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5話 速水さんとバーベーキュー。
《9》
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「あの、電話だけとは?」
「お母様から聞いてませんか?」
「何も」
「卯月先生にお母様に電話してもらったんです。その時、替わって頂き、ご挨拶をさせて頂きました」
全く知らなかった。
お母さん、こんな大事な事を私に話していないなんて!
「すみません。私、何も覚えていなくて」
「こちらこそ申し訳なかったです。卯月先生がお酒に弱いとは知らず飲ませてしまって。それに、あの日は僕の都合で早めに切り上げてしまって」
「そうだったんですか?」
「それも覚えてませんか?」
「すみません。かなり酔っていたようで。ワインを飲んでいた所までは覚えているのですが」
「デザートのティラミスを食べたのは覚えていますか?」
ティラミス?
「デザートはティラミスだったんですか?」
「卯月先生、大好物だと言って僕の分も食べていましたよ」
恥ずかしい……。
めっちゃ食いしん坊じゃん。私。
「す、すみません」
「いいんですよ。差し上げたんですから」
「あの、ティラミスの後は?」
「ティラミスを食べている時に僕のスマホに電話がかかって来て用事が出来たんです。それで慌てて卯月先生と店を出て。卯月先生、電車では帰れないと言ったので僕がタクシーを捕まえて、卯月先生を乗せました。その時に卯月先生にお母様に電話して頂いて、今から帰りますとお伝えしたんです」
やっぱり速水さんがタクシーに乗せてくれたんだ。しかもお母さんに電話連絡までしてくれて。沢山、迷惑をかけてしまった。
「すみません! いろいろとご迷惑をおかけしました。本当にすみませんでした。あ、私、お金払いました?」
「気にしないで下さい」
「もしかして速水さん、私の分も払ったのでは?」
「ごちそうさまでしたって、酔った卯月先生は嬉しそうに言ってくれましたよ」
うわっ。私、図々しい。
「本当にすみません!」
「いえいえ。お気になさらず。興味深い話も沢山聞けたので」
興味深い話って何?
「私は何を話したんですか?」
「もうすぐつきます」
急に話題を変えるように速水さんが言った。
「お母様から聞いてませんか?」
「何も」
「卯月先生にお母様に電話してもらったんです。その時、替わって頂き、ご挨拶をさせて頂きました」
全く知らなかった。
お母さん、こんな大事な事を私に話していないなんて!
「すみません。私、何も覚えていなくて」
「こちらこそ申し訳なかったです。卯月先生がお酒に弱いとは知らず飲ませてしまって。それに、あの日は僕の都合で早めに切り上げてしまって」
「そうだったんですか?」
「それも覚えてませんか?」
「すみません。かなり酔っていたようで。ワインを飲んでいた所までは覚えているのですが」
「デザートのティラミスを食べたのは覚えていますか?」
ティラミス?
「デザートはティラミスだったんですか?」
「卯月先生、大好物だと言って僕の分も食べていましたよ」
恥ずかしい……。
めっちゃ食いしん坊じゃん。私。
「す、すみません」
「いいんですよ。差し上げたんですから」
「あの、ティラミスの後は?」
「ティラミスを食べている時に僕のスマホに電話がかかって来て用事が出来たんです。それで慌てて卯月先生と店を出て。卯月先生、電車では帰れないと言ったので僕がタクシーを捕まえて、卯月先生を乗せました。その時に卯月先生にお母様に電話して頂いて、今から帰りますとお伝えしたんです」
やっぱり速水さんがタクシーに乗せてくれたんだ。しかもお母さんに電話連絡までしてくれて。沢山、迷惑をかけてしまった。
「すみません! いろいろとご迷惑をおかけしました。本当にすみませんでした。あ、私、お金払いました?」
「気にしないで下さい」
「もしかして速水さん、私の分も払ったのでは?」
「ごちそうさまでしたって、酔った卯月先生は嬉しそうに言ってくれましたよ」
うわっ。私、図々しい。
「本当にすみません!」
「いえいえ。お気になさらず。興味深い話も沢山聞けたので」
興味深い話って何?
「私は何を話したんですか?」
「もうすぐつきます」
急に話題を変えるように速水さんが言った。
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