同性愛~3人の王子~

福猫

文字の大きさ
上 下
7 / 10

第7話

しおりを挟む
ー悪魔の国、城ー

リクに連れて来られた衣都は城の地下にある牢屋の中に閉じ込められていた。

「リクさん、ここから出してください」

「衣都が俺だけのものになると言うならここから出してやる」

「……」

「俺だけを愛するのは嫌か」

そう言ってリクは牢屋のドアを開き中に入りドアを閉め衣都に近づく壁に追い込んだ。

「リクさん」

「俺は悪魔の国の王子、どんな手を使ってでも衣都を俺だけのものにする」

そう言ってリクは顔を近づけ唇を重ねた。

リクの身体を押し離し衣都が少し怒った口調で「やめてください」と口にするとリクが口を開いた。

「俺のキスは受け入れられないか」

「リクさん、俺は」

「俺が悪魔の国の王子だからキスを受け入れられないのか」

「俺は本気で3人が好きなんですだから」

「俺が悪魔の王子だから…」

「リクさん、大丈夫ですか?」

そう言って衣都が身体に触れたその時、リクの髪の毛が白と黒の長髪になり左右の瞳の色が赤そして白と黒のタキシードに白と黒のマントを羽織った姿に変身した。

「リクさん!」

驚いた顔で衣都が見つめるとリクは衣都を抱き寄せ唇を奪った。

その後、リクが唇を離すと衣都はリクから離れ口を開いた。

「元のリクさんに戻ってください」

「これが本当の姿だ」

「今のリクさんはリクさんじゃない悪魔です」

「……」

笑みを浮かべるとリクは魔法で衣都を操り仰向けで寝かせ全裸にし近づいた。

「リクさん、やめてください」

「衣都」

「……」

赤い瞳で左右の手と足が動かない衣都はリクではないリクに身体を奪われた。

それから暫くして悪魔の国の王様が現れた。

「リク、やめないか」

「……」

リクの行為が止まり手と足が動けるようになると衣都はリクを突き放しその後、立ち上がると壁に離れた。

リクも立ち上がり王様に目を向けると口を開いた。

「良いとこだったのに邪魔しないでよ」

「悪魔の国の王子が悪魔になるとは愚か者めが」

「王様はなったことないのか」

「お前と一緒にするな、ソウゴ王子」

「……」

王様の最後の言葉にリクは険しい顔で王様の背後に目を受け現れたソウゴを見た。

「ソウゴさん!」

嬉しそうな顔で衣都がソウゴを見つめるとリクが口を開いた。

「3人が好きだと言っていても衣都が本気で惚れてるのはソウゴ」

「リクさん?」

「ダメだ、衣都」

リクに触れようとする衣都をソウゴが止めるとリクの長髪の色が赤に変わりタキシードとマントも赤に変わった。

「完全な悪魔になったか」

「王様、リクを救いましょう」

「リクは私に任せてソウゴ王子は人間を連れて国から離れてください」

「まさかリクの命を奪うんじゃ」

「完全な悪魔になったリクはこの国の王子じゃない悪魔だ、この国の平和のために命を奪う」

「命を奪うなんてダメです」

王様に向かって衣都が叫ぶと完全な悪魔になったリクは衣都に近づき見つめた。

「人間の命が危ない」

「衣都」

王様が牢屋を壊しソウゴが近づこうとしたその時、「俺と一緒に来い」と言ってリクは壁を壊し衣都を連れて外に出ると羽を広げ飛んでいった。

王様とソウゴも壁から外に出るとソウゴは上空を見つめ王様は兵士達を集めリクを探しに向かった。

「衣都…」

「ソウゴ、リクに何かあったのか」

タイキが現れるとソウゴが口を開いた。

「リクが悪魔になった」

「この国の王様はリクの命を奪おうとしている」

「衣都は?」

「悪魔になったリクが連れ去った」

「俺はリクを助けたい」

「恋のライバルだがリクは友達だ、ソウゴ、リクを助けよう」

「……」

頷くとソウゴとタイキは3個の鍵を重ね1個の鍵を誕生させた。

「タイキ」

「ソウゴ、行こう」

花びらと木と黒水晶が1個になった鍵をソウゴとタイキは持ってリクの元に向かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

継母の心得

トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10〜第二部スタート ☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定☆】 ※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロ重い、が苦手の方にもお読みいただけます。 山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。 治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。 不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!? 前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった! 突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。 オタクの知識を使って、子育て頑張ります!! 子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です! 番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。

キミと2回目の恋をしよう

なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。 彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。 彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。 「どこかに旅行だったの?」 傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。 彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。 彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが… 彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?

不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました!

ミクリ21
BL
聖女様(男)は、理不尽な不遇を受けていました。 その不遇は、聖女になった7歳から始まり、現在の15歳まで続きました。 しかし、聖女ラウロはとうとう国を捨てるようです。 何故なら、この世界の成人年齢は15歳だから。 聖女ラウロは、これからは闇落ちをして自由に生きるのだ!!(闇落ちは自称)

愛などもう求めない

白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

悪意か、善意か、破滅か

野村にれ
恋愛
婚約者が別の令嬢に恋をして、婚約を破棄されたエルム・フォンターナ伯爵令嬢。 婚約者とその想い人が自殺を図ったことで、美談とされて、 悪意に晒されたエルムと、家族も一緒に爵位を返上してアジェル王国を去った。 その後、アジェル王国では、徐々に異変が起こり始める。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

貧乏Ωの憧れの人

ゆあ
BL
妊娠・出産に特化したΩの男性である大学1年の幸太には耐えられないほどの発情期が周期的に訪れる。そんな彼を救ってくれたのは生物的にも社会的にも恵まれたαである拓也だった。定期的に体の関係をもつようになった2人だが、なんと幸太は妊娠してしまう。中絶するには番の同意書と10万円が必要だが、貧乏学生であり、拓也の番になる気がない彼にはどちらの選択もハードルが高すぎて……。すれ違い拗らせオメガバースBL。 エブリスタにて紹介して頂いた時に書いて貰ったもの

侯爵令息は婚約者の王太子を弟に奪われました。

克全
BL
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

処理中です...