猫島

福猫

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第4話

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1時間後、治療を終えた梓は左右の手をおろし声をかけた。

「治療を終えました、具合はどうですか?」

「あなたのお陰で元気になりましたありがとう」

口にした後、美奈は身体を起こし背を向けている梓に声をかけた。

「あなたの力で滅びた猫島の復活をお願いします」

「お断りします」

口にした後、梓は振り返り驚いた顔で見つめる美奈に向かって口を開いた。

「あなた達のせいで俺の愛する人、康は身体を乗っ取られ居なくなった…そんな人達の力になりたくない」

「梓さん」

「この力で俺は康を助ける」

「待って」

ベッドから離れ美奈は梓の手首を掴んだ。

「離してください」

「ゴメンなさい」

口にした後、美奈は梓の唇を奪った。

「……」

「……」

美奈が唇を離すと梓は眠りに襲われうつ伏せで倒れた。

その後、美奈は梓の身体を支えながらベッドに仰向けで寝かせホワイト達を呼んだ。

ホワイトとブルーとイエローとライトブラウンとグレーは中に入り美奈に近づいた。

「どうして梓がベッドで寝てるんですか?」

ホワイトが問いかけると美奈が口を開いた。

「私が眠らせました」

「なぜ」

「彼は私達を憎んでいる…彼の愛する人が麻美に乗っ取らたから」

「麻美を憎むのならわかるけど何で俺達を憎むんだ」

「ライトブラウンの言う通りだ」

「俺は梓の気持ちわかるよ」

口にするとブルーは眠る梓の姿をじっと見つめた。

その姿を見て美奈がブルーに向かって口を開いた。

「ブルー、彼のことお願いね」

口にすると美奈はホワイトとイエローとライトブラウンとグレーを連れて寝室から出ていった。

「……」

居なくなった美奈達を見つめその後、ブルーは再び眠る梓を立ったまま見つめた。

「今の梓なら愛する人を助けることができるかも」

「……」

「梓が嫌じゃなかったら俺は梓の力になりたい」

口にした後、ブルーは顔を近づけ唇を重ねた。

「……」

ゆっくり目を開き梓とブルーは目が合いブルーは慌てて離れた。

梓は身体を起こし口を開いた。

「あなただけですか?」

「あなたを俺に任せて皆、出ていきました」

「俺が責めたから」

「それは違います」

「あなた達は悪くないのに、悪いのは麻美っていう女の人なのに」

「梓さん」

「……」

うつ向いている顔をあげ梓はブルーを見つめた。

ブルーはベッドに近づき口を開いた。

「あなたが持っているその力で愛する人を助けようと思っているのなら俺、手伝います」

「……」

突然のブルーの言葉に梓は驚きで言葉を失った。

「ダメかな?」

「滅ぼされた猫島を復活させたいのではないのですか?」

「君を連れて猫島を復活させたいけど…」

「復活させたいけど?」

「美奈様なら先にあなたの愛する人を助けるだろう」

「……」

梓はブルーを見つめた。

「1人で愛する人を助けようとしないでください」

「……」

「俺や仲間や美奈様が力になるから」

「ありがとうございます」

口にした後、梓が嬉し涙を流すとブルーは梓を抱きしめた。

その姿をリビングで魔法を使って美奈とホワイトとイエローとライトブラウンとグレーが見つめていた。
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