知らない。ハルさんは口が軽いから黙っておいた方がいいという栗原さんの判断だ。
「ちょっと面倒くさい用事が出来ただけだ」
拓海さんがため息をついた。
ハルさんが拓海さんのスマホを覗き込む。
「お、リカちゃんだ。『今すぐ来て』って、相変わらずリカちゃん女王だな」
ハルさんが笑う。
佐伯リカコの名前にイラッとする。
拓海さんを都合よく佐伯リカコが使っている気がして、なんか嫌だ。今すぐ来てだなんて、よく言えたものだ。拓海さんに恋人のふりをお願いしている立場のクセに。いくら元夫婦だからって図々しい。
「そういえばこの間、週刊誌にリカちゃんと一緒にタク載っていたよな。まさか復縁したのか?」
復縁って言葉が胸を締め付ける。
「ハル、変な事言うな。彼女と復縁は絶対にありえない。完全に終わっているんだ。今はちょっと訳ありで一緒にいるだけだ」
拓海さんが強めに否定した。
多分、私がいるからハッキリ言ってくれたんだ。
「ふくえんって何?」
こうくんとみっくんに聞かれる。
「えーと、それは、別れた恋人とか夫婦がまた一緒になる事」
説明していて、胃がチクチクと痛くなる。
「たっくん、リカちゃんともう一回一緒になるの?」
こうくんとみっくんの無邪気な言葉が胸をえぐる。
「ないよ。絶対にない!」
拓海さんが強く言うと、こうくんとみっくんがびっくりしたように涙ぐんだ。
「たっくん、怖い」
「あ、すまん」
拓海さんが慌てて謝る。
そんなやり取りを聞いているのも苦しいし、佐伯リカコの話をこれ以上、聞きたくない。
「あの、私、帰ります。ごちそうさまでした」
「中島ちゃん、泊まっていくんじゃなかったの?」
栗原さんに言われた。
「やっぱり今日は失礼します。長々とお邪魔しました」
席を立ち、急いで帰り支度を始めた。
「タク、女か?」
ハルさんがからかうように言うと、栗原さんが、こらっとハルさんを睨んだ。
ハルさんは私と拓海さんがつき合っている事を知らない。ハルさんは口が軽いから黙っておいた方がいいという栗原さんの判断だ。
「ちょっと面倒くさい用事が出来ただけだ」
拓海さんがため息をついた。
ハルさんが拓海さんのスマホを覗き込む。
「お、リカちゃんだ。『今すぐ来て』って、相変わらずリカちゃん女王だな」
ハルさんが笑う。
佐伯リカコの名前にイラッとする。
拓海さんを都合よく佐伯リカコが使っている気がして、なんか嫌だ。今すぐ来てだなんて、よく言えたものだ。拓海さんに恋人のふりをお願いしている立場のクセに。いくら元夫婦だからって図々しい。
「そういえばこの間、週刊誌にリカちゃんと一緒にタク載っていたよな。まさか復縁したのか?」
復縁って言葉が胸を締め付ける。
「ハル、変な事言うな。彼女と復縁は絶対にありえない。完全に終わっているんだ。今はちょっと訳ありで一緒にいるだけだ」
拓海さんが強めに否定した。
多分、私がいるからハッキリ言ってくれたんだ。
「ふくえんって何?」
こうくんとみっくんに聞かれる。
「えーと、それは、別れた恋人とか夫婦がまた一緒になる事」
説明していて、胃がチクチクと痛くなる。
「たっくん、リカちゃんともう一回一緒になるの?」
こうくんとみっくんの無邪気な言葉が胸をえぐる。
「ないよ。絶対にない!」
拓海さんが強く言うと、こうくんとみっくんがびっくりしたように涙ぐんだ。
「たっくん、怖い」
「あ、すまん」
拓海さんが慌てて謝る。
そんなやり取りを聞いているのも苦しいし、佐伯リカコの話をこれ以上、聞きたくない。
「あの、私、帰ります。ごちそうさまでした」
「中島ちゃん、泊まっていくんじゃなかったの?」
栗原さんに言われた。
「やっぱり今日は失礼します。長々とお邪魔しました」
席を立ち、急いで帰り支度を始めた。
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