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抱きしめたかったのは
しおりを挟む「はいこれ、いつもの痛み止めね」
町はずれにある小さな住宅の一階を半年かけて店舗に改装し開店した薬屋は、その効能が優れているとすぐに評判が広がり固定客や卸問屋も付くようになった。
実家に戻ることも考えたけれど、弟の結婚が決まりお嫁さんが来るのに、姉の私が家にいるわけにもいかない。どうせ結婚の予定もないのだから、と以前から計画していた薬屋を思い切って開いたのだった。
「クロエさん、町にはいかないのかい?」
「今日は行かないわ、まだやることがあるし」
「せっかくのお祭りなのに」
「時間が出来たら行くわ。お祭りだからって飲みすぎちゃだめよ!」
店先でお客さんを見送って、まだ青い空を見上げる。白い雲がポコポコと空に浮かびのんびりと流れている、少しひんやりした風が気持ちいい。
今日はもう誰も来ないだろうと、店の看板を片づけることにした。遠く離れた王都の祭りに乗じて、ここでもお祭りがあるのだ。
――新国王の誕生。
ひと月後、新たな国王としてライナルトの即位式が行われる。
あれから、二年。
私はライナルトから離れ、故郷へ戻った。神殿には故郷へ戻ることを伝え、ルシル様にも会いに行ったがすれ違い会うことが叶わず、手紙を置いてきた。落ち着いてから改めて手紙を出すと、すぐに恨み言のような呪詛のような言葉が書かれた返信が来た。最後には、私の新しい門出を祝う言葉が書かれていたけれど。
マリエルの家は王族の謀殺罪で刑に処された。首謀者となったマリエルの父、そして王太子反勢力の貴族が次々と捕らえられ暫くは新聞を賑わせていた。マリエルの家は爵位を失い、マリエル自身は行き場をなくしたけれど、そのまま神殿に残っているらしい。ルシル様のもとで修業し、今では立派に聖女として務めを果たしているのだとか。
そしてケイトは、マリエルの父に脅されていたとはいえ毒を混入した罪を問われ、東の果ての修道院へ送られた。まだ未成年ということもあり温情がかけられたのだろう。いずれは出てくることが出来るかもしれない。
医師となったヨハンは故郷で子供たちの健康のために毎日奔走し、ベノはルシル様のお気に入りの木を燃やした罪で神殿で庭木の剪定や護衛など雑務をやらされているらしい。本人は随分楽しそうだと、ルシル様からの手紙には書かれていた。
そして、ライナルトは。
あの日以降、ライナルトとは会っていない。
私が姿を消したことで、私の意思を理解したのだと思う。どんなに言葉を尽くしても、態度で示しても、私の気持ちが変わらないことを理解したのだろう。そして、王太子である彼が簡単に王族としての義務を捨てることなど出来ないと、彼が一番理解していたのだ。だからこそ。
ライナルトは、私を追ってくることはなかった。
*
「ねえクロエさん知ってる? 乙女の祈りの巡礼が行われているんだって」
自分でブレンドしたお茶を、店に来てくれたお客さんへ出していると評判となった。リラックスできるのだと言う。自分では、自分の淹れたものがどういった効能があるのかよく分からないので、お客からの評判は大事だ。お茶を気に入ってくれた女性は、カウンターで肘をつきながらお茶を飲み、ふうっと息を吐きだした。世間話の好きな彼女は、私にいつも色々な情報を教えてくれる。
「巡礼? この時期に?」
神殿も即位式の準備で忙しいはず。手分けして回っているのだろうか。
「即位式にあやかってね、地方の神殿を聖女様が回って祈りを捧げてるんだって。地方なんて聖女様のいない神殿も多いから有難いよねぇ」
「じゃあここにも誰か来るのかもしれないのね」
「来てくれるらしいよ。神官様が忙しそうにしてたもの。身体の弱い子供や年寄りなんかはすごく喜んでさ。もうそれだけで元気になったんじゃないかな」
「ふふ、確かに」
「クロエさん、神殿にいたことがあるんでしょ? 誰か知り合いが来るといいわねえ」
「そうね。来たら挨拶に行ってみようかしら」
「そんなのは待っていられない!」
突然大きな音を立てて開け放たれた扉から、懐かしくも騒がしい声が降って来た。驚いて視線を向けると、腰に手をやりこちらを睨む様に見る強い眼差しの女性。
「ルシル様⁉」
「クロエ! やっと会えた!」
ルシル様はそう言うと、カウンターを飛び越え私に抱き着いてきた。
盛大に、カウンターの上のお茶やポットをなぎ倒して。
*
「驚きました……」
店内でギャーギャーと騒ぐルシル様をなんとか落ち着かせ、来ていたお客さんにはお詫びに多めにお茶を手渡して店を閉めた。
何とか応接室に連れて来て作り置いていたクッキーを差し出すと、満足したのかやっと落ち着いた。まだ何かないのかと強請られ、仕方なく用意できるものは全て出した。なんて言うか、久しぶりに会うけれど全然お変わりないご様子で少し残念。
「黙って出ていくクロエが悪い」
「会えなかっただけです。ちゃんとお手紙を置いてきたじゃないですか」
「別れの言葉は直接言うものだ! 少しも待たずに出ていく薄情なクロエが悪い!」
「急いでいたんです」
「なんで⁉」
「なんでって……」
はあ、とため息をつき護衛としてついてきた聖騎士に視線を向けると、疲れているのか俯いてじっと立ったままだ。ここまで来るのに苦労したのだろう、聖騎士の重い甲冑もマントも土で汚れている。彼らは座ることなど決してないので、そっと近くにあるテーブルを聖騎士の傍に寄せ、お茶とタオルを置いた。聖騎士はすっと頭を下げ応えた。
