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第13話 謝罪を要求する!
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さすが殿下は大勢の前に立っても気後れすることはないらしい。堂々とした態度で皆の前に立つと、始まりの挨拶を口にする。
「本日は私のために集まってくれてありがとう。ささやかだが、歓談と食事を楽しんでほしい」
ささやかね。
あなたがそう思うならそうなんでしょう。あなたの中ではね。――庶民の暮らしなど知りもしないくせに。
皆はその歓談や食事はそっちのけで、殿下の一挙一動に甲高い声を出して注目しているが、私は早々に座ると食事を始めた。
もしかするとこれが人生最後の贅沢の晩餐、今は昼だけれど、晩餐会になるかもしれないからだ。
ささやかな食事はとても美味しく、また今は誰も私に注目などしていないから、食が進む進む。誰も食べないのなら、私がこのテーブルの物を全て食べ尽くしてしまいますよ。
しかしいつの間にか、周りのご令嬢は一心不乱に食べる私に気づいたようだ。若干引き気味に私を見ている。
構わずに笑みを浮かべた。
「とても美味しいですわよ。召し上がりませんか」
「い、いえ。わたくしどもは、ねえ?」
「え、ええ」
「あら、そうですか。とても美味しいのに」
私はすぐに彼女たちから興味を失って、視線を目の前の食事に戻した。
ここのパンはとても美味しい。うちで再現できないだろうか。この敵地から無事生きて戻れたらだけど。
そんな事を考えながら、もくもく口を動かしていると、突如、すぐ近くで女性の黄色い声が上がった。
勘の良い私には分かる。殿下が近くに来たのだろう。
さすがに胸の辺りがきゅっと引き締まり、手が止まりそうになったけれど、視線を上げずに食事を続けていると。
「おい」
後ろから声をかけられた。
しかし、私は『おい』ではないのだから、振り返らなくても問題ないだろう。大丈夫だ。
「おい! ……ちっ。ヴィヴィアンナ・ローレンス!」
舌打ちされた上、名前まで呼ばれては無視できない。仕方なく手を止めると立ち上がって振り返る。そして初めて気付いたかのように、笑みを浮かべて礼を取った。
「まあ。これはこれはルイス殿下。ごきげんよう。本日はご招待いただきまして至極光栄にございます」
「……挨拶はいいから、ちょっと来い」
「は?」
問い返そうとする前に腕を取られて引っ張られて行った。
人気のない裏庭まで連れて行かれると、ようやく腕を離された。しかし、背を向けたまま一向に話し出さない殿下に、私は痺れを切らして声をかける。
本来なら不敬に当たるのだろうけれど、構うものですか!
「殿下。このような所でのお話とは一体何でしょうか」
「この間のこと」
私に未だ背を向けたまま、殿下は声に出した。
「はい?」
「この間のこと!」
そう叫ぶと殿下はようやくこちらに振り返る。
「膝をついて謝るなら、許してやってもいいぞ!」
許す? 私が許すのではなく、殿下が許す? 許してくれではなく、許してやる? ……一体何様ですか? いえ、王太子殿下サマでしたね!
「そうですか。それはありがたきお言葉です」
殿下の表情がふっと緩んだところで、私はにっこりと笑って続ける。
「ですが、謹んでお断り申し上げます」
「なっ!」
「ああ。逆に殿下が謝罪なさりたいのであれば、わたくしは許すこともやぶさかではございませんよ」
「ぶ、無礼者!」
また無礼者か。もう少し語彙力を増やしてから出直していらっしゃい。
「お話はそれだけでしたら、戻らせていただきます。ではごきげんよう」
「ま、待て!」
礼を取って踵を返そうとしたところ、後ろから腕を取られた。
やれやれとため息をついて、私は振り返る。
「まだ何か?」
殿下は私の腕を離すと、何やら取り出してきてこちらに手を伸ばした。
「受け取れ」
反射的に手で受け取ると、その手の内にあったものは薄っぺらの黒い物体だった。とても磨けば光る宝石の類いには見えない。
私は不審げに顔を上げた。
「何ですか?」
「俺が作ったクッキーだ!」
「は!?」
もう一度、クッキーと呼ばれたソレに目を落とすと、なるほど、確かに形はよく似ているようだ。しかしこれは一体何のつもりだろう。もしやあの時の仕返しだろうか。ならば返す言葉は――。
「毒でも入れてあるのですか」
「――ぐっ」
むっとした様子だけれど、なぜか我慢したようだ。
ただ、ぶすっとした表情を浮かべてみせた。
「先日のお前の言葉を考えてみた。でも考えても考えてもよく分からなかった。だから料理長に習いながら作ってみたんだ。そしたら粉で咳き込むし、力はいるし、時間はかかるし、おまけに火傷した!」
彼は既に手当された手を名誉の負傷のごとく、威張って見せてきた。
「材料がどのようにして王宮にやって来たまでは分からなかった。だけど、作り手の気持ちだけは……少し分かった気がした。だから――失敗したクッキーは自分で全部平らげたぞ!」
なるほど。これはつまり殿下なりのごめんなさいか。
「だ、だから」
私はそれを口に運ぶと――ガリッ!
