半妖の猫丸

福猫

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第6話

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「猫丸」

「1人でウロウロするな若菜の家に戻れ」

猫丸は歩き出した。

「猫丸、待てよ俺も行く」

杜和が歩き出そうとしたその時、杜和の目の前に空間が現れた。

「うあああー」

「……」

立ち止まり後ろを振り返った猫丸は空間に吸い込まれている杜和の姿に驚いた。

「杜和!」

猫丸は杜和に近づき手を掴み自分の方に引き寄せ始めた。

「猫丸…」

「俺の手を掴め」

「……」

杜和は右手で猫丸の手を掴み近づこうとゆっくり歩き始めた。

「猫丸、ダメだ手を離せ」

「絶対、離さない」

「猫丸」

「杜和」

空間の力に負け杜和と猫丸は空間の中に吸い込まれ空間は消えた。

「……」

「……」

空間に吸い込まれた杜和と猫丸は人気の道で倒れていた。

10秒後、先に目を覚ました杜和は立ち上がりまわりを見つめて驚いた。

「ここは俺が空間に吸い込まれた場所」

杜和が口にした後、猫丸は立ち上がり口を開いた。

「ここどこだよ」

「戻れたんだ、猫丸、自分の家に帰れた」

喜びで杜和は猫丸を置いて走って離れていった。

置いて行かれた猫丸は杜和を追いかけるため走り出した。

それから暫くして猫丸は杜和を見失い立ち止まった。

杜和は自分の家に向かって走り続けた。

ー杜和の家ー

杜和がいなくなって刹那は毎日、杜和の家の前でインターホンやスマホを鳴らし続けた。

「どこに行っちゃったのよ杜和」

家から離れようとしたその時、刹那は走りながら近づいてくる杜和の姿に驚いた。

「杜和!」

「刹那!」

口にした後、杜和は刹那を抱きしめた。

「会いたかった、刹那」

「1週間もどこに行ってたの?」

「1週間?」

刹那から離れ杜和は驚いた顔で見つめた。

「刹那が言ってたこと本当なのか?」

「本当よ、杜和は1週間も行方不明だった」

「猫人間の街にいたときは時間なんて考えなかったけど、そんなに時間が経ってたんだ」

「猫人間って何よ」

「何でもない、それより刹那に大事な話がある」

杜和は刹那の手を掴み家の中に入った。

そのまま杜和は刹那を連れて寝室に向かい中に入った。

杜和は手を離し刹那を見つめた。

「刹那」

「……」

刹那がじっと見つめると杜和は真剣な顔で口を開いた。

「刹那、好きです、俺と付き合ってください」

「はい、よろしくお願いします」

「刹那」

「杜和」

杜和と刹那は見つめ合いその後、唇を重ねた。

その頃、猫丸は街中でさ迷っていた。

「杜和、どこにいるんだ」

行き交う人々に見つめられながら猫丸は走りながら離れていった。

若菜の家で話をしていた若菜と菜緒は空間が現れた場所に立っていた。

「猫丸と杜和君の気を感じる」

「空間の中に吸い込まれたんじゃ」

「杜和君は自分の家に帰れる保証があるけど猫丸が吸い込まれたら大変なことになるぞ」

「私達も行きましょう」

「空間の気を感じるんだがダメだ俺の力じゃ空間を出現だせない」

「そんな」

若菜と菜緒は立ち尽くした。
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