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おばあちゃんの名前
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タケシくんはおばあちゃんがとても大好きで、いつもおばあちゃんと一緒でした。
ある日タケシくんは庭で自転車に乗る練習をしていました。しかし何度やってもうまく進む事ができません。おばあちゃんはその様子を縁側に座ってただじっと見ていました。
タケシくんは自転車にうまく乗る事ができなくて、とうとうイヤ気がさして練習を止めてしまいました。するとおばあちゃんはタケシくんを呼んで言いました。
「タケちゃん。軒下を見てごらん」
タケシくんの家にはつばめが毎年来ていて今年も家の軒下に巣を作っていました。おばあちゃんはタケシくんに言うのでした。
つばめは春になると遠い遠い南の島から飛んで来て疲れたとも言わずに赤ちゃんのためにエサを運んでくるのです。
「つばめさんは偉いねえ。タケちゃんもつばめさんに負けないように頑張ってくれるとおばあちゃん嬉しいな」
タケシくんはそれを聞いてもう一度自転車に乗る練習を始めました。その日は自転車に乗れなかったのですが、つばめが飛んでいるのを見て毎日練習し、やがて自転車に乗れるようになったのです。
ある日タケシくんはお母さんとおばあちゃんと三人でデパートに買い物に行きました。
お母さんが買い物をしている間、タケシくんとおばあちゃんは屋上で遊んで待っている事になりました。そして数時間後お母さんが二人を迎えにきました。
「タケシ。おばあちゃんと一緒にいい子にしてた?」
お母さんはタケシくんがいい子にしていたので絵本を買ってくれると言いました。三人は帰りに本屋さんに寄って絵本を買って帰りました。
「おばあちゃん、家に帰ったらこの絵本読んでね」
しかしおばあちゃんはタケシくんに言いました。
「ごめんね、タケちゃん。おばあちゃん字が読めないんだよ」
タケシくんのおばあちゃんは文盲と言って、文字を読む事も書く事もできないのでした。タケシくんはとてもがっかりしました。
家に帰るとお母さんの所へ行って聞きました。
「お母さん。どうしておばあちゃんは字が読めないの?」
お母さんはタケシくんに説明してあげました。昔の人は戦争があったりして学校に満足に通えなかった人がいたのです。
「おばあちゃんもほとんど学校に行けなかった時期があるんだよ。タケシも小学校に行くようになったらおばあちゃんの分まで一生懸命勉強しないとね」
次の日からタケシくんは一生懸命文字を読み書きする練習を始めました。お父さんやお母さんは喜んで、タケシくんが分からない文字を教えてあげました。
でも小学校にあがっていないタケシくんにとって文字の練習はとても大変で疲れる事でした。しかし、くじけそうになる度におばあちゃんが教えてくれたつばめの話を思い出すのでした。
「つばめさんのように頑張ってくれるとおばあちゃん嬉しいな」
その言葉を思い出すと自然と頑張れたのです。そしてついにタケシくんは文字が書けるようになったのです。
「タケちゃんは文字が書けるようになったのかい? 偉いねえ」
おばあちゃんはとても喜んでくれたので、タケシくんはおばあちゃんに文字を書いてみせてあげる事にしました。
まずは自分の名前を書いてみました。これがタケシなんだよと教えてあげました。次に紙にこうかきました。
“おばあちゃん”
「これがおばあちゃんなんだよ」
おばあちゃんは感心してタケシくんを誉めてくれました。
「タケちゃん。この名前が書いてある紙をもらってもいいかい?」
おばあちゃんはとても喜んでいたので、タケシくんはおばあちゃんに紙をあげました。
次の日おばあちゃんは、おばあちゃんがいつも持っている巾着をタケシくんに見せてくれました。そこにはペンで“おばあちゃん”と書かれていたのです。
「これでヤマグチタエと書いてあるんだね。これなら大事な巾着をどこかに置き忘れても安心だよ。タケちゃん文字を教えてくれてありがとうね」