……うーん。これは。
さっきまでの美味しい食事が帳消しになるような味だったが、私はそれらを全て喉に通した。途中、咳き込みそうになったけれど。
「お、おい。大丈夫か」
「大丈夫? とんでもない。酷い味でしたわ」
「そ、そうだろうけど」
自覚がある分、怒るにも怒れないらしい。
私はくすりと笑った。
「でも、殿下の思いを感じられました」
殿下は戸惑ったようだったけれど、少し照れたように――笑った。
「本日は私のために集まってくれてありがとう。ささやかだが、歓談と食事を楽しんでほしい」
ささやかね。
あなたがそう思うならそうなんでしょう。あなたの中ではね。――庶民の暮らしなど知りもしないくせに。
皆はその歓談や食事はそっちのけで、殿下の一挙一動に甲高い声を出して注目しているが、私は早々に座ると食事を始めた。
もしかするとこれが人生最後の贅沢の晩餐、今は昼だけれど、晩餐会になるかもしれないからだ。
ささやかな食事はとても美味しく、また今は誰も私に注目などしていないから、食が進む進む。誰も食べないのなら、私がこのテーブルの物を全て食べ尽くしてしまいますよ。
しかしいつの間にか、周りのご令嬢は一心不乱に食べる私に気づいたようだ。若干引き気味に私を見ている。
構わずに笑みを浮かべた。
「とても美味しいですわよ。召し上がりませんか」
「い、いえ。わたくしどもは、ねえ?」
「え、ええ」
「あら、そうですか。とても美味しいのに」
私はすぐに彼女たちから興味を失って、視線を目の前の食事に戻した。
ここのパンはとても美味しい。うちで再現できないだろうか。この敵地から無事生きて戻れたらだけど。
そんな事を考えながら、もくもく口を動かしていると、突如、すぐ近くで女性の黄色い声が上がった。
勘の良い私には分かる。殿下が近くに来たのだろう。
さすがに胸の辺りがきゅっと引き締まり、手が止まりそうになったけれど、視線を上げずに食事を続けていると。
「おい」
後ろから声をかけられた。
しかし、私は『おい』ではないのだから、振り返らなくても問題ないだろう。大丈夫だ。
「おい! ……ちっ。ヴィヴィアンナ・ローレンス!」
舌打ちされた上、名前まで呼ばれては無視できない。仕方なく手を止めると立ち上がって振り返る。そして初めて気付いたかのように、笑みを浮かべて礼を取った。
「まあ。これはこれはルイス殿下。ごきげんよう。本日はご招待いただきまして至極光栄にございます」
「……挨拶はいいから、ちょっと来い」
「は?」
問い返そうとする前に腕を取られて引っ張られて行った。
人気のない裏庭まで連れて行かれると、ようやく腕を離された。しかし、背を向けたまま一向に話し出さない殿下に、私は痺れを切らして声をかける。
本来なら不敬に当たるのだろうけれど、構うものですか!
「殿下。このような所でのお話とは一体何でしょうか」
「この間のこと」
私に未だ背を向けたまま、殿下は声に出した。
「はい?」
「この間のこと!」
そう叫ぶと殿下はようやくこちらに振り返る。
「膝をついて謝るなら、許してやってもいいぞ!」
許す? 私が許すのではなく、殿下が許す? 許してくれではなく、許してやる? ……一体何様ですか? いえ、王太子殿下サマでしたね!
「そうですか。それはありがたきお言葉です」
殿下の表情がふっと緩んだところで、私はにっこりと笑って続ける。
「ですが、謹んでお断り申し上げます」
「なっ!」
「ああ。逆に殿下が謝罪なさりたいのであれば、わたくしは許すこともやぶさかではございませんよ」
「ぶ、無礼者!」
また無礼者か。もう少し語彙力を増やしてから出直していらっしゃい。
「お話はそれだけでしたら、戻らせていただきます。ではごきげんよう」
「ま、待て!」
礼を取って踵を返そうとしたところ、後ろから腕を取られた。
やれやれとため息をついて、私は振り返る。
「まだ何か?」
殿下は私の腕を離すと、何やら取り出してきてこちらに手を伸ばした。
「受け取れ」
反射的に手で受け取ると、その手の内にあったものは薄っぺらの黒い物体だった。とても磨けば光る宝石の類いには見えない。
私は不審げに顔を上げた。
「何ですか?」
「俺が作ったクッキーだ!」
「は!?」
もう一度、クッキーと呼ばれたソレに目を落とすと、なるほど、確かに形はよく似ているようだ。しかしこれは一体何のつもりだろう。もしやあの時の仕返しだろうか。ならば返す言葉は――。
「毒でも入れてあるのですか」
「――ぐっ」
むっとした様子だけれど、なぜか我慢したようだ。
ただ、ぶすっとした表情を浮かべてみせた。
「先日のお前の言葉を考えてみた。でも考えても考えてもよく分からなかった。だから料理長に習いながら作ってみたんだ。そしたら粉で咳き込むし、力はいるし、時間はかかるし、おまけに火傷した!」
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「お、おい。大丈夫か」
「大丈夫? とんでもない。酷い味でしたわ」
「そ、そうだろうけど」
自覚がある分、怒るにも怒れないらしい。
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「でも、殿下の思いを感じられました」
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