「まさかルシル様まで巡礼されているとは思いませんでした」
「こっちにはクロエがいることが分かっていたからね、どうしてもわたしが来たかったんだよ。だってクロエは王都に戻ってくるつもりはないだろう?」
「……まあ、用があれば……」
「そんなもの、いつになるか分からないだろ」
もぐもぐとサンドイッチを頬張りお茶で流し込む、久しぶりに見る食べっぷりに何一つ衰えていないのだと改めて感心する。
「ここでの生活はどう?」
ルシル様は改めて背筋を伸ばすと、まっすぐに私を見つめた。その瞳は私に、言い訳や言い逃れなど通用しないのだと雄弁に語っている。
「楽しいですよ。したかったことも上手く進んでいるし、薬もお茶も評判がよくて自分ひとりなら問題なく暮らせています」
「これがクロエのしたかったこと?」
ルシル様はカップを持ち、すうっと香りを吸い込んだ。
「そうですね。いいところなんですよ、ここ。のんびり暮らしてます」
「でもこのために逃げ出したんじゃないだろう?」
その言葉に思わずグッと喉を詰まらせる。
「逃げ出したわけじゃありません」
「逃げただろう、殿下から。何飲ませたのさ」
「……カナのお茶、を」
そう言うとルシル様はゲラゲラと声を上げて笑った。
「ひどいなクロエ! 容赦ないな! あれは一度飲むと中々目を覚まさないからな!」
「……自分には効かないので、よく分からないんです」
「眠れない?」
おなかを抱え笑っていたルシル様が、口元にほんの少し笑みを残したまま私を見た。その言葉に視線を逸らすと、ルシル様はまた笑いながらお茶を飲んだ。
「殿下の決意は固かった。何としてもクロエと一緒になると決めていたのに、逃げ出したのはクロエだよ。今更罪悪感に襲われてたとか言うんじゃないだろうね」
「違います。……そんなんじゃ」
「後悔してるんだろう? その顔」
「……してません。そうじゃないんです、ただ……」
後悔とは違う。今でもこの選択は間違っていなかったと思っている。ただ時々、あの湖のような瞳を思い出すのだ。私を見つめる、強く熱い瞳。
「耐えられなかっただけです」
「王太子妃と言う圧に?」
「いいえ。そんなこと……それは、ライナルト様と一緒なら大した問題ではないわ」
「ふうん。そこまで言えるのに、何がクロエをそんなに頑なにさせるのかな」
ルシル様のまっすぐな瞳が私を射抜くように向けられる。その瞳に、全て曝け出して泣きだしたい気持ちが沸き上がる。
「……ご存知のとおり、私は子供が産めません。授かったとしても……お腹で育てられない。ライナルト様と結婚して王太子妃になって、そんな事が許されると思いますか? 子の産めない王太子妃など、役に立たないわ」
「殿下はそれでもよかったと思うよ」
「そんなの! そんな事、許されるはずありません。前国王陛下もご側室が大勢いらっしゃったわ。後継者となるべき子がいて初めて民は未来を夢見るのに、側室を取らないなんて許されるはずありません。宰相や側近、貴族は必ず側室を迎え入れるよう進言するでしょう。私は……それを傍で見ているなんて出来ない……と、思うし……」
最後は声が小さくなったと思う。けれどルシル様はその声をきちんと拾って、お腹を抱えて盛大に笑った。ソファの上に突っ伏しゲラゲラと笑っている。
「どうして笑うんですか!」
「いやだって、なんだ、クロエってば……! あはは、やだもう、恋してるんじゃないか、ちゃんと!」
「ち、ちゃんとって……!」
「もうさ……はあ、おかしい……、どんなきれい事言うのかと思ったら……、好きな人に女を宛がわれるのを見たくないってことでしょ」
「言い方!」
「そういうことだよ。……はあ、なんだよもっと素直になればいいのに」
「そうじゃなくて! 必要な事なら……私だって受け入れます。それが務めだというなら尚更! でも、でもどうしても……耐えられないんです。きっと耐えられない」
ぽたぽたといつの間にか涙が溢れ、スカートを濡らした。丸く色が濃くなっていく薄水色のスカートをぎゅっと握りしめ、はあっと息を吐きだす。
「……側室との間に子供が出来たら……? その赤ちゃんを抱いて、ライナルト様はきっと幸せになれる。彼はきっと子供を大切にします。私は……、私が、そうしてあげたかった。私の、お腹の子を抱かせてあげたかった。……っ、きっとあの子もそうして欲しかったはずです。でも、でも私は」
気が付かなかった。気を付けられなかった。
「私の元に来てくれたあの子を、名前もなく抱くことも出来ないまま、骨も残らず消えてしまったあの子を、私は、私は愛してあげたかった! ライナルトに会わせたかった……!」
ガタン! と大きな音を立て、入口に立っていた聖騎士がテーブルを倒した。お茶の入ったカップが床に落ち、ラグを濡らす。驚いて顔を上げると、目の前に聖騎士の甲冑が飛び込み、ぎゅうっときつく抱き締められた。背中に回された腕に、後頭部を支える大きな掌に感じる、懐かしいこの香り。
「……クロエ」
震える身体が私をきつく抱き締める。その掠れた声は、ずっと聴きたかった私を呼ぶ声。
「らい……?」
視界の隅で、ルシル様が静かに立ち上がり退室するのが見えた。
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