タケシくんはしまったと思うのですが、おばあちゃんは喜んでいました。
ある日タケシくんは庭で自転車に乗る練習をしていました。しかし何度やってもうまく進む事ができません。おばあちゃんはその様子を縁側に座ってただじっと見ていました。
タケシくんは自転車にうまく乗る事ができなくて、とうとうイヤ気がさして練習を止めてしまいました。するとおばあちゃんはタケシくんを呼んで言いました。
「タケちゃん。軒下を見てごらん」
タケシくんの家にはつばめが毎年来ていて今年も家の軒下に巣を作っていました。おばあちゃんはタケシくんに言うのでした。
つばめは春になると遠い遠い南の島から飛んで来て疲れたとも言わずに赤ちゃんのためにエサを運んでくるのです。
「つばめさんは偉いねえ。タケちゃんもつばめさんに負けないように頑張ってくれるとおばあちゃん嬉しいな」
タケシくんはそれを聞いてもう一度自転車に乗る練習を始めました。その日は自転車に乗れなかったのですが、つばめが飛んでいるのを見て毎日練習し、やがて自転車に乗れるようになったのです。
ある日タケシくんはお母さんとおばあちゃんと三人でデパートに買い物に行きました。
お母さんが買い物をしている間、タケシくんとおばあちゃんは屋上で遊んで待っている事になりました。そして数時間後お母さんが二人を迎えにきました。
「タケシ。おばあちゃんと一緒にいい子にしてた?」
お母さんはタケシくんがいい子にしていたので絵本を買ってくれると言いました。三人は帰りに本屋さんに寄って絵本を買って帰りました。
「おばあちゃん、家に帰ったらこの絵本読んでね」
しかしおばあちゃんはタケシくんに言いました。
「ごめんね、タケちゃん。おばあちゃん字が読めないんだよ」
タケシくんのおばあちゃんは文盲と言って、文字を読む事も書く事もできないのでした。タケシくんはとてもがっかりしました。
家に帰るとお母さんの所へ行って聞きました。
「お母さん。どうしておばあちゃんは字が読めないの?」
お母さんはタケシくんに説明してあげました。昔の人は戦争があったりして学校に満足に通えなかった人がいたのです。
「おばあちゃんもほとんど学校に行けなかった時期があるんだよ。タケシも小学校に行くようになったらおばあちゃんの分まで一生懸命勉強しないとね」
次の日からタケシくんは一生懸命文字を読み書きする練習を始めました。お父さんやお母さんは喜んで、タケシくんが分からない文字を教えてあげました。
でも小学校にあがっていないタケシくんにとって文字の練習はとても大変で疲れる事でした。しかし、くじけそうになる度におばあちゃんが教えてくれたつばめの話を思い出すのでした。
「つばめさんのように頑張ってくれるとおばあちゃん嬉しいな」
その言葉を思い出すと自然と頑張れたのです。そしてついにタケシくんは文字が書けるようになったのです。
「タケちゃんは文字が書けるようになったのかい? 偉いねえ」
おばあちゃんはとても喜んでくれたので、タケシくんはおばあちゃんに文字を書いてみせてあげる事にしました。
まずは自分の名前を書いてみました。これがタケシなんだよと教えてあげました。次に紙にこうかきました。
“おばあちゃん”
「これがおばあちゃんなんだよ」
おばあちゃんは感心してタケシくんを誉めてくれました。
「タケちゃん。この名前が書いてある紙をもらってもいいかい?」
おばあちゃんはとても喜んでいたので、タケシくんはおばあちゃんに紙をあげました。
次の日おばあちゃんは、おばあちゃんがいつも持っている巾着をタケシくんに見せてくれました。そこにはペンで“おばあちゃん”と書かれていたのです。
「これでヤマグチタエと書いてあるんだね。これなら大事な巾着をどこかに置き忘れても安心だよ。タケちゃん文字を教えてくれてありがとうね」
タケシくんはしまったと思うのですが、おばあちゃんは喜んでいました。
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