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7話 速水さんとセクシー美女?
《21》
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鍋を食べながら、速水さんに今日のゼミの話をした。トランスジェンダー女性の話に難しい問題だねと相槌を打った速水さんがやっぱり元気がないように見える。
「速水さん、疲れてますか?」
「え」
ウーロン茶の入ったグラスをテーブルに置いた速水さんがこっちを見る。
「いや、なんか、私、喋り過ぎですよね。一人でずっと話してて。すみません。速水さんと一緒にいられるのが嬉しくて、つい調子に乗ってしまって」
「そんな事ないよ。美樹ちゃんの話面白いし。ただ」
「ただ?」
「卓也がファンの子とは絶対に付き合えないって言っていた事を思い出して」
女の子に手の早いタクヤ君がファンと付き合えないのは意外。
「どうしてなんですか?」
「ファンの子は普通の男として卓也を見てくれないんだって。しかも美化され過ぎて、それが重たいらしい」
なんかわかる気がする。速水さんの事を私も普通の男の人としては見られない。
あっ。
「もしかして速水さん、私の想いが重たいですか?」
速水さんが苦笑したように見えた。
「そんな事ないよ」
そう言ってくれたけど、速水さんの本心に聞こえない。やっぱり私の気持ちが速水さんは重たいのかな。はしゃぎすぎて速水さんの写真も沢山撮っちゃったし。
「……すみません。私、一人で楽しんで」
「そんな事ないって」
「速水さん、無理しないで下さい。私、さっきから一人でテンション上げ過ぎでしたよね。あの、速水さんにセクシー美女の気配を感じてずっと落ち込んでいたから、その反動で、速水さんとこうして一緒にいられるのが嬉しくて、つい羽目を外してしまって」
速水さんが眉間に皺を寄せて、じっとこっちを見ている気がする。
私、また何か変な事言った?
「美樹ちゃん、セクシー美女って何の話?」
改めて聞かれると恥ずかしい。
「あの、笑わないで下さいよ」
「うん」
「昨日、速水さんにお電話した時、『早くしようよ』というセクシーな女性の声が電話から聞こえてきて。それで、速水さんが下着姿のセクシー美女に襲われているんじゃないかと思いまして」
「ぷっ」
笑わないで欲しいと言ったのに、速水さんが吹き出した。
「あーもう、笑わないでって言ったのに」
「ごめん」と言いながら速水さんが笑う。
笑われて恥ずかしい。だから言いたくなかったのに。
「もうっ、速水さん!」
お兄ちゃんにする調子でポカポカと速水さんの胸を叩く。笑いながら速水さんが避ける。「美樹ちゃん、ごめん、ごめん」と言いながらまだ速水さんが笑っている。
「もう、笑わないで」
笑い転げる速水さんをポカポカ叩いていたら、いつの間にかソファの上で横になった速水さんの上に乗っていた。
「あっ、すみません」
慌てて離れようとしたら、腕を掴まれる。強い力で引っ張られて、私の鼻先は寝転がったままの速水さんの胸に当たった。
体温と柑橘系のコロンと混ざった速水さんの匂いを感じて、心臓が壊れそうな程ドキドキする。
「はっ、速水さん……」
「美樹ちゃん、もしかしてセクシー美女に嫉妬したの?」
低い声が頭の上で響いた。その質問に胸がぎゅっと締め付けられた。
「速水さん、疲れてますか?」
「え」
ウーロン茶の入ったグラスをテーブルに置いた速水さんがこっちを見る。
「いや、なんか、私、喋り過ぎですよね。一人でずっと話してて。すみません。速水さんと一緒にいられるのが嬉しくて、つい調子に乗ってしまって」
「そんな事ないよ。美樹ちゃんの話面白いし。ただ」
「ただ?」
「卓也がファンの子とは絶対に付き合えないって言っていた事を思い出して」
女の子に手の早いタクヤ君がファンと付き合えないのは意外。
「どうしてなんですか?」
「ファンの子は普通の男として卓也を見てくれないんだって。しかも美化され過ぎて、それが重たいらしい」
なんかわかる気がする。速水さんの事を私も普通の男の人としては見られない。
あっ。
「もしかして速水さん、私の想いが重たいですか?」
速水さんが苦笑したように見えた。
「そんな事ないよ」
そう言ってくれたけど、速水さんの本心に聞こえない。やっぱり私の気持ちが速水さんは重たいのかな。はしゃぎすぎて速水さんの写真も沢山撮っちゃったし。
「……すみません。私、一人で楽しんで」
「そんな事ないって」
「速水さん、無理しないで下さい。私、さっきから一人でテンション上げ過ぎでしたよね。あの、速水さんにセクシー美女の気配を感じてずっと落ち込んでいたから、その反動で、速水さんとこうして一緒にいられるのが嬉しくて、つい羽目を外してしまって」
速水さんが眉間に皺を寄せて、じっとこっちを見ている気がする。
私、また何か変な事言った?
「美樹ちゃん、セクシー美女って何の話?」
改めて聞かれると恥ずかしい。
「あの、笑わないで下さいよ」
「うん」
「昨日、速水さんにお電話した時、『早くしようよ』というセクシーな女性の声が電話から聞こえてきて。それで、速水さんが下着姿のセクシー美女に襲われているんじゃないかと思いまして」
「ぷっ」
笑わないで欲しいと言ったのに、速水さんが吹き出した。
「あーもう、笑わないでって言ったのに」
「ごめん」と言いながら速水さんが笑う。
笑われて恥ずかしい。だから言いたくなかったのに。
「もうっ、速水さん!」
お兄ちゃんにする調子でポカポカと速水さんの胸を叩く。笑いながら速水さんが避ける。「美樹ちゃん、ごめん、ごめん」と言いながらまだ速水さんが笑っている。
「もう、笑わないで」
笑い転げる速水さんをポカポカ叩いていたら、いつの間にかソファの上で横になった速水さんの上に乗っていた。
「あっ、すみません」
慌てて離れようとしたら、腕を掴まれる。強い力で引っ張られて、私の鼻先は寝転がったままの速水さんの胸に当たった。
体温と柑橘系のコロンと混ざった速水さんの匂いを感じて、心臓が壊れそうな程ドキドキする。
「はっ、速水さん……」
「美樹ちゃん、もしかしてセクシー美女に嫉妬したの?」
低い声が頭の上で響いた。その質問に胸がぎゅっと締め付けられた。
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