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自分の仕事⑤

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 ドラゴンが目撃された東の森。その最も近い村、ヒズ村に到達したのは夕方だ。
 もともとバリケードがあるが、とてもじゃないドラゴンなんて防げない。
 武装した村人達に挺身で迎えてくれた。
 前回は気にもしなかったが、家からこちらを覗く村人達の目には、不安が浮かんでいた。中には、ちょろり、と出てきて、母親に抱かれて家に入れられたのは、エミリアよりずっと幼い子供だ。その母親の腹がかなり膨れていた。前回は本当に何も感じなかったが、気が引き締まる思いだ。
 村長が飛んできた。

「来ていただきありがとうございますっ」

 かなり高齢者に見えたが、父と大して変わらないそうだ。ずいぶん老けているのか、父が若作りなのか。

「村長、すまんが、騎士団のテントを張りたい。それから」

 ガッズが副騎士団長が村長と話をしている。
 騎士団の動きも早く、あっという間にテントが張られる。
 ファランを労るように首筋を撫でてやる。

「フォン辺境伯爵様」

 ガッズに呼ばれる。

「ヒズ村の代表者、マイス殿です」

 深く頭を下げる村長、マイス。

「マイス殿、不安に思うだろうが、我々が来た以上、ヒズ村に被害は出ない。約束しよう」

「ありがとうございますっ」

「ドラゴンの解体に、村人の力を借りるやも知れんが、その采配を任せる。難しいようならこちらのモーリスに聞くように」

「はいっ」

「では、ドラゴンを目撃した村人を呼べ」

「はいっ」

 自分はモーリスと共に張られたテントに向かう。すぐにドラゴンを目撃した狩人が、村長と共に来た。中年の男性だ。息子と野鳥を狙って来たが、出会ったのは眠りこけたドラゴンだ。息子の口を塞ぎ、風下を選んで撤退して、報せを走らせた。
 おそらくベテラン狩人なのだろう。

 恐縮した様子の狩人から、話を聞く。ドラゴンの居た場所と、地形の確認。うん、前回と同じだ。いや、油断大敵だ。

「フォン辺境伯爵様、周囲はかなりの岩場のようですが」

「構わん、ファランなら問題ない」

 すう、と息を吸う。

「明日には確実に仕留める。ファランの手入れを。マイス殿心配無用だが、村人には明日、安全が確認されるまで外出禁止だ、徹底させよ」

「はっ」

「は、はいっ」

 モーリスが指示を出しに走り、緊張したマイスが頷く。

「あの、辺境伯様、わたくしめがっ、ドラゴンまでご案内をっ」

 狩人が名乗り出るが、

「いらん、足手まといだ」

 ばっさりしてしまった。
 だが、本当に足手まといだ。
 村長と狩人が帰り、専用のテントに行くと、戻って来たモーリスが、身の回りの世話をしてくれる。
 明日は加護の力を使う。鎧神アーマーヘッドの加護は常に起動しているが、自分の意志で更に強化したい時に、反動が激しい。強烈な空腹に襲われて、餓死寸前までになる事もある。

「さ、お召し上がりください」

 簡易テーブルに広げられたのは、フォン辺境伯のシェフが作った豪華弁当だ。
 てきぱきと温かいお茶まで出すモーリス。本当に、手放せない人員だ。
 明日のために、豪華弁当を残らず食べた。
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