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2話 速水さんからのオファー
《15》
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集学館から徒歩5分の所にある池のある大きな公園に速水さんは連れて来てくれた。
「仕事で煮詰まった時は時々ここでサボってるんです」
隣を歩く速水さんが言った。
速水さんの言葉にどう返したらいいかわからず「はい」と返事をすると、さらに「いい天気ですね」と、速水さんが話しかけてくれた。
確かにいい天気。気温も25度ぐらいで公園内を歩くのに丁度いい。
でも、今は心地よさを感じる余裕がない。
速水さんに話しかけられて、心拍数が上がり続けている。絶対今、アドレナリンが出まくっている。暑い訳ではないのに足の裏も、脇の下も、手のひらの裏も大量に汗をかいている。
「卯月先生、緊張していますか?」
「はい」
「やっぱり僕が怖い?」
「はい。……いえ、全然!」
顔を上げると、優しく微笑んだ速水さんと目が合った。
心臓がきゅうぅぅんと締め付けられ、思わず両手で胸を抑える。
「どうされました?」
「ちょっと胸が苦しくて」
「もしかして心臓に持病が」
「いえ、持病という程ではなく」
「あそこのベンチに座りましょう」
速水さんに促されて、三人座れそうな広さがある緑色のベンチに腰を下ろした。
「どうぞ」
近くの自販機から速水さんがペットボトル入りの麦茶を買って来てくれた。
「あ、すみません。えーと、お金」
鞄の中をゴソゴソし始めると「いりませんよ」と速水さんに言われた。
「でも、そういう訳には」
「集学館まで来て頂いたんですから、お茶ぐらい奢らせて下さい。ね」
『ね』って言った時の柔らかな表情と、普段のトーンより優しい声が胸に突き刺さる。
うわー! 速水さん! 可愛すぎる!!!!
カッコイイだけじゃなく、可愛い一面もあったなんて知らなかった。
心拍数がますます上がり、心臓が暴れる。
ヤバい。興奮し過ぎて本当に心臓が止まりそう。
落ち着け、私。
ゴクッと速水さんに買って頂いた麦茶を飲む。
はあー。美味しい。
普段からよく飲んでいる麦茶なのに特別な物に感じる。
「卯月先生」
一息つくと、速水さんに話しかけられた。
速水さんは右隣に座っていた。私との間には一人分のスペースがある。
「仕事で煮詰まった時は時々ここでサボってるんです」
隣を歩く速水さんが言った。
速水さんの言葉にどう返したらいいかわからず「はい」と返事をすると、さらに「いい天気ですね」と、速水さんが話しかけてくれた。
確かにいい天気。気温も25度ぐらいで公園内を歩くのに丁度いい。
でも、今は心地よさを感じる余裕がない。
速水さんに話しかけられて、心拍数が上がり続けている。絶対今、アドレナリンが出まくっている。暑い訳ではないのに足の裏も、脇の下も、手のひらの裏も大量に汗をかいている。
「卯月先生、緊張していますか?」
「はい」
「やっぱり僕が怖い?」
「はい。……いえ、全然!」
顔を上げると、優しく微笑んだ速水さんと目が合った。
心臓がきゅうぅぅんと締め付けられ、思わず両手で胸を抑える。
「どうされました?」
「ちょっと胸が苦しくて」
「もしかして心臓に持病が」
「いえ、持病という程ではなく」
「あそこのベンチに座りましょう」
速水さんに促されて、三人座れそうな広さがある緑色のベンチに腰を下ろした。
「どうぞ」
近くの自販機から速水さんがペットボトル入りの麦茶を買って来てくれた。
「あ、すみません。えーと、お金」
鞄の中をゴソゴソし始めると「いりませんよ」と速水さんに言われた。
「でも、そういう訳には」
「集学館まで来て頂いたんですから、お茶ぐらい奢らせて下さい。ね」
『ね』って言った時の柔らかな表情と、普段のトーンより優しい声が胸に突き刺さる。
うわー! 速水さん! 可愛すぎる!!!!
カッコイイだけじゃなく、可愛い一面もあったなんて知らなかった。
心拍数がますます上がり、心臓が暴れる。
ヤバい。興奮し過ぎて本当に心臓が止まりそう。
落ち着け、私。
ゴクッと速水さんに買って頂いた麦茶を飲む。
はあー。美味しい。
普段からよく飲んでいる麦茶なのに特別な物に感じる。
「卯月先生」
一息つくと、速水さんに話しかけられた。
速水さんは右隣に座っていた。私との間には一人分のスペースがある。
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