あなたと私のウソ

コハラ

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《2》

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慌てて離れようとしたら、秋川に強い力で引き寄せられた。

うそ。キスされるの?

そう思った時、秋川が可笑しそうに笑う。

秋川にからかわれた。やっぱり腹が立つ。もうって怒って寝転がったままの秋川の胸を叩いてやった。

波の音が聞こえなくなる程、私の中でうるさく心臓が鳴っている。どうしてこんなに秋川に動揺しているんだろう。秋川に会う度に心が揺さぶられて、楽しくて、胸がドキドキする。

「そろそろ帰ろう」

起き上がった秋川の言葉にデートの終わりを感じて、まだ帰りたくないって思う。夜も一緒にいたい。だけど、秋川はどんなに遅くても午後6時には私が家に帰れるように送る。受験生だから仕方ないって思うけどさ。でも、一緒にいたい。

別れ際、ぶすっとしていると、「勉強しろよ」と秋川に言われる。そういう時の秋川は彼氏から先生に戻ったみたいで寂しい。でも、甘えるとギュッとハグしてくれる。単純な私はそれで満足する。

成績が落ちたらデートはなし。そう秋川に言われて、机に向かう時間が増えた。嫌いな勉強が少し好きになった。

予備校ではみんながいない所で秋川は手を握ってくれたり、頭を撫でてくれたりして、可愛がってくれるようになった。秋川はちゃんと彼氏をしてくれている。余命半年の私が人生最期の恋を楽しめるように。

秋川が優しいのは決して私を好きだからじゃない。可哀そうな私につき合ってくれているだけ。

わかっているけど、忘れそうになる。

本当の事を言って、この関係を終わりしなきゃいけないと思うけど、秋川の顔を見ると、いつも言えない。

もうすっかり好きだから。
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