花だって恋をする

福猫

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第1話

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桃の花屋を経営している花野桃は不思議な力を持っている。

その力とは…。

「皆、元気」

花達に水をやりながら桃が声をかけていくと遠くからサクラの花びらが風に吹かれて桃の前に現れ地面に落ちた。

「サクラの花びら」

掴み見つめると花びらの声が聞こえた。

「私に相談したいことがあるのね、わかった今から行くね」

そう言って桃は店を閉め花びらの持ち主のサクラの花の元に向かった。

―桜公園―

「ここね」

そう言って桜公園の中に入ると桃は1歩1歩ゆっくり歩きながら花びらの持ち主のサクラの花を探し始めた。

5分後、桃は花びらの持ち主を見つけ1本のサクラの花の前に近づき声をかけた。

「私を呼んだのはあなたね」

「人間になった花達が話しているの聞いたんだ、花野桃のお陰で幸せになれたって」

「それで私を呼んだのね、悩みは何?」

「いつも来る人間が気になるんだ」

「女性?男性?」

「男性だ」

「いつも来るって今日も来るかな」

「暗い時に来る」

「少し離れた場所から見てるから気になる人が現れたら教えて」

「わかった」

「……」

サクラの木に触れると桃は離れていった。

―午後9時―

ラフな服装で男性が現れるとサクラの花が桃に知らせた。

「あの人ね」

知らせを受け取った桃は少し離れた場所から男性の様子を見つめた。

男性はサクラの木に触れながら口を開いた。

「他にもサクラの木があるけどここのサクラの花を見ていると心が落ち着くよ」

「何か悩みでもあるのかしら」

小さな声で桃が口にしたその時、男性が口を開いた。

「今日、患者さんが亡くなったんだ」

サクラの木に触れながら男性の目から涙が流れるとサクラの花の鼓動が桃に伝わった。

30分後、男性がその場から離れていくと桃はサクラの花に近づき声をかけた。

「聞いて良いかな」

「何?」

「間違ってたらゴメンね」

「……」

「男性に恋してる?」

「恋って俺はサクラの花だぞ」

「花だって恋いはするわよ」

「……」

「私に任せて」

そう言ってズボンのポケットから水晶玉を取り出すと花びらに力を送りその花びらをサクラの木に貼りつけた。

「これで準備はOK」

「準備はOKってどういうことだ」

サクラの花が口にした後、サクラの花に異変が起きた。

その後、桃は水晶玉をサクラの花に見せサクラの花は人間になった自分の姿に驚いた。

「これ俺か?」

「何かあったら私の店に来なさい」

そう言って桃は桃の花屋の名刺を渡し口を開いた。

「あとは頑張って」

「あとは頑張ってって…どうすれば良いんだよ」

「じゃあね」

そう言って桃がその場から離れていくと人間になったサクラの花はベンチに近づき座った。

その後、サクラの花は80cmの長さの花びらのネックレスを見つめた。
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