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ウソのはじまり
《3》
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「あれって、秋川と夏美?」
由美ちゃんと宿題を始めて一時間経った頃、ファミレスにスーツ姿の秋川と高校の制服姿の鈴木夏美が入って来た。
夏美とは時々、電車が同じになって軽く雑談を交わすぐらいで、由美ちゃんほど親しくはない。
なんと二人は私たちの後ろの席に座った。
当然、二人の会話は丸聞こえ。
由美ちゃんと聞き耳を立てていると、夏美の声がした。
「秋川先生、わざわざすみません。予備校では話せなくて」
「鈴木、相談って何だ?」
「あの、先生。好きです。受験が終わったら彼女にして下さい」
なんとも、ストレートな告白。
由美ちゃんと目を合わせて笑いそうになる。
夏美は秋川にいつもべったりだけあって、現代文の成績は一番。気があるのは見ていれば何となくわかってしまう。
面白い現場に遭遇した。
余命半年の秋川は何て答えるんだろう?
いつもムッツリの秋川もさすがに女子高生に告白されればにやけたりするんだろうか。
「鈴木……」
「先生、今すぐつき合ってって訳じゃないの。だから断らないで。受験が終わるまであと、五カ月あるし」
うわっ、夏美必死だ。
「しかしな、鈴木」
「お願い先生、答えは受験が終わってからで」
このまま夏美が押し切るのかと思ったけど、秋川はハッキリと「ごめん」と言った。
由美ちゃんと宿題を始めて一時間経った頃、ファミレスにスーツ姿の秋川と高校の制服姿の鈴木夏美が入って来た。
夏美とは時々、電車が同じになって軽く雑談を交わすぐらいで、由美ちゃんほど親しくはない。
なんと二人は私たちの後ろの席に座った。
当然、二人の会話は丸聞こえ。
由美ちゃんと聞き耳を立てていると、夏美の声がした。
「秋川先生、わざわざすみません。予備校では話せなくて」
「鈴木、相談って何だ?」
「あの、先生。好きです。受験が終わったら彼女にして下さい」
なんとも、ストレートな告白。
由美ちゃんと目を合わせて笑いそうになる。
夏美は秋川にいつもべったりだけあって、現代文の成績は一番。気があるのは見ていれば何となくわかってしまう。
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余命半年の秋川は何て答えるんだろう?
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「鈴木……」
「先生、今すぐつき合ってって訳じゃないの。だから断らないで。受験が終わるまであと、五カ月あるし」
うわっ、夏美必死だ。
「しかしな、鈴木」
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このまま夏美が押し切るのかと思ったけど、秋川はハッキリと「ごめん」と言った。
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