推しの速水さん

コハラ

文字の大きさ
上 下
17 / 150
2話 速水さんからのオファー

《1》

しおりを挟む
集学館のロビーで速水さんと対面した私は5階の編集部に連れて来られた。心臓はバクバクで全然、速水さんの顔を見られない。

「こちらにどうぞ」

通されたのはオフィスの隅にあるパーティションで区切られた場所。ソファとテーブルがあった。勧められるまま奥のグレーのソファに腰掛ける。

速水さんは白いテーブルを挟んだ向かい側に座った。

今日はネイビーのスーツ。ワイシャツは水色、ネクタイは青。青系でまとめた組み合わせが爽やかで、よく似合っている。

速水さんの顔を見たいけど、ネクタイの結び目から上が見られない。

膝の上で組んだ汗ばんだ手が震えそう。

書店で私を助けてくれたハヤミさんと集学館の速水さんが同一人物だなんて、神様はとんでもない悪戯をするものだ。

週一で遠くから見ているだけの人と今、向かい合っているのが夢のよう。

出してもらったコーヒーが緊張し過ぎて全く飲めない。

「今日はお忙しい所、お越し頂きありがとうございます」

低くめのいい声が響いた。

速水さん、声もイケボだ。

この声で毎朝、起こされたい。『朝だよ。美樹』ってスマホに吹き込んでもらおうか。

「という訳で、新しく出来る女性向けのレーベルで卯月先生の作品を出したいと思っております。つきましては新作の書き下ろしをお願いできないでしょうか?」

うん? 新作の書き下ろし?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

処理中です...