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会議と味方①

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 両親が待つ部屋にマギーを伴い向かう。
 すでに両親が待っていた。

「座りなさい」

「はい、父上」

 促されて着席。
 メイド長マギーと執事長セバスをお茶の準備を始める。

「バルドよ」

「はい」

「昨日、一体どんな茸を食べたんだ? 必要なら栽培を試みないといかん。もしかしたら、ヒ素茸よりも猛毒の可能性がある。駆除せねばならん」

「ですから、茸は食べていません」

「なら、その心境の変化はなんだ? お前異常だぞ」

 実の父から、異常と言われてしまうのは、いままでがそうだった。寄ってくる女は辺境伯の妻の立場が欲しいか、親の言う事に抵抗できない気の毒な娘。中には、渡したジュースに媚薬を入れられたが、猛毒のヒ素茸が効かないのだ、媚薬程度でどうにかなるわけない。
 分かった上でジュースを飲んで、はっきり断った。回りくどいのは嫌だったし。だけど、決死の覚悟の令嬢にしたら、絶望したろう。媚薬盛っても靡かない女だと、烙印を押されたのだから。我ながら失礼だよな、ジュースを飲まずに断った法が、まだ相手を配慮できたかも。

「事情がありますが、今は、エミリアを大切にしたいと思っていることに偽りはありません」

 さて、どうするか? 今、この場にいるのは、両親、セバス、マギー、ワゴンを押して入ってきたメイドが二名。ワゴンにはおそらく両親の朝食がならぶ。
 父も大食漢だが、自分はその上を行く。実はエミリアが自分の皿に盛られた料理の量にびっくりしていた。あんまり盛ると溢れんばかりの山盛りになるため、いつも二回に分けていたのだが、今日はエミリアのペースに合わせたので、腹が半分だ。しかし、本当にエミリアはあの量で足りたのか? 小鳥の餌じゃないか。
 分かっていたのか、自分の前にもサンドイッチの皿が。

「その事情を知りたいのよ。あなた、今までの他人には無関心だったじゃない。釣書だって、適当に引き抜いて。エミリア嬢に決まって、いいのか? と、聞いても、『別にいいです』だったじゃない」

 母が優雅な動作で紅茶を傾ける。
 確かに、そうだった。
 前回は何をやっても、聞いても、叱られても、喜ばれても、関心がなかった。心が動かされなかった。しまいには物欲もないし、性欲もない。あるのは食欲だけ。自分でも何故か分からない。なんであんなに無関心だったんだ? 何故、エミリアときちんと家族になりないと思ったのだろう?
 サンドイッチをパクパク。

「えーっとですね」

 なんて、説明しようか?
 実は未来の記憶があります、何て言って信じてくれるか?
 食事を運んだメイド達が下がり、モーリスが散髪道具を持ちやって来た。

「ご主人様っ、さ、エミリア様に愛想着かれないようにかっこよく今風にしましょうっ」

 シャランッ、と何本ものハサミとカミソリ掲げている。

「バルド、一体どんな茸を食べたのです?」

 母が呆れた顔で振り返った。
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