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福猫

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第5話

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ーアキラの家、部屋ー

パソコンで調べていたアキラは1個の宝石に目をつけた。

「浄化の水晶とイトヒメハギの根を乾燥したものをまぜて新しい薬を作りタケルに飲ませれば治るかも」

そう言ってアキラは部屋を出てそのまま家から出るとタケルと茉莉に出くわした。

「タケル!」

「どこかに行くのか?」

「薬を作る材料が見つかったから取りに行くところだ」

「俺も手伝おうか」

「茉莉?本当に茉莉か?」

「久しぶりだなアキラ」

「子供の時も可愛かったけど、大人になっても可愛いな」

「……」

楽しそうに会話をするアキラと茉莉の姿を見つめながらタケルはイラつき口を開いた。

「暫くの間、1人にしてくれ」

そう言ってタケルは船の方に歩き離れていった。

「タケルの奴、急にどうしたんだ?」

「俺がアキラと楽しそうに話してたから怒ったのかも」

「子供だな」

「そうだな」

「俺は1人で大丈夫だからタケルの側にいてやれ」

「1人にしてくれって言ってたしアキラと一緒に行く」

「わかった…それじゃあ行こうか」

そう言ってアキラが歩き出すと茉莉も歩きだし水晶とイトヒメハギの探し旅が始まった。

「どこにあるのかわかってるのか?」

歩きながら茉莉が問いかけると歩きながらアキラが口を開いた。

「最初に水晶を探しに行く」

「何時間くらいで着くんだ?」

「5時間くらいかな」

「5時間!」

「途中で休むから心配するな」

「……」

アキラの会話後、茉莉は無言になりアキラの背後を歩き続けた。

「急に静かになったな、もう疲れたか?」

「1時間くらいと思ってたから…元気がなくなった…」

「すぐに見つかるわけないだろ」

「そうだよね…」

歩きながら返事をしたその時、石に躓き茉莉は倒れかけた。

アキラは茉莉を抱き止め口を開いた。

「大丈夫か?」

「ありがとう」

アキラから離れようとした茉莉は足が痛み倒れかけ再びアキラに抱き止められた。

「足が痛むのか?」

「石に躓き倒れかけた時、足をくねったのかも」

「歩けるか?」

「無理かも」

「……」

「暫くの休んでから行くからアキラは先に行って」

「お前をここに置いていけるわけないだろ」

そう言ってアキラは茉莉をお姫様抱っこし歩きだした。

「俺を抱っこしながら歩いていたら遅くなるから俺を置いて」

「今、話しかけるな」

「……」

「この辺に使われていない小屋があったはずなんだけど」

茉莉をお姫様抱っこしながらキョロキョロとまわりを見つめているとアキラは小屋を見つけた。

「あった」

小屋に近づき中に入るとアキラは茉莉をゆっくりおろし藁の上に座らせた。

「大丈夫か?」

「俺に構ってたら遅くなるから行ってくれ、俺はここで待ってるから」

「今日はここで夜を過ごすか」

「アキラ」

「こんなところでお前を置いていってお前に何かあったらどうするんだ俺がタケルに怒られる、だから俺もここで休む」

「……」

「くねった足、手当てした方がいいよな」

「……」

「薬草を持ってくるから待っててくれ」

そう言ってアキラが小屋から出ていくと茉莉の身体に異変が起きた。

「はぁはぁ…はぁはぁ…」

突然、熱が出て茉莉は身体を倒し熱に襲われた。

「はぁはぁ…はぁはぁ…はぁはぁ…」

「茉莉、この葉をくねった足に貼れば」

口にしながら小屋の中に入ったアキラは倒れながら苦しむ茉莉の姿に驚き近づいた。

「どうした茉莉、大丈夫か」

「アキラ…身体が熱い…はぁはぁ…はぁはぁ…」

「足が腫れてる、熱が出たんだな」

そう言ってアキラは取ってきた葉を腫れてる足に貼りその後、上服を引き裂き葉がはがれないように引き裂いた服で結んだ。

「俺の力が入った葉を腫れてる足に貼ったから暫くすれば熱は下がるだろ」

「迷惑かけて…ゴメン…」

「今はゆっくり休め」

「うん…」

ゆっくり目を閉じ茉莉は眠りについた。

「俺も休むか」

そう言って立ち上がり壁に近づくと壁にもたれながら体育座りで座りアキラも目を閉じ眠りについた。

5分後、ゆっくり小屋のドアが開く黒い煙が入ってきた。

その後、黒い煙は茉莉に近づき包むとそのまま茉莉を小屋から連れ出し小屋のドアはゆっくり閉まった。

それから暫くしてアキラは目を覚まし藁に目を向けると茉莉がいないことに築き立ち上がった。

「動けないはずなのに茉莉の奴どこに行ったんだ」

そう言って小屋を出るとアキラは走りながら茉莉を探し始めた。

黒い煙に連れ出された茉莉は水晶でできたベッドの上で仰向けで眠っていた。

「……」

ゆっくり目を開き眠りから覚めると茉莉は身体を起こし小屋ではない場所に驚いた。

「小屋じゃないそれに藁じゃなくこれは…」

「水晶で作ったベッドだよ」

「……」

声の方に顔を向けた茉莉は近づいてくる白い髪に白い服の男性を見つめた。

「あなたは誰ですか?」

「俺は水晶、アキラが探している水晶だ」

「アキラに知らせないと、俺を連れ出す時、小屋にアキラがいませんでしたか?」

「君を探してるんじゃないかな」

「アキラの元に帰ります」

そう言って茉莉がベッドからおりたその時、水晶に抱き寄せられ茉莉と水晶は見つめ合った。

「あの?」

「化物になったタケルを救いたくないか」

「え…」

「俺と交わってくれたら化物になったタケルを救ってあげる」

「お断りします」

そう言って茉莉が離れると水晶が口を開いた。

「タケルを救いたくないのか」

「……」

背を向けていた茉莉は振り向き水晶に近づき頬を叩いた。

「タケルを裏切るようなことはできません」

「……」

「……」

お辞儀をし茉莉が背を向けると水晶が口を開いた。

「気に入った、茉莉、タケルを救ってやる」

「え…」

茉莉が振り向いたその時、茉莉の唇と水晶の唇が重なった。

その後、互いの唇が離れ水晶が口を開いた。

「アキラの元に行こう」

そう言って水晶は茉莉の手を掴みながらその場から姿を消し走りながら探しまわっているアキラの前に姿を現した。

アキラは立ち止まり「茉莉!」と驚いた。

アキラは茉莉の手を掴んでいる水晶に目線を向け口を開いた。

「茉莉の知り合いの方ですか?」

「俺の名は水晶、お前が探している水晶だ」

「え…」

「……」

茉莉の手を離し水晶はアキラに近づき口を開いた。

「タケルは船の中か」

「あぁ」

「茉莉、アキラ、俺の肩に掴まれ」

「……」

「……」

茉莉とアキラが肩に触れると水晶はタケルの気を探り見つけ姿を消すと船の前に姿を現した。

「2人はここにいろ」

そう言って水晶は船に乗り込み部屋の中にいるタケルに会いに行った。
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