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特別で素晴らしく、幸せなこと3

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「ん、……れお」
「すまない。……これでも結構頑張ったんだ」

 ふっとレオニダスが笑い声を漏らす。吐息が唇に触れて、閉じていた目を開けると柔らかく細められた瞳が私を覗き込んでいた。
 ――頑張った?

「こんな姿で浴室から出て来たカレンに飛びかからないように気を付けた」
「ぜ、全然気が付かなかった!」
「ははっ」

 触れる唇にレオニダスの優しい吐息がかかる。

「じっくり見たかったんでな。カレンはきっと、恥ずかしがってすぐに逃げてしまうだろうと思ったから」

 そのとおりですね!

「……こ、ういうの着けるって、知らなかった」
「そうか。アンナに聞いた?」
「うん……、んっ」

 レオニダスの掌が上着の中に入り込み、腰をするすると撫でる。腰のくぼみを指でなぞり、あの短いレースを止めているリボンをついっとなぞった。ちゅ、ちゅっとキスはずっと止まらない。

「着てみてどう思った? やっぱり恥ずかしいか」
「それは、そうなんだけど……」
「うん?」

 レオニダスの熱い唇が頬に、顎に、そして首筋に移動する。分厚い舌がぬらりと首を舐め、その気持ちよさに天井を仰ぎ、はあっと息を吐きだした。

「レオニダスが、どう思ってくれるかなって、そればっかり……」

 喜んでくれるかな、可愛いって、似合うって言ってくれるかな。……私に、興奮してくれるかな。
 そんなことばかり思って、自分にちゃんと似合っているか鏡で何度も確認した。
 サイズは? デザインは? やっぱりレオニダスの色を入れた方がいい?

「そうか。……それは嬉しいな」

 レオニダスは表情を緩めると、大きな掌で髪を梳き、そのまま指先で私の伸びた髪先を唇に寄せてキスをした。黄金色の瞳は私を捕えて離さない。

「じゃあ、デザインはどうするか決めた?」
「ん、んむ……っ」

 言いながらレオニダスは大きく口を開けて呑み込むように私にキスをする。前後に身体が揺れるほど、互いの唇を食みながら舌を擦り合わせ絡め取り、交じり合った唾液が口端から流れる。
 苦しくなった頃にぷっと唇が離れて大きく息を吸い込む。その間にもレオニダスは私の額に頬に、忙しなくキスを降らせる。
 
「つ、着けるものが、多いの」
「これとか?」

 レオニダスの指が、短いレースのスカートを留めるリボンをなぞった。そのままするりと前に回り込み、結び目を解いてシュルッと抜き取った。背後でパサリと床に落ちる音がする。

「これは?」

 ストッキングを留めていた腰のガーターベルトを撫で、するすると指でなぞりながら脚に降りてくるレオニダスの長い指が、器用に紐を解き取り去る。
 ストッキングの隙間から指を差し入れて脱がせてくれるのを手伝うように、レオニダスの膝の上で腰を浮かせると、レオニダスは器用にストッキングをつま先から抜き取った。
 二の腕に嵌めていたシュシュも取り、首に結んでいた細いリボンはレオニダスがキスをしながら唇で器用に解いて、するりと肌を滑り床に落ちた。

「む、胸がちょっと……きつくて」
「少し食い込んでいるな。苦しいか?」

 レオニダスはブラを縁取るリボンを指でなぞる。その手つきにびくびくと身体が震えるのを我慢できない。

「ん……っ、く、苦しくはないけど……」
 
 レオニダスの指がそのままブラの上からフニフニと胸を揉み、頂をすっと掠める。
 待ち望んでいた感覚に、身体が震えた。その先を知っている私の身体は期待に満ち、中心が熱を帯び始める。恥ずかしい、恥ずかしいけど嬉しい。身体中全部、愛おしさでいっぱいになる。

「凄いな、こんなに立ち上がって押し上げてる。ホラ」

 レオニダスはそう囁くと、頂をカリカリと指先で引っ掻いた。口から甘い声が漏れて思わず手で口を塞ぐと、すぐにその手を取られる。

「カレン、声は我慢しなくていいと言ってるだろ」
「だ、だってまだ、早い時間だし……」
「大丈夫だ。二人で過ごす時は人払いするようにしている」

 レオニダスはそう言うと、またブラの上から胸を引っ掻き摘まんだ。

「あっ! んんっ」
「だから、声を聞かせてくれ」

 耳元で低くそう囁かれて、それだけで声が漏れる。ぞくぞくと背中を快感が這い、レオニダスの首にしがみ付いた。
 両方の頂を摘まみ捻りながら、レオニダスの唇が首から鎖骨、そして胸へと降りていく。時折じゅうっと音を立て強く吸われながら、私はぎゅうっとレオニダスの頭を抱え込んだ。
 レオニダスの唇がブラの上から頂を捉え口に含む。唇で挟まれ扱かれて、布越しのもどかしい感覚に身体が震える。

「あ、あっ、れ、れお……っ!」

 ぐっしょりと濡れたブラをぐいっと上に押し上げられ、濡れた肌がひんやりと空気に触れた。レオニダスの熱い唇が直接触れてくるその感覚に、首を仰け反らせ声を上げる。
 熱い舌で弾かれ、扱かれてびくびくと身体が跳ねた。つい声が出るのを我慢してしまう私は、ぎゅうっとレオニダスにしがみ付き唇を噛んだ。見えていない筈なのに、まるでそれを咎めるようにきゅっときつく頂に歯を立てられて、あっと大きく声が出た。

「カレン」

 レオニダスの手が太ももを撫で、往復する。羽で擽るように肌を滑り脚の付け根をなぞる。長くごつごつとした指が付け根を辿り内側へ滑り込み、柔らかなそこにゆっくりと沈めるように指を這わせ、レオニダスは、はあっと熱い息を吐いた。

「凄い、もうこんなに濡れてる」
「んっ、だ、だって……」

 気持ちいいから。
 レオニダスに触れられて愛されるのは、とてもとても、気持ちがいい。嬉しくて、幸せで、恥ずかしいけれど幸福に包まれる。だから私は、レオニダスとこうやって愛し合うのがとても好き。

「レオも……」
「うん?」
 
 私を下から覗き込む様にレオニダスが顔を上げる。
 レオニダスも、そう思ってくれているのかな。
 私と触れあって、気持ちよくて、幸せになってくれてるのかな。

「レオも、きもちいい……?」
「……ああ、気持ちいいよ」
「しあわせ?」
「ああ。凄く幸せだ」
 
 その言葉にふふっと笑うと、レオニダスの黄金色の瞳がとろりと溶けた。

「愛してる、カレン」

 その表情、その言葉、私に触れる優しい掌。それら全てに私は、レオニダスに愛されていると心から信じられる。
 恥ずかしいことも恥ずかしい姿も、見せることが出来るのはレオニダスだけ。
 私もレオニダスの頬を両手で包み、その瞳を覗き込む。

「私も、愛してるよ、レオニダス」

 私はまだ囁くようにしか伝えられないけれど。
 いつまでもずっと貴方と共にありたいと願いを込めて、私はレオニダスに柔らかくキスを贈った。
 レオニダスは私からの突然のキスに慣れていない。
 そんなに珍しいことではないと思うんだけれど。……珍しいかも、しれないけれど。

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