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2話 速水さんからのオファー
《10》
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TL小説の書き下ろしをお願いされた事を話すと、いくちゃんの両眉がこれ以上ない程上がる。
「TLって、エッチなやつでしょ!」
「うん」
「美樹の小説って軽いキスシーンがあるぐらいで、エッチな所は全く出て来ないよね? 書けるの?」
「……書くって言っちゃった」
いくちゃんがため息をつく。
「男性経験が全くない美樹がTLを書くなんて悪い冗談だよ。断った方がいいよ」
「私もそう思う。でも、書くって言っちゃったんだよ。一度引き受けた事を撤回するのは出来ないよ。速水さんに迷惑かかるし」
「書けなかった方が迷惑なんじゃないの?」
「だから、迷惑にならないように頑張って書くよ」
「書けるの?」
いくちゃんの言葉に心が揺れる。
男性経験のない私が書けるんだろうか。
今までは図書館で見かけた速水さんを元に妄想して恋愛小説を書いていたけど、TLとなると、速水さんを全裸にしなければならない。
尊い存在の速水さんを全裸にするなんて、畏れ多くて出来ない。
あー無理だ。
頭を抱えていると、いくちゃんが「やっぱり断れば」と言った。
次の日、追い打ちをかけるように速水さんからメールが届いた。
出来れば第一稿を来月末までには欲しいとの事だった。
新しく立ち上げるレーベルの発売日はもう決まっていて、原稿を急いでいるよう。
書く時間が一ヶ月しかないなんて、厳し過ぎる。
まだキャラだって、考えていないのに無理だ。
やっぱりお断りしようか。
――原稿お待ちしております
速水さんの言葉が耳の中で再生される。
速水さんは大手出版社に勤めているのに、全然、偉そうじゃなくて、年下の素人作家の私に丁寧なお辞儀をしくれた。倒れた時だって医務室まで運んでくれて、気がつくまで付き添ってくれた。
できれば速水さんの期待に応えたい。
でも書ける自信がない……。
だけど……。
また悶々と悩んでしまう。
はあ。どうしよう……。
「TLって、エッチなやつでしょ!」
「うん」
「美樹の小説って軽いキスシーンがあるぐらいで、エッチな所は全く出て来ないよね? 書けるの?」
「……書くって言っちゃった」
いくちゃんがため息をつく。
「男性経験が全くない美樹がTLを書くなんて悪い冗談だよ。断った方がいいよ」
「私もそう思う。でも、書くって言っちゃったんだよ。一度引き受けた事を撤回するのは出来ないよ。速水さんに迷惑かかるし」
「書けなかった方が迷惑なんじゃないの?」
「だから、迷惑にならないように頑張って書くよ」
「書けるの?」
いくちゃんの言葉に心が揺れる。
男性経験のない私が書けるんだろうか。
今までは図書館で見かけた速水さんを元に妄想して恋愛小説を書いていたけど、TLとなると、速水さんを全裸にしなければならない。
尊い存在の速水さんを全裸にするなんて、畏れ多くて出来ない。
あー無理だ。
頭を抱えていると、いくちゃんが「やっぱり断れば」と言った。
次の日、追い打ちをかけるように速水さんからメールが届いた。
出来れば第一稿を来月末までには欲しいとの事だった。
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書く時間が一ヶ月しかないなんて、厳し過ぎる。
まだキャラだって、考えていないのに無理だ。
やっぱりお断りしようか。
――原稿お待ちしております
速水さんの言葉が耳の中で再生される。
速水さんは大手出版社に勤めているのに、全然、偉そうじゃなくて、年下の素人作家の私に丁寧なお辞儀をしくれた。倒れた時だって医務室まで運んでくれて、気がつくまで付き添ってくれた。
できれば速水さんの期待に応えたい。
でも書ける自信がない……。
だけど……。
また悶々と悩んでしまう。
はあ。どうしよう……。
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