ダイヤモンド

福猫

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第4話

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激しい戦いを繰り広げ一茶と徹は玄斗の力に負け倒れた。

とどめを刺そうと玄斗が一茶と徹に左右の手を向けたその時、大也と紫が現れた。

「やめろ」

大也が叫んだその時、一茶と徹は玄斗の魔法によって命を奪われあとかたもなく消えた。

玄斗はアゲートとトパーズを掴み大也に目線を向けた。

「酷い」

「大也、俺と一緒に来てもらおうか」

「……」

「……」

影玄と紫は大也の前に立ち影玄が紫に小さな声で口を開いた。

「玄斗は俺に任せて、お前は大也を連れて逃げろ」

「気をつけろよ」

「あぁ」

「……」

紫が影玄から離れ大也の側に近づこうとしたその時、ピンクの矢が大也に向かっていき影玄は「大也!」と言って大也に近づき抱きしめるとピンクの矢が影玄の背中に突き刺さった。

「影玄!」

紫が驚いた顔で叫ぶと大也は影玄の身体を支えながら抱き起こした。

「影玄…」

「大丈夫か?」

「影玄…」

大也の目から涙が流れると首に身に着けているダイヤモンドが首から離れ大也と影玄をその場から姿を消しダイヤモンドも消えた。

「大也、影玄」

紫が立ち尽くすと玄斗はアゲートとトパーズを持ってその場から姿を消した。

ダイヤモンドによって大也は影玄と共に影玄の家の寝室に運ばれた。

「ここは…」

影玄の身体を抱き起こしながら大也が周辺を見つめるとダイヤモンドが影玄をベッドに運びうつ伏せで寝かせた。

大也は立ち上がりベッドに近づいた。

ダイヤモンドは影玄の背中に突き刺さっているピンクの矢を消した。

大也は驚いた顔で見つめた。

「……」

大也はダイヤモンドを掴み首に身に着け影玄を見つめるとうつ伏せの身体を仰向けに向けた。

大也は椅子をベッドに近づけ座ると影玄を見守った。

それから暫くして大也は眠気に襲われ椅子に座ったまま眠りについた。

5分後、影玄が目を覚ました。

「ここは俺の部屋」

身体を起こし影玄は椅子に座って眠っている大也に驚いた。

「大也が運んでくれたのか…ありがとう」

大也を見つめながら影玄は大也に近づき唇を重ねた。

「……」

「……」

大也が目を覚ますと影玄は唇を離し大也と影玄は見つめ合った。

「俺の命を救ってくれてありがとう」

「俺は何も、影玄の命を救ったのはダイヤモンドだ」

「……」

優しく微笑むと影玄は身体を倒し口を開いた。

「俺は大丈夫だ、紫の元に行って来い」

「え…」

「紫のことが気になってる、そうだろ」

「紫は大丈夫、俺は影玄の側にいます」

「お前が決めたのならここにいろ、俺は眠る」

影玄は目を閉じ眠りについた。

大也は椅子から立ち上がり寝室を出た。

そして大也はドキドキを必死に落ち着かせた。

「ドキドキ、落ち着け、落ち着け」

その時、大也の目の前に傷ついた紫の姿が現れた。

「紫!」

「紫を助けたかったら俺の家に来い」

玄斗と紫の姿が消えると大也は眠る影玄に近づき眠る影玄に口を開いた。

「紫を助けに行ってきます」

「俺のブラックダイヤモンドを持っていけ」

「眠ってたんじゃ」

「……」

影玄は身体を起こし首からブラックダイヤモンドのネックレスを外し差し出した。

「お前を守ってくれる」

「……」

ブラックダイヤモンドのネックレスを受け取り大也は首に身に着けた。

そして大也は真剣な顔で口を開いた。

「紫を助けてここに戻ってきます」

「気をつけろよ」

「行ってきます」

大也は顔を近づけ影玄の唇に唇を重ねた。

その後、大也はその場から姿を消し影玄は驚き指で唇に触れた。

ー玄斗の家、寝室ー

「大也、来るかな」

赤い髪に赤いマントを羽織った赤い戦闘服姿でルビーのネックレスを身に着けた光(ひかる)が口にすると玄斗がベッドに座りながら口を開いた。

「罠だとわかってても大也はここに来る」

玄斗が口にしたその時、家の前に大也が現れた。
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